豪鬼メモ

一瞬千撃

LEICA SUMMILUX 15mm F1.7レンズ購入

日常使いに適した広角レンズが欲しかったので検討に検討を重ねて来たが、最終的にはパナソニック製ライカ銘のLEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7を購入した。これからLS15と呼ぶ。まだ1週間ほどしか使っていないが、使いやすい画角と満足できる画質を備えた良いレンズだとジワジワ感じて来ている。
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換算30mm画角

とにかく春を前にして広角レンズが欲しくなったのである。中望遠域(換算90mm画角)のM.Zuiko 45mm F1.8と標準域(換算50mm画角)のM.Zuiko 25mm F1.8と広角域(換算34mm画角)のM.Zuiko 17mm F1.8を所持していたのだが、4ヶ月ほど前に広角のMZ17を紛失してしまっていたのだ。標準レンズだけあれば大抵のものは撮れるけど、それだけだと単調になってしまう。もっと広い景色を撮りたい、ぐっと被写体に寄って遠近感を強調したい、そして狭い室内や通路でも多くの状況を描写したいということがよくあるのだ。
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MZ45の換算90mm画角とMZ25の換算50mm画角の広さは1.8倍違う。この1.8倍というのは実にちょうどよく、差異が明確なので使い分けに迷わないながらも、間にもう一段階欲しいと思うほどには離れていない。MZ25をつけていて被写体を少し大きく写したかったら少し寄ればいいし、寄りきれなかったらMZ45に付け替えればいい。MZ45で撮っていて被写体を少し小さく写したかったら少し引けばいいし、引ききれなかったらMZ25に付け替えればいい。同じ感じの使い分けをMZ25と広角レンズでやりたいとすると、換算50mm画角の1/1.8倍で、換算28mm付近の画角が適するということになる。クロップ率2のマイクロフォーサーズでは実焦点距離14mm付近のレンズが良さげだ。そんなことも踏まえつつ、MZ17の置き換えとなる換算35mm画角か、より広い換算28mm画角あたりのレンズを探していた。具体的な検討の経緯は過去の記事を参照されたいが、換算30mm画角はまさに私の要求にぴったり合うような気がしてくる。
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画角の違いを把握するために、MZ45、MZ25、LS15の各々で同じ風景を撮った写真を並べてみる。当然ながら、MZ45とMZ25の1.8倍の差よりも、MZ25とLS15の1.66倍の差の方が小さく感じる。やっぱり換算28mm画角の方が使い分けとしてはいいのだろうか。
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無理な探索動作なしで情報受容が可能な角度範囲を安定注視野と言うらしいのだが、人間のそれは水平60度とのこと。そして換算30mmの水平画角は61.92度だ。マイクロフォーサーズアスペクト比は3:2でなく4:3なので水平画角はちょっと狭くなって、59.94度になる。いずれにせよ、換算30mmくらいの画角の写真が自然に見える写真の限界だと考えられる。換算24mm画角の73.7度とかになってくると、雄大だったり躍動的だったりして面白い写真にはなるが、日常のスナップ写真という用途からは外れてきてしまう。その意味でもこのLS15は広角派のスナップ写真に最適なのだ。ちなみにLS15の垂直画角は46.85度、対角画角は71.60度になるらしい。そんな蘊蓄を聞いてから、またもMZ45、MZ25、LS15の比較を見てみよう。なんだか換算30mm画角が十分広い気がして、愛着が湧いてくる。
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広角の撮影は気楽だ。主要被写体を別の角度から撮りたいというときに、撮影者が移動しなければならない距離が短いからだ。被写体の方を動かす場合にも同様である。カメラを上に掲げてハイアングルで撮ったり逆に低く屈んでローアングルで撮ったりした場合の変化も広角の方が劇的で面白い。広角だと背景にいろいろ入り込むから難しいという人もいるが、撮影角度の変更がしやすいという利点で相殺されるとも言える。順光や逆光などの光線環境を変えるのも容易だ。子供が主要被写体である場合、自分が近くにいながら撮れるのが楽だ。被写体と自分の間に他人が割って入ってくる確率が低いのも楽だ。ちゃんと構図を考える時間がなくてもとりあえず主要被写体を中心に置いて撮っておけば、後でトリミングすれば潰しがきくのも楽だ。多くのスマホに近い画角なので家族や他人に渡して撮ってもらう際にも楽だ。LS15がスナップ写真に適していると言われるのはそういった気楽さを提供してくれるからだろう。
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このシーンでは、換算30mm画角だとちょっと狭すぎで、換算28mmか、より広い画角が欲しかった。これより引いたら車道に出て轢かれてしまう状況だった。しかし、一般人がこんなに高いビルの全体をこんなに近くから撮らなきゃいけないこともそうそうない。そして、換算28mm画角のレンズを持っていたとしても換算24mm画角が欲しくなるシーンに出会うことだろう。
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遠景を広角で撮って広大さを表現したいこともよくあるが、その用途では換算30mm画角は中途半端かもしれない。ただ、広すぎないことで楽になることもある。遠景を広角で撮ると上下のスペースが余りがちになるのだが、広いほどその処理が難しくなる。この例ではアスペクト比を16:9にして誤魔化しているが、それでも退屈さが拭えていない。もちろん構図がうまくなれば解決する話なのだが、入門編としてこのくらいの画角から始めるのも良さそうだ。
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通勤時などに通る道端の風景をパシャパシャ撮るのが結構楽しい。いつか私や家族が別の街に移り住むことを想定した時、この街とその生活を思い出させる写真ってどんなものだろうとか考えながら撮ったりもする。構図とかライティングとか全く気にせずに目に入ったものをフレームに収めていく感じ。単なる暇つぶしでもある。その用途ではMZ25だとちと狭すぎるのであまりやらなくなっていたのだが、LS15が来てからまたやってみたら、なんだか捗る感じがする。
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広角レンズば前から欲しかったのだが、なぜ今買ったのかというと、もうすぐ下の子の卒園式があるからだ。上の子の時の経験によると、卒園式の後に教室に移動して最後の授業を見学できるのだが、これまで優しくしてくれた先生達を前にして園児たちがいつものお歌を歌っているシーンがマジで泣ける。そして、教室の後ろ側に立っている親の視点でその様子を捉えるならば、標準レンズでは狭すぎる。私には広角レンズが必要だ。

