豪鬼メモ

一瞬千撃

E-M10を1年使ってみた感想

気軽に持ち出せて、簡単に使えて、高確率で満足の行く写真が撮れるカメラとして購入したオリンパスE-M10である。購入して1年経った感想としては、その期待に十分応えてくれるカメラであると思っている。レビューというほどでもないが、気に入っている点など書いてみる。

f:id:fridaynight:20150124153650j:plain

操作感

慣れると非常に使いやすい。特にオートフォーカス周りの機能が充実している。合格写真の最低条件は主要被写体にピントが合っていることなので、オートフォーカスが使いやすいことは普段使いのカメラとして最重要である。購入時の記事にも書いたが、タッチシャッターで画面内の任意の位置にフォーカスを合わせて瞬時に撮影ができるのがめちゃくちゃ楽。何にも難しい操作をせずに、だいたい一発で所望の写真が撮れる。撮った写真を再生している際にダイアルを回すと、ピント部分を拡大してくれるというのも嬉しい。この機能のおかげでピント確認が断然楽になる。

子供などの動く被写体の場合、タッチフォーカスでフォーカスポイントだけ合わせて、あとは普通のシャッターボタンで何枚か連射すると、合格写真が高い確率で残せる。予め構図を決めて撮る場合には、背面の十字キーでフォーカスポイントを移動させるのもよくやる。その際に他のボタンでモードを変えずに直接フォーカス移動になっているのも重要。これらが実装されていないカメラにはもう移れない。

普段は背面液晶でお気楽に撮るのだが、たまに写真家気取りでファインダーを覗いてマニュアルフォーカスなどすることもある。その際にも十字キーのフォーカスポイント移動が活躍する。フォーカスアシストで拡大するポイントを素早く指定したいから。マニュアルフォーカスを考えるとファインダーの倍率はもうちょい高いと嬉しいとは思うが、まあたまに使うくらいなら必要十分だろう。

筐体上部の二つのダイアルで、絞り(またはプログラムシフト)設定と露出補正を素早くできるのも便利。どこかのボタンを押してモードを変えてから操作するというのだと、それらの操作をしなくなっちゃうからね。この二つはダイアルじゃなくっちゃダメだ。ミラーレス機の最大の利点は、実際にセンサーが受けている画像を確認しながら露出を調整できることなので、それをきちんとできる操作性は重要だ。また、屋外(特に逆光時)では背面液晶が暗く見えてしまって露出が確認しずらいので、その意味でもファインダーがあると便利だ。

その他、手ぶれ補正が強力だとか裏技(フラッシュ同調速度)で最低シャッター速度の設定ができるとかも購入時の記事に書いたが、それらも今となっては必須の要素だ。そういえば手ブレで失敗写真になった記憶がここ半年くらいない。被写体ブレも最低シャッター速度を1/100秒にしているおかげでほとんどない。

総じて、初心者がお気楽にも撮れるし、上級者がじっくり撮ることもできるという両方のニーズを満たす、万能ではないが多能カメラと言えようか。さらに、小さく軽い。ポケットには入らないが、専用のバッグに入れなくても済む大きさ。通勤バッグに入るし、片手で撮影しても苦にならない重さだ。

f:id:fridaynight:20150207023049j:plain

お気に入りの設定

何はともあれ、スーパーコンパネを有効にする。そうすると各種設定の微調整が撮影時に迅速に行えるようになる。その上で、マイセットをモードダイアルに割り当てて、撮影シーンに応じて使い分けるのだ。

  • モードはナチュラル
    • デフォルトだけあって最も広く使える。
  • シャープネスは-2
    • デフォルトだと明らかに効き過ぎでギスギスした絵になるので。
  • コントラストは-1
    • デフォルトだとちょっとコントラスト強めな気がするので。
  • 階調オートは適宜
    • 階調オートを有効にすると暗部にノイズが乗る代わりにダイナミックレンジが広がって白トビのリスクが減る。階調オートにすると明るすぎる写真になることが多いので、露出補正は初期状態で-0.3EVにしている。そうするとさらに白トビのリスクが減る。露出で失敗しにくくなるので、お気楽感が増す。ただ、ダイナミックレンジに余裕がある場合や暗くて高感度になりがちな場合には階調ノーマルにする。ノーマルの方がノイズは明らかに少ないし色乗りも良い。
  • 低振動モード0秒
    • 電子先幕シャッターが有効になってシャッターショックによるブレがなくなるらしい。シャッターショックでブレたことがないのだが、電子先幕シャッターにすることで損があるわけでもないので何となく。ただ低振動モード0秒は実際には0.2秒のシャッタータイムラグの増加になるので、動く被写体には向いていない。ウギ着物の場合は低振動モードはオフにしてかつ低速連射モードにする。

撮影モードとオートフォーカス機能はマイセット毎に変えている。名付けて「お気楽セット」では、Pモード、9点エリアフォーカス、顔認識オン、AF+MFオフにしている。撮りたいものを画面真ん中あたりにおいて何も考えずにシャッターを押せばそれなりによい写真が撮れる。一方、「じっくりセット」では、Aモード、一点フォーカス、顔認識オフ、AF+MFオンにしている。構図を決めて、フォーカスポイントを移動させて、絞りを変えて、露出を整えて、AFでピントを合わせて、それをマニュアルで微調整して、シャッターを押すのだ。一連の作法が円滑にできるとそれだけで楽しい。

f:id:fridaynight:20140813083751j:plain
f:id:fridaynight:20140830122559j:plain
f:id:fridaynight:20151009082249j:plain

