豪鬼メモ

一瞬千撃

ブロンプトンで和田峠

急坂で有名らしい和田峠ブロンプトンで登ってきた。噂に違わず、急坂がずっと続いて息つく暇がない峠だったが、乙女ギアのおかげでなんとか足つきせずに登り切れた。


ブロンプトンをフロントダブル化してフロントの39Tおよびリア18Tの乙女モードを装備した結果、ヤビツ峠は走破できた。もっときつい峠だって行けそうと思った。そこで、急坂が続くことで有名な和田峠に行くことにした。自宅からだと意外に近く、66kmほどの旅であった。

12月に自転車で遠乗りするなんてマゾキスティックな真似をすまいと思っていたが、やたら暖かい日が続いて、むしろサイクリングでもしないと勿体ない感じだ。9時に家を出たが、朝でも寒くない。三軒茶屋から世田谷通りを進んで多摩川サイクリングロードに向かった。

BBハブをグリスアップしたおかげだろうが、サイクリングロードのように状態の良い道を走ると、足がよく回る。個々のチューンナップは微々たる効果しかないかもしれないが、合わせるとそれなりに効果があるっぽい。依然としてガチ勢には敵わないが、エンジョイ勢のローディには追従できることが増えてきた。

多摩方面に行くので例によって石田大橋で甲州街道に乗り換えた。冬の午前中は富士山がよく見える確率が上がって良いな。

八王子に行く手前で、美山通りを北上して高尾山や陣場山の方向を目指す。このあたりから段々と登坂基調になってくるが、体力を温存すべく早々に52T/18Tを出してまったりと進んだ。

美川通りから陣馬街道に入る前のファミマでコーヒー休憩。ここが最後のコンビニらしい。ファミマに言いたいのだが、地球ロックできる柵なり手すりなりの構造物をつけてくれと。そうしないとわざわざ畳んで店内に持ち込まなきゃならない。というかロードバイクだったら停める場所に困って入店を憚るところだ。

陣馬街道に入ると、まだ峠道じゃないのに緩やかな登りがずっと続く。だんだん難易度が上がっていくというのは受験勉強みたいな緊張感があっていいかも。いい大人がヒルクライムなんてマゾキスティックなことをするのは、このちょっとした緊張感が好ましいからなのかもしれない。

和田峠に向かう途中で罠なのが、この分岐だ。この陣場高原の看板が出てきたところでその方向に左折しないといけない。Googleマップ的には直進と言ってくるので、どっちを信じればいいか迷った。左折が正解だ。

しばらく進むと陣場亭なる潰れた店が見えてきて、その先の分岐を右折すると、和田峠の本番が始まる。他の人のブログ記事などで見た写真と同じ光景が出てくるとちょっと聖地巡礼っぽい気分になる。

で、あとはひたすら上り坂だ。箱根峠とかヤビツ峠とかよりも一段高いレベルにある急坂だった。39T/18Tの乙女ギアで回せば余裕でしょとか思っていたのだが、それは最初だけだった。中盤に差し掛かると息が上がってきた。シッティングでは登れない斜度になると当然ダンシングをするのだが、休むダンシングをしても、ずっと続けると背筋が疲労してくる。背筋を休ませるためには適宜シッティングに戻す必要があるが、そうすると脚が疲労してくる。なのでシッティングとダンシングを交互に行うのだが、どっちも疲れてきてだんだん切り替えの間隔が短くなってきて、これはきついなと思った。

特に最後の方の九十九折りが続くところはやばかった。左側通行を愚直にしていると折り返しの部分で非常に厳しい斜度になることがあるので、できれば外側を走りたいのだが、車が通るのでそうもいかず、根性が試される。この写真は登り切ってから戻ってきて撮ったものだが、ここはマジで足がつきそうになった。

ロードバイクに比べれば走行性能もギア比の選択肢も劣る我がブロンプトンだが、登坂性能において一つだけ優れた点を見つけた。それは、ビンディングでなくハーフクリップであることだ。クランク角の全域でトルクを生み出しつつも、どんなに低速になっても立ちゴケせずに足をつける安心感があるので、逆説的にギリギリまで踏ん張って漕ぐことができる。また、走行性能の劣位も登坂では思ったより大きくない。登坂抵抗が圧倒的なので、空気抵抗や機械抵抗の差が及ぼす影響が相対的に小さくなるからだ。よって、乙女ギアさえ装備していればロードバイクとそんなに遜色なくヒルクライムができる。車体が重いのは欠点だが、ガチ勢とエンジョイ勢の体重の差に比べれば大したことはない。結局のところ、乗り手の体力と根性次第ということだろう。

地道に走っていたら、なんとか峠に着いた。3.5kmと意外に距離が短い峠なので、登ってしまえばなんてことはないが、結構な達成感があるのも事実だ。私の他にもサイクリストがちらほらいて、峠の茶屋で一服したり写真撮ったりしていた。

峠を越えると相模湖方面に下って行ける。こっちの方が景色は良く、富士山もよく見えた。逆方向に登ってくるサイクリストも結構いて、こっちの勾配もえげつないので、みんな止まりそうな速度で走っていた。

ゴキゲンに駆け降りている最中に事件が起きた。「バシュー!」と不穏な音が鳴り響いたと思ったら、突然後輪のタイヤがパンクしたのだ。タイヤの表面を調べたところ、何も刺さっていないし、どこにも傷がない。しかし、パンクしているのは事実であり、修理道具は持っていない。

ブロンプトンでパンクやその他の故障をしたら、最寄りの公共交通機関まで歩いて輪行して帰ればいいというのが私のポリシーだ。幸いなことに今回も1kmくらい歩いたところにバス停があった。いつも通り、フレーム内に収納してある加茂屋の輪行袋を取り出して何事もなくバスに乗り、さらに藤野駅から中央線に乗り換えて帰った。折り畳み自転車バンザイだ。

自宅に帰ってからパンクの原因を突き止めた。ホイール内のリムテープがずれていて、凹みの部分にチューブが飛び出して圧力に耐え切れずに穴が開いたらしい。リムテープも消耗品と言われるが、8年も使っていると固くなってしまうらしい。なぜ偏るのかはよくわからない。

なお、リムテープは純正のだと1枚2300円もする。シュワルベのFB18-355という18インチ用のリムテープが流用できるらしく、そちらは2枚で500円以下だ。さっそくポチった。長年乗っていると消耗品にちょこちょこ金がかかる。

まとめ。和田峠は噂に違わずなかなかの急坂が続くコースだった。とはいえ、適切なギアを装備していれば、ブロンプトンでも走破できる。都心からでも自転車で数時間で現地まで行けるし、行き帰りに輪行するのにも便利なので、ちょっとした達成感を得て自己肯定感を補給したいなら良い場所と思う。そして、リムテープのずれには注意だ。