広角は寄りで

広角レンズをつけると背景が広めに入ってくるのはいいのだが、主要被写体が小さく映りがちなので、迫力のない写真を量産してしまう。なので、標準画角よりも一歩踏み込むことを意識したい。特に子供撮りの場合、子供のパーソナルスペースに難なく入れるという親の特権を生かして撮らねば勿体無い。
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遊具でも乗り物でも、一緒に乗りながら撮ると臨場感が出てよい。望遠画角や標準画角の場合には状況説明のための背景要素をいかに入れるかに苦慮するが、広角の場合は背景は勝手に入ってくるので、主要被写体である子供の表情を優先して撮ることができる。
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撮影者が積極的に動くと結果的に様々な角度から撮ることになり、躍動感のあるアルバムができあがる。撮影時には特に意図していないくせに後付けで放射線構図や対角線構図などの線構図を発見して喜ぶのも一興である。ハイエンドのズームレンズをつけてジャングルジムに登るのはあまり現実的ではないが、マイクロフォーサーズの広角単焦点ならそれができる。
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寄りが足らなくて迫力不足になった例がこれ。E-M10のAF能力では走る子供にピントを合わせるのは無理だったので置きピンを仕掛けたのだが、事前に遠近感が掴めずにこの大きさになってしまった。もっと修行が必要だ。
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寄らざるを得ないシーンでも活躍する。ボートの桟橋のような自由に動けない場所でも説明的な写真が撮れるし、スワンボートの狭い船内でも状況が描写できる。スマホ的な使い方をより高画質で。
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横並び歩き撮り。これも広角でないとできない。寄って撮れるのはもちろん、画角が広いほど手ブレ耐性が高いのも助かる。
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やや難易度の高いローアングル動体撮り。置きピンで連写すればなんとかなる。
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もちろん、室内やテーブル越しの距離感のスナップ写真にもうってつけだ。暗いことも多いこういったシーンではF1.7の明るさも助かる。
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広角はパースペクティブを強調するのが楽しい。銅像とかを下から煽って撮ると威厳が増す。それでいて、換算30mmくらいだとそんなに不自然にはならない。
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デフォルメ的な極端な構図を作りたい場合にはさらに寄っても面白い。同じことを標準画角や望遠画角でやろうとすると撮影者が地面にめり込まないといけないが、広角レンズなら容易にできる。
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濱尾先生とさらに遊ぶ。相似形の構図。被写体との距離が近いので、子供を不安がらせずに撮影時間を作れるというのも利点だ。この状況で私が1.66倍離れていたらこの子はポーズしてくれなかったかもしれない。ちなみにこの例はF5.0で撮ったが、主要被写体はほぼピント面に平行に並んでいるからもっと被写界深度を狭めてもよかったと反省。その方が背景の木立との分離がうまくできたはず。
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特に凝ったことを考えなくても、普通に主要被写体が画面内に大きめに入るようにだけ配慮すれば、どこぞに行って楽しかった思い出を記録した写真が撮れる画角だ。それが一番重要。
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解像度

