豪鬼メモ

一瞬千撃

POTA BIKEのフロントバッグをブロンプトンにつけた

ブロンプトンでサイクリングする際にちょっとした荷物を入れる鞄として、POTA BIKEのフロントバッグを購入した。数あるフロントバッグの仕様を吟味してからこれを選んだ過程と実際に使ってみた感想を述べる。


ブロンプトンに乗って普段行動する私だが、通勤用にはChromeのAVAIL BACKPACKを購入して、便利に使っている。仕事用のPCを入れられるし、背中の風通しが良いので、ちょっと汗ばむ日でも快適に使えて気に入っている。しかし、サイクリングに行くとなると、PCは持ち運ばないし、この夏の尋常じゃない暑さの中で背負っていると流石に汗でびしょびしょになってしまう。バックパックをハンドルバーに吊るす方法があるのでそれでしばらく使っていたが、機動性が落ちるのが気になっている。バッグを吊るしたまま車体をバンクさせると、バッグが揺れてフレームにガンガンぶつかって中の荷物が破壊されそうになる。また、段差を乗り越える際に前輪をホップさせた際にも同じ問題が起こる。

ハンドルバーに吊るすなら、専用のフロントバッグを使った方がいい。しかし、当然ながら容量が限定されるわけで、まずは何を入れるかを想定せねばならない。私にとってのお散歩的なサイクリングは、自宅から20km圏内を適当に走りつつ、居心地の良い場所を探してKindleで読書をしながら休憩して、帰ってくることだ。よって、最小限の荷物はKindleということになる。財布やスマホや家の鍵も当然携帯するが、それらはズボンのポッケに入れてもいい。サングラスや帽子を着用することも多いが、それらは着用したままにすればよい。ただ、いずれについてもバッグがあれば入れたくなるだろう。できればペットボトルの飲み物も入れたいし、カメラを持っていく際にはそれも入れたい。欲張ればキリがないので、この辺で線を引こう。

最低限、Kindleは入れる。よって、Kindle Paperwhiteのサイズである17cm*12cm*1cmの荷室は必須だ。あとは、おまけだ。カメラを入れるなら、E-M10にレンズをつけた状態だと9cm*13cm*10cmくらい余計に食う。500mmペットボトルを入れるなら、21cm*6.5cm*6.5cmを余計に食う。スマホやら財布やらサングラスやらは余ったスペースに入れればいい。帽子はバッグのストラップか自転車に括り付けておけばいい。

次に、主たる荷物であるKindleとカメラとペットボトルを詰めた状態を想定する。Kindleを荷室の端に横置きして、その横にペットボトルを置く。カメラはレンズを下向きにしてKindleとペットボトルに沿うように入れる。この状態で上から見るとこんな感じかな。

つまり、荷室の横は13+6.5=19.5cmが必要で、奥行きは1+9=10cmが必要で、縦はペットボトルの21cmが必要だ。余裕を持たせて、縦23cm、横22cm、奥行き12cmくらいの荷室があると良さそうだ。ペットボトルを高さ15cmの350mmに妥協するなら縦16cmでもいいか。カメラは近いうちに別機種に買い替える気がするが、E-M10と同等の小さいものにするだろうから、これでいい。

たくさん荷物を入れるにはバッグの容量は大きい方がいいが、自転車に乗る際の利便性を考えると、フロントバッグは小さくて軽い方がいい。車体をバンクさせたり前輪をホップさせたりできるサイズ感の中で、できるだけ利便性を高めたい。車体をバンクさせられずに機敏に曲がれないとか、バッグが重くて速度が出せないとかいうストレスは避けたい。カメラを積んだ状態で前輪をホップさせたくはないが、段差を最小限の衝撃で超えるにはどうしてもホップさせねばならないことがあるので、それもできるようにしたい。そして、そもそもバックパックを持ちたくないからフロントバッグを探しているわけで、バックパックのサイズ感になってしまったら意味がない。

重さも考える。kindleはカバー付きで300g、ペットボトルは中身入りで515g、カメラはレンズ付きで550gなので、合計1365gだ。スマホと財布も入れると1600gくらいになるだろう。交換レンズ2本とサングラスとそのた雑貨も入れたら2kgくらいになりそうだ。それにバッグの重さを加えたのが荷物全体の重さになる。となると、バッグの重さは400gくらいに抑えたいところだ。

防水性能はあった方が嬉しいけれど、そうするとバッグの上部から荷物を取り出し難い構造にならざるを得ないし、バッグの重量が増すので、だったら防水でなくて良い。そもそもバッグだけ防水しても自分が濡れたらサイクリングを切り上げて帰ってくるしかないわけで、カッパ着てでも自転車に乗らなきゃならない状況でなければバッグの防水性能に意味はない。フロントバッグは10分間くらいの小雨に耐える撥水性能があれば十分だ。

