豪鬼メモ

一瞬千撃

ロードバイクの初期装備

兄の遺品のロードバイクを貰った話を前回書いたが、それを使いこなすべく、日常的にサイクリングができるまでに装備を揃えた話。


ロードバイクに乗るにあたっては、ロードバイク本体以外には以下の備品があると望ましい。乗るだけで必須だと思うものには◎、安全や利便性を考えると普通は備えるべきものには○、なくてもいいけどあった方がいいものは△をつけた。

  • ビンディングシューズとクリート
  • ◎ 空気入れ
  • ○ ヘルメット
  • ○ ライト
  • ○ サングラス
  • 輪行袋
  • ○ パンク対応キット(スペアチューブ、修理キット、工具)
  • ○ 車載の小物入れ(ツールボトルかサドルバッグかフレームバッグか)
  • ○ チェーンロックまたはワイヤーロック
  • ○ チェーンメンテナンス用具(チェーンオイル、チェーンクリーナー)
  • サイクルコンピュータ
  • △︎ ドリンクボトル
  • △ その他のサイクルウェア(グローブ、ジャージ、シャツ、パンツ等)

大体のものは兄のものをそのまま使うつもりだが、いくつか足りないものや買い換える必要のあるものがあった。何回かサイクリングをしながら、備品を揃えて行った記録が今回の記事である。

兄のビンディングシューズは、2回ほど乗っただけで壊れてしまった。兄のはシマノのR087という古いエントリーモデルのサイズ40のワイドらしいが、日本人に典型的な幅広甲高は共通らしい。私がそれを履くと、指先が若干きつい感じだったので、41(25.8cm)のワイドが私に合っているだろう。普段履いている靴はミズノウェーブライダースーパーワイド26cmなので、そこから考えても妥当なところだ。製品はワイド設定があるシマノのRC3にした。店頭でフィッティングしてから買う方が確実だが、ネットで買った方が安かったのでそうした。12500円。

新しいシューズを実際履いてみると、足の長さは合っているのだけれど、小指にほんの少しの圧迫感がある。かと言って42(26.5cm)にすると足先が若干余るだろうから、41のワイドが最善だと思う。スーパーワイド的な設定があれば理想的なのだが、ないものは仕方がない。次回に買い換える時には、爪先との甲の締め付けを別々に調整できるものの方がいいかもしれない。締め付けの調整が全体で一つだけの場合、締め付けが緩すぎると上死点での押し足の際に指が圧迫されてしまうが、締め付けが強すぎると常に指が圧迫されてしまう。分けて爪先を緩めにして甲を緊めにできればその問題は緩和できる。

クリート位置の調整には試行錯誤があった。まずは、前後左右ともど真ん中の目盛りに合わせたところ、どうもしっくりこない。足裏の母指球(親指の付け根)と小指球(小指の付け根)を結んだ線にペダルの回転中心軸が来るようにするのが定説らしいが、そこから考えても、真ん中の目盛りに合わせると、私の足ではちょっと後ろすぎる。クリートが指球線よりも後ろにあると、足首の関節にかかる負担が小さくなる利点があるが、足首の関節の力をペダルに加えられないという欠点もある。また、これは利点でも欠点でもないが、同じサドル高だと下死点で足をより長く伸ばすことになるため、サドル高を低くすることになる。逆にクリートが指球線よりも前にあると、足首の関節の力をペダルに加えやすいという利点があるが、足首の関節にかかる負担が大きくなる欠点がある。そしてサドル高は気持ち高く設定することになる。私の場合、標準のクリート位置だと、パワーゾーンで踏み込んだ際に、指球線が靴の底を踏んでいるというよりは、指球線が前に滑って足の甲で靴を押している感覚があった。それが小指の圧迫感にもつながっていたように思う。クリート位置を2目盛り分(多分2mm)だけ前にずらしたところ、その違和感はなくなり、ちゃんと指球線で力を伝えている感覚になった。それでいてロングツーリングの後にも足首や脹脛に特段の疲労は感じないので、私にはこの設定が合っているのだと思う。

輪行袋も必要だ。電車で輪行して帰れるなら、往復分の体力や走行時間や天気を考えずに、行きたい方向に行きたいだけ走って行ける。その方が私の性に合っている。車体が故障した場合でも、輪行して帰ってこられるならば安心だ。輪行袋はツールボトルに入れてドリンクホルダーに取り付けようと思っている。そこにはパンク修理キットやその他の小物も入れたい。となると、かなりコンパクトに畳める輪行袋が必要になるのだが、ツールボトルに他の小物と一緒に入れられるほどのものはなかなかない。