画質の評価に関してはLensTipDXOMARKなどの測定系のレビューを信用すべきと思う。このブログも含めて、購入しました系あるいは借りてみました系のレビューは購入者バイアスや大人の事情バイアスがかかりすぎているのであまり信用ならない。測定系サイトをいくつか見た限りでは、LS15は、解像度に関しても色収差に関しても、私が今まで気に入って使っているMZ45やMZ25と遜色ないらしい。過去の記事にも書いたが、LensTipによる12MPセンサーでの測定で、LS15は絞り開放では中央55lpmmの端49lpmmと甘いが、ほんの少し絞ってF2.0にすると中央64lpmmの端50lpmmまで伸びる。解像力最善となるF4まで絞ると中央71lpmmの端64lpmmになる。一方MZ25は開放絞りで中央65lpmmの端49lpmmで、F4になると中央74lpmmの端60lpmmとのこと。LS15は広角レンズながら画面全体の解像力の均質性ではMZ25を凌駕するとも言える。
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LensTipの測定値をみる限りでは、背景をぼかして主要被写体に視線を集めたい場合にはF2.0かF2.8で撮り、画面全体をくっきりと写したい場合にはF4.0で撮ると幸せになれそうだ。私が入手した個体でも本当にその傾向なのか、取り急ぎ絞り値を変えつつ同じ被写体を撮ってみた。中央にある15という数字にピントを合わせてある。この構図だと中央の解像力しかわからないが、参考にはなるかな。各画像をクリックすると等倍画像が見られる。

まずは開放F1.7。中心部の15に着目すると、やはり解像しきれていないのがわかる。そのすぐ右にある黄色い文字に緑のフリンジが見えているのは、おそらく軸上色収差の影響だろう。他の作例でも、軸上色収差は結構目につく気がする。実焦点距離15mmながら、この距離でF1.7だと背景はよくぼけ、おかげで立体感がある。
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F2.0。測定値によると中央の解像力はかなり改善しているはずだが、正直あんまり違いがわからない。フリンジは少し軽減された。ボケの量は開放とそんなに変わらないので、被写界深度を浅くする目的ではF2.0で十分とも言える。
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F2.8。被写界深度が大きくなったせいもあるが、中央の解像感がかなり上がってきた。印刷されたインクの粒子の模様から来るモアレが視認できるようになってきた。
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F4.0。やはりこの絞りだと解像感が最も高い。くっきりはっきりと中央の文字の境界線が見えて、右の黄色の文字のフリンジも消えている。
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F5.6。これもしっかりと解像しているが、回折の影響が出てきているからか、F4.0よりほんの少し冴えない。
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F8.0。ここまで絞ると、明確に解像感が落ち始めているのがわかる。とはいえ十分に解像しているので、パンフォーカスが欲しい場合にはF8.0も使うことになると思う。
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比較のために、MZ25の開放F1.8とF4.0で同じような構図の写真も撮ってみた。両方のレンズで遜色ない描写ができているということがわかって安心する。
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LS15とMZ25の各例の中央部分を等倍で並べるとこんな感じ。測定値と合致した結果だ。双方とも解像力はF4.0がピークで、その時の解像力はほぼ互角。開放だとLS15の方が甘い。色収差に関しては双方ともF2.8まで絞るとほとんど視認できなくなる。軸上色収差はMZ25の方が大きいようなので、LS25でことさら心配する必要はないらしい。
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画面端の解像度も見ておこう。画面端が重要になるのは主に風景撮影なので、公園で100mくらい先の景色を撮ってみた。絞りF4.0にして画面左上の左端から三本目の木にピントを合わせてある。
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画面右上の解像力を絞り値ごとに比較してみよう。この結果も測定値と合致している。開放は甘く、F2.8でやや改善するがまだ万全でなく、F4.0でくっきりする。F5.6からは少しずつ甘くなっていく。風景はF4で万全。絞っても流れた感じが取れなかったMZ17に比べるとかなり良い出来だ。
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色収差