バッグをどうやってつけるかも考えねばならない。私のブロンプトンはストレートハンドルだが、ハンドルから少し前に出るブレーキレバーはほぼ下を向いている。そうしないとハンドルが畳めないので、必然的にそうなる。レバー類が前に大きく出ていなければ、フロントバッグをハンドルの前(進行方向)側につけることができる。ハンドルの後ろ側は何もないので、当然後ろ側にもつけることができる。気分で選べばいい。前につける場合、ハンドルからハンドルポストの下端までの35cmがバッグの縦を制限する。バッグの下端をハンドルポストに結ばないならタイヤの上端までの50cmまでいけるが、そうするとバッグが左右にふらついてしまうので、今回の目的からは外れてしまう。

後ろにつける場合、ブレーキレバーに干渉しない範囲だと、26cmくらいがバッグの縦を制限する。前でも後ろでも、ここまで大きく余裕があるのは小径車ならではだ。ロードバイクだとおそらく前も後ろも20cm未満だろう。なお、この制限値はバッグの縦のサイズではなく、バッグについているハンドルとの固定ベルトとバッグの下端までの長さを制限するものだ。とはいえ大抵のバッグは上端付近に固定ベルトがあるので、実質的に縦サイズを制限していると考えてもいい。

内部は、仕切りがなくて、一つの部屋があるだけがいい。スマホやカードやなどの薄くて壊れやすいものを入れるポケットが壁際についていた方が嬉しいが、なくてもいい。開け閉めの機構はベルクロでもチャックでも留め金でも良いが、片手で操作しやすい方が望ましい。

以上の要求仕様を念頭において、現在市場にあるフロントバッグを調査してみたところ、以下のものが候補に上がった。500mmペットボトルを縦置きするなら、高さ21cmなので、H20のものに限られる。350mmペットボトルでいいなら、ここに上げたものは全部OKだ。

製品名 外寸 容量 重量 価格
Ostrich リベロバッグ H16*W30*D10 1.6L 140g 3200円
THRLEGBIRD ハンドルバーバッグ H18+*W21*D11 4L 420g 3680円
ROCKBROS ハンドルバーバッグ H17*W18*D8 2.6L 266g 3669円
GORIX GX-AMIGO H13.5*W23*D10 2L 280g 3999円
Chrome HELIX HANDLEBAR BAG H14*W23*D7 3L 280g 7150円
Chrome DOUBLETRACK HANDLEBAR BAG H20*W23*D11 5L 390g 8299円
POTA BIKE シンプルフロントバッグ H20*H25*D9 2L 170g 3220円
POTA BIKE セミハードフロントバッグ H20*H25*D9 2L 410g 3850円

結論としては、私はPOTA BIKEのシンプルフロントバッグを選んだ。二番目に気になったのはTHRLEGBIRDで、三番目はChrome DOUBLETRACKだ。サイズ感から言えばむしろTHRLEGBIRDとDOUBLETRACKの方が優秀で、私の要望を全て満たしている。THRLEGBIRDは上部が生地を巻く構造になっていて、上方向に高さを調節できるので、広げれば4Lより多く、おそらく6Lくらいまで詰め込める。そうするとタオルとか着替えとかも入れられるので、かなり便利に使えるだろう。ただ、THRLEGBIRDは防水機能がオーバースペックで、巻き方式だと中の荷物を取り出すのが面倒くさい。走りながらサッとペットボトルを取り出して水を飲むとか、サッとカメラを取り出して写真を撮るとかいったことがやりにくい。

DOUBLETRACKはそもそもの容量が5Lなので余裕がある。機能的にはDOUBLETRACがめっちゃ良さげで、ハンドルに吊り下げる際にはボディストラップを中に収納できるし、身につけて持ち運ぶ際にはハンドルに結ぶテープを中に収納できるなど、実用性に富んでいる。素材も頑丈そうなナイロンで、申し分ない。外見もいかにもメッセンジャーといった感じで格好いい。さすがはChrome社だ。ちょっと値段は高いけど、普通に欲しい。

じゃあなぜPOTA BIKEを選んだかというと、軽くて小さいからだ。縦20cmで、蓋がアーチ型に膨らむので、高さ21cmのペットボトルが入る。横幅は下に向かって窄まる形になっていて、内寸の上部が23cmで下部が15cmだそうだが、レンズを下に向けたカメラなら底部を占有しないので、なんとか入る。内寸の奥行きの8cmもKindleとカメラを合わせるとギリギリだが、素材が柔らかいので、前後方向に膨らませばなんとかなる。余ったスペースに財布やスマホやサングラスを収納すると、ちょうど一杯になる計算だ。今回はこのギリギリのサイズ感を攻めて、バックパックとの差別化を計りたかった。

