写真の構図の記事を読むと、三分割やら黄金分割やら対角線やらの構図法が説明されていることが多い。カメラのグリッド表示でも、それらを補助するための選択肢がある。全部表示するとどうなるんだろうと思って、Open Cameraのグリッド表示を比較明合成してみた。
それぞれのグリッドと構図の関係を考察してみよう。まずは日の丸構図。これは画面中心に交点を持つグリッドならどれでも使える。
実際の作例はこんな感じ。主要被写体が真ん中に来るだけなんで、簡単。ありきたりではあるが、安定感があって良い。
黄金分割構図。分割線で画面を分けた際に、画面全体と大きい方の長さの比が大きい方と小さい方の比と一致する状態。1:0.618になるように線を引くことになる。
実際の作例はこんな感じ。ここでは桜と川を主題と副題として分けて考えるわけだが、桜が主題であることを「さりげなく」示唆する効果があるらしい。そして交点の一つにアイキャッチとなる橋を配置して完成。
三分割構図。分割線で画面を分けた場合に、大きい方と小さい方が2:1になる状態。
実際の作例はこんな感じ。川でなく桜が主題であることを「あからさまに」示唆する効果があるらしい。橋は同じく交点に。
対角線構図。2つの対角対のうちのひとつに対角線を引き、残りの対角対の各々から先の対角線に向かって垂線を引く。グリッドとしては左右のバリエーションで2種類。
実際の作例はこんな感じ。対角線に一致する被写体の線を探しつつ、対角線と垂線の交点あたりに主要被写体を配すると、躍動的な感じが出るとか出ないとか。
黄金螺旋構図。黄金分割して小さくなった方にまた黄金分割をかけるのを繰り返してできた四角形の各々に四分円を書いたもの。グリッドとしては上下左右のバリエーションで4種類。
実際の作例はこんな感じ。黄金螺旋に一致する被写体の線を探しつつ、黄金螺旋の収束点付近に主要被写体を配すると、画面全体を見渡しつつ主要被写体に視線が誘導されて心地良いとか良くないとか。
分割線の効果だけを明確にすべく、地平線に適用してみた。まずは二分割。空と街並みのどっちが主なのか明示しない構図。
黄金分割。街並みが主であることをさりげなくアピール。
三分割。街並みが主であることをあからさまにアピール。
四分割。もはや街並みだけ見て欲しいという場合はもっと比率を上げてもいい。
結局のところ、どんな構図がいいかは被写体と作画意図によって変わるし、二分割や三分割や四分割といったキリのいい比率にしなければいけないことは全くない。黄金比を使った黄金分割や黄金螺旋においても、その比が数学的に美しいからと言って、数学的な美が画面を通じて鑑賞者に伝わるなんてことはないだろう。名画や傑作写真の中にそれらの構図を見出して説明する記事が結構あるが、偶然だろと言いたくなってしまう。だって、グリッドを全部重ねると、主要被写体や分割線をどこに置いても、なんかしらの構図法に当てはまってしまいそうだから。とはいえ、構図を意識的に考えるきっかけとしてはグリッドは役に立つんじゃないかなと思っている。
グリッドの種類を毎回切り替えるのは面倒くさいので、とりあえず三分割を設定しておくのが良さそうだ。上の図で、緑の丸が三分割構図の交点である。そのほんの少し内側が対角線構図の交点(黄)で、それよりちょっと内側が黄金分割の交点(橙)となる。逆に、三分割交点のちょっと外側が黄金螺旋の収束点(青)で、それよりちょっと外側が四分割構図の交点(紫)となる。日の丸構図は三分割線の中心の四角のど真ん中に主要被写体を置く感じで。
余談だが、ソニーのα7 IIIが出るらしい。DXOMARKの調査によると、ダイナミックレンジがα7R IIIと同じで14.7EVもあるとな。てことは、2^14.7で26615倍の光量の差が同時に記録できるのか。豆電球で照らした寝室の照度が10ルクスくらいで、真夏の太陽光が10万ルクスくらいというあたりから考えると、暗めの室内にいる人物と窓の外の風景を同時に収めるような厳しいシーンでも問題ないっぽい。凄いことだ。E-M10の12.3EVで困ることがそんなにあるわけじゃないのだが、室内から窓の外を写すとなるとだいぶ厳しいからな。2.4EV=照度5.3倍の差は大きい。α7R IIIの35万円は無理にしても、α7 IIIの23万円なら出せる人も多そうだ。残念ながら私はそうではないが。
ソニー SONY ミラーレス一眼 α7 III ズームレンズキット FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS ILCE-7M3K
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