色収差についてもLS15はMZ25と同等の傾向のはずだが、一応実写で確認してみた。LS15の開放絞りの写真だと、軸上色収差の影響か、前ボケに紫のフリンジが出やすくて、後ボケに緑のフリンジが出やすい。さらに、倍率色収差の影響か、画面端に赤と青のフリンジが出やすい。この例の左上隅の蛍光灯の周囲では、紫のフリンジに加えて赤と青のフリンジが出ている。
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F2.8まで絞ると色収差はかなり軽減される。これも測定値に合致する傾向だ。
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開放の例でも、Lightroom上でレンズプロファイルを適用すると、倍率色収差の赤と青のフリンジは綺麗に除去される。ただし軸上色収差の紫のフリンジは残る。
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さらにLightroomでdefringe補正をかけると、軸上色収差も完全に除去できる。
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ただしdefringeを画像全体にかけると、エッジのコントラストが高い部分の彩度を下げてしまう副作用がある。defringe適用前後の画像を比べると分かりやすい。この例は、「ホテル中目黒」という看板の文字の色が灰色になってしまう。なので、defringe補正は目立つ場所だけに絞って適用するのがいい。ちょっと面倒だけど。
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軸上色収差の紫のフリンジはLS15だけの問題ではないとはいえ、でもやっぱり後処理で補正しないと目につくことも多い。この例ではF2.8で撮っているけども、それでもピント面の前後にハイコントラストな部分があると目立つことが結構ある。そういう意味ではなるべくF4で撮った方が安心かな。
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開放絞りで夜景を撮る場合にも紫のフリンジはよく出る。紫のライトだったのかなと思うほどにくっきりと出る。
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F2.8まで絞るとだいぶマシになるけど、まだちょっと残っている。他の性能がいいだけになおさら軸上色収差が気になってしまう。夜だからこそ開放で撮りたいのに、絞らなきゃならないのはちょっと辛い。
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歪曲収差

LensTipによると、LS15の撮像には-6.04%の樽型歪曲があるそうだが、それはレンズ内に記録されたプロファイルによって現像時に補正され、-0.91%に緩和されるという。どうせならもっとゼロに近くように補正すればよさそうなものだが、過補正が怖いとかレンズの味だとかの理由があるのだろう。直線が多いシーンだと、カメラ現像の出力でもLightroom現像の出力でも、定規を当てると確かにほんのちょっとだけ歪曲が残されていることがわかる。
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レンズプロファイルの歪曲収差補正を無視するufrawで現像してみると、レンズ本来の歪曲がわかる。こうして見ると、確かに結構大きな歪曲収差があるらしい。でもマイクロフォーサーズやその他のデジタル用規格のレンズでは歪曲収差の補正をデジタルに頼るのは常套手段で、それによってレンズの小ささを実現しているとのことなので、まあ仕方ないのかな。ただし、-6.04%という値は低くなく、それが原因で周辺の解像度が悪化しているとかで批判されることがあるようだ。ちなみに同様に歪曲で批判されるMZ17はrawで-5.80%、補正後に-0.85%ということなので、この点では負けている。MZ25はrawで−1.12%、補正後に−0.82%なので賞賛されている。
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とはいえ、補正後の1%以下の歪曲であれば、いずれのレンズでも歪曲に気づく例は非常に少ないだろう。建物の写真でも普通に鑑賞するぶんにはまずわからない。
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ボケ味

ボケ味に関しては、dpreviewの作例や自分で撮ったいくつかの例をみる限り、ボケ味は良さげだと思う。この例はF2.0だが、背景は総じてなだらかにボケている。
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F2.2。ピント面から離れるにしたがってなだらかにボケていき、背景の木立もざわつく感じではない。敢えて粗探しをすると、後ボケに緑のフリンジが出ているのがちと気になる。
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F2.0。この例でもボケは総じて滑らかだが、子供の左の木立が二線ボケになっている。直射日光に晒されるとかでコントラストの強い背景がぼけると緑のフリンジが出て、そのおかげでざわついた感じになってしまっている。
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F2.0。この例でも背景に細かい枝があるが、うまいこと溶け込んでいてうるさくない。背景のコントラストが高すぎない時は安心して使える。
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F2.2。またも、強いコントラストの背景ボケに緑のフリンジがついていて良くない。直射日光が苦手という認識でいいのかもしれない。
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この例はF3.5だが、ピント面が近いと背景は十分にぼける。玉ボケの形も綺麗な円形かつ滑らかな境界になっている。
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この例はF1.7だが、ピント面が遠いのでボケ量は小さい。ただ、距離が離れるにつれてなだらかにぼけていくので、状況を描写しつつも自然に主要被写体に視線誘導できてそこそこいい絵になっている気もする。
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F2.2。遠方の日向の部分のボケには緑のフリンジが出かけているが、十分に遠いのであんまり目立っていない。軸上色収差が目立たない状況ならボケは綺麗という結論でよさそうだ。とろけるようなとかクリーミーだとか絶賛するようなものではないが、少なくともMZ45やMZ25と同等に安心して使える程度にはボケ味は綺麗だと感じている。
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その他