結構頑張って調べたところ、Pekoさんという個人のサイクリストが手作りして通販しているお手製輪行袋シリーズが私の要求に合うらしかった。その中で、横型新軽量輪行袋(145g)というのを購入した。メーカー製のものと違ってシンプルな構成なので、畳んだ際には350mm缶より小さくなる。ギュッと詰めれば容積は190mlのコーヒー缶くらいになると思う。耐久性を代償として生地を薄く軽くしたことでそれが実現されているわけだが、とはいえすぐに破れるほどチャチな作りではなく、絶妙なバランスだ。電車輪行で電車に乗せる為だけのカバーであると割り切れば、問題ない。また、長方形を貼り合わせた単純な形になっているのも重要な点だ。自転車を収納した状態に合わせた複雑な形の袋だと、畳んだ際に小さくならないのだ。大きな長方形であれば、縦横に折り畳んでいくだけで小さな長方形になる。最高密度で畳めるからこそ、このコンパクトさが実現できるのだ。あとはそれを丸めれば円筒なり瓦型なりにして、ボトルやバッグに詰め込める。その代償は、自転車を包んだ時に最適な包み方にならないことだ。やはりここでも、電車に乗せるためだけのカバーと考えれば問題ない。

この輪行袋の初運用をしてみた。最初の手順としては、まず自転車を立てたまま、駐輪用のカバーをかけるが如く、輪行袋を被せる。

カバーを被せたまま、サドルとハンドルの部分を掴んで、そーっと車体をひっくり返す。こうすることで、位置合わせが簡単になるとともに、風でカバーが飛ぶリスクをなくせる。ひっくり返す際に袋を擦って破らないように注意だ。

車輪を外して車体の両脇に置いて、結束する。お手製輪行袋には肩掛け紐も結束用バンドも付属していないのだが、この時点ではどっちも持っていなかったので、結束にはスズランテープを使った。ださいが、ロードバイクの車輪はやたら軽いので、スズランテープですらいけるということを示せるだろう。ヘルメットは前輪フォークを覆うように乗っけておけばOK。

あとは、輪行袋の生地をそーっと持ち上げて、車体を覆う。尖った部分に生地が引っかかった状態でひっぱると当然破れるリスクがあるので、焦らず騒がず、そーっとやることが重要だ。持ち運びはフレームを手で直接掴んで持ち運ぶことにした。軽いので片手で持てる。「全体が覆われていること」というのが電鉄各社で共通の規定にあるらしいので、ギア等がなるべく見えないようにすべきだ。

車体を覆うだけという本当に必要十分な仕事だけをするのがこの輪行袋だ。エンジニアリングには優先度と割り切りが重要であり、それを率直に示してくれているこの製品には好感が持てる。メーカー品ではここまでの割り切りは難しい気がする。その分、結束用ベルトは別売りだし、肩紐もついていない。私は肩紐は使わずにフレームを直接手で持つ運用をしている。結束用には「りんりんバンド」というゴムにフックがついたものを買った。これはゴムなので適当な場所に使えて、フックにひっかけるだけで固定できるので、かなり手早く作業ができる。それでいて固定力はそれなりにあって、普通に持ち運ぶくらいでは一切ガタつかない。

その後、ツールボトルも買った。R250というブランドの、ツールケーススリムスーパーロングタイプという製品だ。輪行とパンク修理に必要な全ての装備を収納するには、かなり大容量のツールボトルが必要になる。それでいて、外径はドリンクホルダーのものに制限される。その制限の中で最善だろうと思われるのが、この製品だ。

Pekoの輪行袋、りんりんバンド、PanaracerのスペアチューブR'AIR、Toneのタイヤレバー、100均の六角レンチセット、GorixのミニポンプGX-MP66、クロップスのワイヤーロックQ5をツールボックスに収納したい。タイヤレバーと六角レンチキットはジップロックに入れておくと散乱しないので便利だ。普段使うわけでもないので、携帯工具セット的なものを買って重さを増す必要はない。

普通は、輪行袋だけでもそこそこの体積になるのでツールボトルには入らないのだが、Pekoの輪行袋ならいける。また、R250のスーパーロングなら、Pekoの輪行袋とりんりんバンドを右半分だけで収納できるので、左半分にポンプと工具とスペアチューブを収納できる。隙間にパンク修理用のパッチや接着剤を一緒に入れてもいいだろう。

ミニポンプの全長は17.5cmだが、これと23Cのスペアチューブを入れると、ツールボトルの縦長がギリギリだ。このR'AIRというチューブは薄いので畳むと非常に小さくなって、この入れ方ができるようになる。普通のチューブの場合、縦長に折り畳んでミニポンプの横に沿わせる入れ方になる。なお、このミニポンプGX-MP66は軽い力で動かせる割に最大300psiの高圧までいける優れものだ。小型なので空っぽ状態なチューブを100psiに復帰させるには300回くらい往復しなければならないが、日々のちょい足しの空気入れとしてなら普通に便利に使える。仏式と米式に対応していて、ブロンプトンにも使えるのが個人的に重要な点だ。