POTA BIKEはシンプルとセミハードがあるので迷ったが、上述の柔軟性を要するのが理由でシンプルを選んだ。それに、シンプルはバッグの重さがストラップ込みで170gと軽いのも魅力だ。Kindleスマホよりも軽く、つけっぱなしにしても邪魔にならない。商品説明にあるように、自転車に取り付けられるエコバッグという位置付けで考えるべきであり、Chromeの製品とは逆の方向性で、ガチ感の無さが逆にいいのだ。よりカジュアルに、日常の95%のニーズを最小コストで充足することを目的として、5%の突発的な不便は許容するという割り切りがしたい。ここでいうコストとは、金銭的なものだけではなく、重量や心理的負荷も含むものだ。

実際に購入した商品をさっそくブロンプトンにつけてみる。何も入れていない状態だと、ペラペラの布をハンドルバーで干しているようなもので、なんとも頼りない。しかし、何も入れない状態ではむしろ萎んでくれた方がいい。セミハードだと何も入れない状態でも形を保つのが利点らしいが、萎むことの利点もある。コンビニとかで短時間停める際には、中の貴重品だけポッケに移し替えてバッグはつけっぱなしにするかもしれない。その際に、このバッグを盗む気が起きなさそうな方がいい。Chromeのバッグは置きっぱなしにしたらいかにも盗まれそうだが、ペラペラなエコバッグを盗む奴はそうそういない。

実際のサイクリングに行くことを想定して中身を詰めてみよう。まず、ペットボトルを入れる。今回は370mmのものだ。それからKindleも入れる。まだまだ余裕がある。

底に財布を入れる。財布は移動中はほとんど使わないからだ。その上に、交換レンズ2本を離して入れる。この真ん中に、カメラに付いたレンズが来る。

カメラを入れる。カメラのビューファインダが出っ張っているので、Kindleの厚さと合わせるとバッグの奥行きが足りなくなるかもしれないと思ったが、全く問題なかった。横方向の壁が上広がりに余らせてあるのがここで効いていて、製作者の工夫を感じる。

まだスペースが余っているので、サングラスと携帯食を入れる。チャック付きのポケットにはスマホを入れる。これで完璧だ。他には何も要らない。

この状態で荷物全体の重さを測ったところ、2.2kgであった。だいたい予想通りだ。片手で持って移動しても苦でない程度で済んでいる。カメラを省くなどして、中の荷物が少なくした場合、バッグ自体が軽い恩恵がもっと大きくなる。

バッグは備え付けのストラップで肩にかけて持ち運びつつ、手で畳んだブロンプトンを持って行動できる。ショルダーバッグとしての使い勝手もそこそこで、釣りの際の道具入れにも使えそうだ。

乗る時になったら、自転車を組み立ててから、ハンドル固定ベルトでバッグを吊り下げる。ハンドル固定ベルトはベルクロで固定する方式なのだが、三重になっていてやたら強力だ。しっかりつけすぎると外すのが面倒になるくらい強力に固定されるので、外れる不安を完全に払拭できる。もしこれが外れるくらいの衝撃があったら乗り手は生きてはいまい。ハンドル固定ベルトの位置が左右に調整できるのも素晴らしい。広めにした方が揺れにくくなるが、それだと私のブロンプトンはレバー類と干渉するので、狭めにしている。それでも実用上は全く問題ない。

ショルダーストラップはバッグの中に入れることが推奨されているが、そうすると荷物を出し入れする際に邪魔になる。そこで、私はショルダーストラップ補助ストラップと一緒に車体に括り付けるようにしている。ブロンプトンは折り畳み時にハンドルを固定するための突起がハンドルポストについているのだが、反時計周りで車体に巻きつけたショルダーストラップをそこにひっかけるといい感じにまとまる。

これで、バックパックから解放された長距離サイクリングができるようになった。PorterのバックパックからChromeバックパックに替えた時は背中のスリットを通る風の心地よさに感動したものだが、バックパックなしでサイクリングする時の開放感はその比ではない。肩が軽い。重さで尻が痛くなることもない。それでいて、ステアリング性能は落ちていない。スラロームもばんばん決められる。ただし、前輪の荷重がいつもより大きい状態で、いつもの接地感を頼りに急旋回すると、前輪のグリップ限界より後輪のそれが先に来て滑って転ぶリスクがあるので気をつけたい。というかそれで転けたことがある。それくらいの運動性能を維持できているとも言えるが。