フレアやゴーストに強いと書いてあるレビューもいくつかあったが、太陽やその他の強い光源を入れるとフレアもゴーストも出る。でも、光源を入れない場合には出ないので、かなりマシな方なんじゃないかな。MZ17では太陽が斜め前方から当たっているとかなり頻繁にゴーストが出ていたが、そういう悩みは今のところ感じていない。
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夜に開放絞りで電灯の入ったシーンを撮ると、電灯の周りにほぼ確実にフレアが出る。これが許容できるかどうかは人それぞれだと思うけど、特別にこのレンズがひどいというわけでもないっぽい。
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色乗りに関しては、MZ45やMZ25に比べてどう違うかと言われても正直よくわからない。上の方で挙げた画角比較の例を見る限りにおいては、ホワイトバランスはdaylightに固定してはいるが、LS15が少し青寄りの発色になっている気がしないでもない。もしそうだとすると、相対的に緑チャンネルや赤チャンネルよりも青チャンネルで検出される波長の透過率が高いということになるわけだが、ちゃんと測定しないで断じるのは尚早だろう。低い空の方が散乱光が暖色に傾くので、全体の印象で判断するのは謝りだ。撮影時にEVFや背面液晶を見た際にこのレンズだと明るく見えるような気がしないでもないが、それもおそらくプラセボ効果なんじゃないかと思ってもいる。

外観

かなり小さくて軽いレンズだ。重さ115g、半径5.7cm、高さ3.7cmしかない。MZ45、MZ15とともにジャケットのポッケに入れて持ち運べる。マイクロフォーサーズ規格の最大の利点のひとつであるレンズの小ささを体現したレンズと言える。
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金属製のフードが付いてくる。これは高級感があって遮光性能もおそらく高いのだろうが、正直使いにくい。かさばるし、カメラからレンズを外そうとする際にフードが外れそうになるからだ。あと、フードの上からかぶせるゴム製のキャップも付いてくるのだが、それがすぐ落ちるのもダメ。
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幸いにして、MZ25にもつけているエツミのメタルインナーレンズフード46mmがつけられるし、ケラレもなく撮影できる。このフードの上に37mm径のキャップをつけられるし、37mm径のフィルタもつけられるのでめちゃ使いやすい。開口部が狭いからレンズ保護としてもより安心だし、何よりポッケやバッグの中でかさばらないのがいい。
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愛機E-M10につけてみたらこんな感じ。カッケー。レンズだけ新しいのに違和感があるが、こいつにも年季が入ってくると尚更カッコよくなるに違いない。
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オリンパス機に装着するとレンズ上の絞りリングが動作しないというのは少し残念だ。あと、AF/MF切り替えスイッチがレンズ上にあるけれど、それも私は全く使わない。それらが付いてて何か不都合があるわけじゃないからどうでもいいけども。

まとめ

久しぶりに広角レンズを使うと楽しい。といっても、換算30mm画角は広角の範疇では狭い方なので、自分の自然な視野よりちょっと広いというだけで、しばらく標準画角ばかりで撮っていた身にも馴染みやすい。標準画角の時より一歩踏み込んで撮ると、一味違った絵が得られる。小さいレンズだから機動力が高く、様々な場所に持って行って様々な視点から撮って楽しめる。このLEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7はそんな広角単焦点レンズの中でも写りが良くて変な癖もなくて扱いやすいレンズだ。コントラストの高い部分に軸上色収差が目につくことがあるのが欠点だが、その際には絞るなり後処理で消すなりすればいいだろう。開放絞り近くでも十分な画質が得られるし、絞れば文句ない解像力になる。カメラにつけっぱなしにするレンズとして相応しいものだと思う。妻からの評価も上々である。値段も定価は70000円と少々お高いが、今なら40000円程度と手頃になっているので、広角単焦点レンズを持っていないならぜひ入手する価値のあるレンズだろう。

マイクロフォーサーズの小さめのカメラにつけるなら、MZ45、MZ25、LS15の単焦点トリオを揃えるのは今のところ最強だと思えてきた。F2以下の絞りが使えるので様々な表現ができるし、画質も期待以上だ。それなのに3つ持ち運んでもカメラバッグが不要なほどにレンズが小さい。レンズ交換の手間がかかるのでズームレンズに利便性は負けるが、撮影者が動き回るという状況を考えるなら機動力で勝てる。正直なところズームレンズも欲しいのだけれど、とりあえずはこのトリオでの生活をしばらく楽しんでいきたい。

追記:ボケ味については後日さらに検討した。これこれ

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