画質

シャッターチャンスがきちんと捉えられていて、ピントが合っていれば、合格写真になる。それらに比べると、画質はあんまり重要じゃない。露出に多少の過不足があったり、ノイズが乗っていたり、ホワイトバランスが多少ずれていたりしても、致命的ではない。とはいえ、やはり欠点の少ない画像を得たいと思うのが人情である。その点でもE-M10には及第点をあげたい。でかいセンサーのカメラには負けるだろうが、ダイナミックレンジも高感度耐性も実用的だと思う。というか、画質が理由で失敗写真になることがほとんどない。iPhoneはもちろん、RX100でも画質に不満を抱くことはあるが、E-M10ではほとんどない。以下の写真はそれぞれISO 1000、ISO 2500、ISO 4000だが、全く不満がない。

画作りでちょっと気になるのは、暗い部分の彩度がやたら低いということ。後処理で暗部を持ち上げるとそれがはっきりとわかる。RX100では暗部の色乗りが良いが、E-M10ではグレーっぽいような煙ったいような色になりがちである。色ノイズを減らすためなのか、色モアレを目立たなくするためなのか知らないが、画像処理エンジンTruePic VIまたはそれが実装するファインディテール2とやらの特性なのだろう。色はどちらかと言えばRX100の方が好きだ。

f:id:fridaynight:20140917205628j:plain
f:id:fridaynight:20140917211711j:plain
f:id:fridaynight:20140917212108j:plain

レンズ

キットレンズのパンケーキズームレンズは便利なのだが、最近はほとんど使わない。キットレンズでも十分合格点の写真が撮れるが、単焦点レンズで撮った写真と比べると、やはり滲みというか流れというかが目に付く。以前はそんなの気にならなかったのだが、単焦点を使うようになって眼が肥えたのか、キットレンズで撮ったかその他の単焦点レンズで撮ったのかが、同一画角でも、写真を見るだけでわかってしまうようになってきた。キットレンズは持っていて損はないけど、まあ無くてもいいかな。今からE-M10を買う人がいたら、レンズキットではなく、ボディ単体と適当な単焦点レンズを別々に買う方がよいと思う。

今はM.Zuiko 25mm F1.8とM.Zuiko 17mm F1.8の二つの単焦点レンズを主に使っている。両者とも素晴らしいレンズで、欠点を感じることがほとんどない。解像度やボケ量は必要十分で、現像後の絵に出てくる歪曲や色収差にもほとんど気づかない。自分は、初めて行くところでは、風景と人を同時に撮りたいので、17mm(換算34mm画角)をつけていく。二回目以降のところでは、主に人の表情を撮りたいので、25mm(換算50mm画角)をつけていく。旅行でなく普段のおでかけであれば、たいてい一本勝負で、替えのレンズは持っていかない。双方のレンズとも画角が極端に広くも狭くもないので、多目的に使える。それでいて、画角が予め固定されていることで、撮影時に考えることが少なくて気楽だ。単焦点が楽しいという感覚は、コンパクトデジカメだけ使っていては芽生えないものだと思う。子供達が大きくなってきたので、M.Zuiko 45mm F1.8もちょっと欲しい今日この頃。

25mmにも17mmにも、エツミのインナーメタルフード46mmをつけている。鉄なのでなにかにぶつかっても比較的強いし、レンズの前玉に触ってしまうリスクを極小にできるので気楽になる。そしてなんだかかっこいい。

f:id:fridaynight:20141230135729j:plain
f:id:fridaynight:20160408080905j:plain
f:id:fridaynight:20150909201747j:plain
f:id:fridaynight:20151217131037j:plain

後継機種がこんなだったら嬉しい

オートホワイトバランスの「電球残し」をオンにすると、電球色の光源下では本当にオレンジに染まりすぎて逆に違和感があるので、弱中強が設定できたらなぁ。

写真を後で編集したいが現像ソフトを起動するのは面倒なので、カメラ内で16ビットのTIFF形式で保存できたらなぁ。

像面位相差AFを入れるとかして、もうちょい動体追従性がよくなればなぁ。現状では子供に歩かれるとピントを外すことが多い。

Fnボタンに割り当てられる機能をもうちょい増やして欲しい。個人的にはアスペクト変更とHDR切り替えがあると嬉しい。

晴天だとISO200で最高SSが1/4000秒しかないと、F1.8はおろかF2.8でも露出過多になってしまうので、もう2EVほど余裕がほしい。つまりF1.8のレンズを昼間に生かべく基準感度をISO100に下げて最高SSを1/8000秒に上げたいところだ。

あとちょっとダイナミックレンジが広いと嬉しい。暗所の色再現性が悪い。暗所が色褪せることがたまにある。下の写真みたいに順光だととっても綺麗なんだけど、逆光だと厳しい時がある。

f:id:fridaynight:20140802094518j:plain

総評

RX100に続いて、E-M10は買ってよかったカメラだ。気楽に使うための要件を備えているカメラだと思う。操作性がよく、画質も十分で、筐体とレンズが小さい。とにかく自分で使っていて楽だ。操作が簡単なので家族にも使ってもらえるし、旅行先で他人に「写真撮ってください」と頼むこともできる。

3月に上位機のE-M5マーク2が出るらしく、正直欲しいのだが、実際に使う機能としてはE-M10で十分なので、当分はこれを使い倒していくことになりそう。

f:id:fridaynight:20151101134741j:plain
f:id:fridaynight:20151013134152j:plain
f:id:fridaynight:20151007090221j:plain