時速30km/hで巡航して多量に汗をかいても、バックパックに汗がつかないのが嬉しい。しばらく流して走っていればTシャツは勝手に乾いてくれるし、そもそも汗臭くなってもTシャツはすぐ洗うことになる。一方、バックパックは簡単には洗えないので、抗菌消臭スプレーとかで誤魔化すしかない。今は、そんな面倒から解放されて、心ゆくまで走っていける幸せを噛み締めている。ありがとうフロントバッグ。ありがとうPOTA BIKE。冬になれば汗に困ることはなくなるが、Pコートやジャンパーを着てバックパックを背負うと窮屈なので、やはりフロントバッグだけで外出できるのは嬉しいことだろう。

なお、後ろ向きにつけるとこんな感じだ。走行中に頻繁にバッグの中身を触りたい場合には後ろの方が便利だろう。カメラ、双眼鏡、地図、コンパスあたりを走りながら使う人向けかな。ポテチを食いながら走るのとかもやろうと思えばできるだろう。

ブロンプトンの場合、荷物を取り出した後にバッグをつけたまま畳むことができる。バッグを後ろにつけている場合には畳んだ時に外側に来るので、普通に畳めばOKだ。バッグを前につけている場合、ハンドルと車輪の間にバッグが来ることになるため、留め具でバッグの生地を挟んでしまわないように位置を調整しつつ、そーっと畳む。セミハードタイプではこれはできないので、シンプルタイプに利点がある。つけっぱなしにすると、バッグというよりはむしろ前籠のような位置付けになる。

バッグの中身を入れたままにしたい場合、バッグを取り外してからブロンプトンを折り畳み、その状態で車体に固定する手がある。輪行時にバッグの中身を使わない場合は、このまま輪行袋に入れてしまうと管理が楽だ。あるいは、スーパーとかに古本屋とかに立ち寄って折りたたんだブロンプトンを持ち込む場合も、バッグと車体を一緒にしておくと片手で持ち運べて便利だ。バッグを肩にかけたまま立ち読みするのは辛いので、私はこの方法をよく使う。

さらに、サドルバッグとして使うこともできる。ハンドル固定ベルトを内側につけると、サドルのレールに吊り下げるのにちょうど良いサイズになるのだ。補助ストラップをサドルポストに巻きつけることで揺れの防止になるので、サドルバッグとしての完璧な機能性を備えることになる。走行中にバッグの中身を全く使わないのであれば、サドルバッグに利点がある。ハンドル操作が軽くなるし、乗車中の視界が広いし、走行風をよく受けられるしで、軽快な気分になる。

ハンドルの真ん中に突起がある場合は、バッグをそこにひっかけることもできる。ブロンプトンにレックマウントを装着している場合、まさにそれが真ん中の突起になる。左右のハンドル固定ベルトを内側の二つのスロットに通した上で、互いのオスとメスを食わせるとハンドバッグの手提げハンドルのような形になる。それを突起に引っ掛ければOKだ。この方法は走行時に激しい揺れがあると突起から輪っかが外れてバッグが落ちるリスクがあるが、実際にはよほどの振動でないと落ちないので、街中を走る分には問題ないだろう。引っ掛けるだけなので、つけ外しが簡単だというメリットがある。別の細いベルトを使うともっと使いやすいようにできそうな気もするが、追い追い考えよう。

一点気になったのは、バッグを自転車から外した際に、ハンドル固定ベルトと補助ベルトがバッグから外れて、無くしてしまうリスクがあることだ。これは欠点というよりもデザイン上のトレードオフであり、それらのベルトを外したり付け替えたりできるようにしたことの副作用だ。私はハンドル固定ベルトは内側だけを使うし、補助ベルトを外して運用する必要性も感じないので、糸で縫って留めてしまおうと思っている。

ところで、ブロンプトンの売りの一つはフロントキャリアに専用バッグをつけられることだ。Chrome HELIX HANDLEBAR BAGをフロントキャリアにつけて運用している人がいて、格好いいので、真似しようとも思った。フロントキャリアバッグは、ママチャリの前籠と同様に、ハンドルを切ってもバッグが傾かず、ハンドル操作が軽快になるという利点もある(サドルバッグの方が質量集中の利点も加わるのでその点では優秀だが)。そして、キャリアブロックのレバー機構のおかげで脱着が簡単なのも良い。
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それでも吊り下げのフロントバッグにしたのは、やはり軽さを追求したかったからだ。カメラやペットボトルを持ち出すのは週末の遠出のサイクリングをする時だけで、近場のお散歩サイクリングではKindleくらいしか持ち歩かない。ついでに買い物して酒やらツマミやらを買った時にそれを入れることもあるが、それも軽いものだ。そう考えても、エコバッグ的な利用法が主なのだ。軽いものを主に入れるなら、バッグも軽い方がいい。また、自転車に乗ったまま、気軽に中身を取り出せるのもフロントバッグの利点だ。飲み物やカメラやスマホを入れるならここが最適だ。

