MKSのUrban Platformのグリップが弱すぎる問題に対するDYIの対策をさらにやってみた。ハーフクリップとこのグリップを組み合わせると、ストラップをつけなくてもかなり強力に引き足ができるようになる。
ブロンプトンのペダルとして三ヶ島ペダル(MKS)のアーバンプラットフォームを愛用しているが、表面がツルツルしていて後ろ引き足による入力がしづらいという問題がある。これに対しては後付けで引っ掛かりをつけて対策して、そこそこ満足して運用していた。しかし、たまに針金が切れる問題があったのと、もうちょいグリップ力を上げたいと思っていたのとで、また作り直すことにした。
まず、針金が切れる問題だが、従来は鉄製の0.9mmの針金を使っていたが、これをステンレス製の0.9mmのものに変えた。もっと太くすれば耐久性は上がるだろうが、硬すぎてうまく曲げられなくなるので、0.9mmが最善だ。鉄とステンレスの耐久性は同じくらいと思っていたのだが、同じ0.9mmでも、鉄製の耐荷重が9kgfなのに対しステンレス製の耐荷重は14kgfなので、引っ張り強度に関してはステンレスの方が顕著に頑丈らしい。ピアノ線はもっと頑丈で耐荷重が45kgfとか書いてあるので買って試してみたのだが、硬すぎて自由に曲げられなかったのでダメだ。
従来は六角ボルトで引っ掛かりを作っていたのだが、それだとグリップ力が最善ではないと思っていた。四角ボルトにするのも試してみたが、四角ボルトだと回転して斜めに靴底に接した時にグリップ力が落ちるので、グリップ力が安定しないという問題があった。なので、筒状の何かを常に垂直に近い方向で固定できないものかと思案していたのだが、たまたまホムセンで三つ穴エンザートなる部品を見つけた。エンザートとはネジに巻きつけて補強する部材らしいのだが、それはどうでもよくて、三つの穴が下についた円筒形であることが重要だ。
ステンレス針金と三つ穴エンザートを使って滑り止めを作る手順のメモ。まず、針金を45cmくらいに切る。長さはだいたいでいい。
エンザートを5つ並べ、三つ穴は下になるようにする。そして、両端の二つは前に迫り出し、真ん中の三つは後ろに迫り出すように、針金を通す。
針金の片方をペダルの後ろの穴に引っ掛けて、輪っかを作って、先ほどと逆方向からエンザートを串刺しにする。
針金の両端をペダルの左右の穴から通して、引っ張ってエンザートが立つようにテンションをかけてから、ペダルの裏で捻って結ぶ。針金を捻って締める際には、軽く捻ったあと、二つ折りにしてから捻って締めると切れづらいらしい。
しっかり締め込むと、エンザートが立った状態で固定される。
駄目押しに、せっかく買ったピアノ線を使ってエンザートを固定する。ピアノ線は硬すぎて急な曲線は描けないので、端の二つのエンザートだけに通すことにした。円筒の下から針金を通し、後ろの三つ穴から後ろに針金を出して、さらにペダルの下で捻って固定する。こうすることで、左右から中央方向にエンザートが押さえつけられることになり、安定度が増す。ピアノ線の剛性はステンレスとは段違いだ。本当はエンザートを溶接したいところなんだけど、私にはその工具と技術がない。
これでかなりグリップ力が上がった。エンザートが絶妙な角度で固定されているのが従来の六角ナットを使った方式とは一線を画する。エンザート自体にねじ切りが刻まれているのも手伝って、靴底にかなりしっかりと食い込んでくれる。それでいて、過度に尖ってはいないので、スニーカーの柔らかい靴底でも短期間で削ることはない。また、最終的な固定力はピアノ線が担っているので、耐久性も今までより段違いに高いはずだ。
実際に走ってみると、まるでペダルにもともと突起がついていたかのような安定感がある。これにより、クランクの下死点付近でもそれなりの力で入力ができるようになったので、腓腹筋やらハムストリングスやらの足の後ろ側の筋肉も動員して漕げるようになった。多くの筋肉が動員できれば、それだけ負荷が分散して長く楽に漕いでいくことができる。今回の変更で下死点付近の最大入力が上がったので、それに応じて上死点付近の最大入力も上がった。前押し足の反作用を手や尻だけでなく後ろ引き足の反作用で相殺できるので、より効率的に漕げるのだ。後ろ引き足の入力はそんなに大きくはないが、前押し足は下踏み足に次いで強いので、合わせるとそこそこの推進力になる。
新しい装備で所沢方面をサイクリングしていたところ、偶然にも三ヶ島ペダルの工場の前を通ったので、お世話になってますと思いつつ写真を撮ってみた。市役所の展望ロビーに三ヶ島ペダルの製品が展示されてるのを見たことがあり、同社は市が誇る企業っぽい。今後も良い製品を作っていって欲しいものだ。欲を言えば、アーバンプラットフォームの滑り止め付きバージョンを出してほしい。
まとめ。ステンレス線とピアノ線と三つ穴エンザートを組み合わせると、三ヶ島のアーバンプラットフォームのようなツルツル表面のフラットペダルにも、いい感じの滑り止めを設置できる。