通勤にはバックパックを使うが、それ以外の目的で散歩的に出かける時に自転車に取り付けられる小さなバッグが欲しい。とはいえ、バッグを何個も自室に飾るのは趣味じゃないので、週末の遠征にも利用したい。そしてその際にもミニマリスト的な行動規範を取り入れたい。その結論が、ペットボトルとカメラがギリギリ入るPOTA BIKEシンプルフロントバッグというわけだ。ショルダーバッグとしてもサドルバッグとしても使えるし、コスパもいいし、かなりいけている製品だと思う。

欲を言えば、バッグの背中の部分だけがセミハードになったモデルがあるといいと思った。ハンドル固定ベルトとバッグの接続部分がバッグの最上端ではなく、またバッグの背中の生地が柔らかいという二点が重なると、接続部分より上の領域の生地が重力で折り曲がってしまうことになる。つまり型崩れしてしまう。荷室の上部にサングラスや携帯食などの軽いものを入れていると、バッグの上の方の生地が壁になってくれずに、落ちてしまいそうで不安になることがある。もし背中の部分だけでもセミハードになっていれば、上部の全体が型崩れすることはない。背中がセミハードであれば、ハンドルポストなどとバッグがぶつかることによる衝撃も吸収してくれる。背中の部分以外が柔らかければ、シンプル版の利点である積載性や、荷物が入っていなければ平べったく潰して運用できる能力は維持される。DIY好きの私としては、自分でバッグの背中にアクリル板などを固定する方法を模索中だが、元々の製品がそのニーズに対応していればなお良いと思った。

このPOTA BIKEという会社は今回初めて知ったが、公式サイトやAmazonの商品説明での丁寧な言い回しを見ていると好感が持てる。外寸と内寸が分けて表記してあり、素材の特性によって実際の収納力が変わることも書いてあり、形状のせいで車種や取り付け方法に制限があることも明記している。単にクレームを抑止するため注意書きとも言えるが、イメージ先行で売っておしまいではなく、ちゃんと商品の内容を分かった上で買ってほしいという意思が感じられる。ユーザの声や自分達で使った上での感想をフィードバックして製品を作っている雰囲気があり、応援したくなる。今後とも良い製品を作り続けて欲しいものだ。

蛇足だが、Amazonとかで「容量が小さすぎ」とかレビューしている人達は何なんだろう。それは商品に関するレビューじゃなくて自分の判断能力に関するレビューだろう。外寸だけ書いてあって内寸が予期できなかったとかならわからなくもないが、その内寸も明記されているじゃないか。それで期待と違ったなら、そりゃアンタのせいだろう。自分のユースケースくらいちゃんと想定しろと言いたい。想定積載物をメジャーで測って足し算をするだけだ。世の中、大抵の意思決定はトレードオフのバランスをとってなされている。もっと大きいバッグだって作れるのに、敢えてこの大きさに設定しているのはなぜか。もっと硬くて分厚い生地を使うこともできるのに、敢えてこのペラペラの生地を使っているのはなぜか。文句を垂れ流す前に1分でもいいから考える時間を持ちたいものだ。

フロントバッグをつけて、目黒から三浦半島先端の城ヶ島までサイクリングしてきた。横須賀や観音崎にも寄り道したので100kmくらい走ったが、やはりバックパックを背負って走るよりも断然軽快だ。走行風が全身を包んで気持ちがいい。体は汗だくにはなるのだが、バックに汗がついて臭くなる心配がないので、どんどん遠くまでいける。赤信号で飲み物を飲むのとか、時折見える景色のよいところでカメラを取り出すのとかもやりやすい。


まとめ。ささやかな荷物を持ってお散歩サイクリングをしたいが、汗とは戦いたくないという場合、フロントバッグが便利だ。そして、荷物がコンビニ袋に入れられる程度なら、エコバッグ的に使えるPOTA BIKEシンプルフロントバッグは最適だ。縦が長いのでペットボトルも入れられるし、横と奥行きにも余裕があるのでカメラも入れられる。それでいて、小さくて軽くて、ガチ感がないのが良い。小径車を選ぶ人にはうってつけだろう(というか縦長なおかげで小径車にしかつけられないのだけども)。