ワイヤーロックはCropsの5×1800mmのダイヤル式のものにした。ワイヤーロックはボルトクリッパーがあれば数秒で切断できる程度の安全性しかないので、どれを買ってもそんなにセキュリティは変わらない。ただ、最もよく見かけるCropsのQ3だとボルトクリッパーどころかプラモ用のニッパーや普通のハサミでも切れてしまうので、それよりは気休め程度に太い5mmのものを選んだ。長さも1.8mあるので、電柱や樹木などの太いものでも地球ロックできる。

ツールボックスを閉じる際には、ワイヤーロックをサンドイッチの具のように押し込むことができる。コンビニ等に寄る時にはワイヤーロックだけをツールボトルから取り出すので、最後に入れるのは合理的だ。

ツールボトルを車体に取り付けるとこんな感じ。こんなに小さな容器にあんなにたくさんの道具を詰めることに成功して、大満足である。これを装備しておけば、輪行もできるし、出先でのパンク対応もできるので、安心して遠くまで行ける。サドルバッグやフレームバッグに収納しても良いのだが、低い場所に装着できるツールボトルの方が優れていると思う。

3回ほどロングツーリングしておそらく400kmくらい走ったところ、元からついていたタイヤはボロボロになっていた。古いゴムだと劣化が早いのか、乗り方が下手なのか、その両方か。ブロンプトンのつもりで前後の急ブレーキをかけると後輪をロックさせてしまうのだが、それで後輪を削ってしまうのが良くないらしい。ともかく買い替えねば。元からのタイヤはMAVIC YKSION PRO POWERLINKの23-622(700x23c)なので、それと互換するものを買えばよい。1本で定価7000円、実売6000円くらいらしいのだが、高いな。そもそも廃番らしいので、別のを選ばねば。

各所のレビューなどを見るとコンチネンタルのGP5000というのが走行性能としては最強っぽいのだけれど、高いし、私にはオーバースペックだ。自分の用途では、高速巡行することや登坂をすることよりも、快適にロングツーリングをしたいという欲求が強いので、耐久性がそこそこ高いタイヤがよい。そうするとブロンプトンでも使っているシュワルベマラソンを思い浮かべるが、700*23cだと430gと重いので、ロードバイクとしてはイマイチかなと。耐久性が高くて走行性能も高いものというと、パナレーサーのアジリストデューロというのが良さげだ。これも1本で約6000円と安くはないが、耐久性に振っている割には230gと軽いのが美点だ。

普段使っている偏光サングラスをサイクリング中に紛失してしまったので、新しいのを買った。サングラスがないと、虫が目に入るし、紫外線で白内障になりやすくなってしまうので、個人的には必須の装備だ。兄のOakleyのサングラスも手元にあるのだが、視界がやたら青くなるのになかなか慣れないのと、偏光効果がないのとで、あまり使っていなかった。私は偏光サングラスが好きなのだ。偏光レンズを通して空を見ると、積雲が劇的に描かれて、なんだかやる気が出る。釣りの際に水面下を見るのにも役立つ。さて、Oakleyやら100%やらTalexやらの定評あるメーカーのサングラスを買おうかと思ったが、どれも2万円超えで、高すぎる。サングラスとか手袋とか傘とかって無くして終わることが多いので、「良いものを長く使う」という理屈が通らず、高いものは買えない。よって、5000円以下の安物を探すことにした。要求仕様を改めて考えるに、偏光度と可視光透過率ができるだけ高く、また色の偏りが少ないものがよい。以前は曇天や夕方にも見やすくするために調光機能があるものを使っていたが、それよりは可視光透過率がもともと高いものを選んだ方がいい。各種のレビューを見た結果、Swansの製品が良さそうだったが、結局は以下の製品を買った。

冒険王とかいうブランド名はドンキホーテみたいな庶民感があってむしろ損してるんじゃないかと思うが、日本製なのに3000円以下という値段設定にしているところに好感が持てる。無くしたり壊したりするリスクが高いものなので、安いのは本当にありがたい。そして、仕様をちゃんと明記しているのが素敵だ。偏光度が99%以上と理想的でありつつ、可視光透過率が40%もある。偏光度が高いと可視光透過率は下がる傾向にあり、おそらく偏光度100%だと可視光透過率50%が理論的上限なのだが、それに近い値を出しているのは素晴らしい。安い代償として、眼鏡としての精度(表面の歪みから来る像面の歪みの程度)に難があるのかとも思ったが、私の個体は特に問題はなかった。普通によく見えるし、目も疲れない。反射防止コーティングがないのが最大の欠点で、昼間でも迷光が認知できるし、夜になるとその割合が増えて不快感が増す。とはいえ、昼間のサイクリングに使うには普通に満足できる製品である。それにしても、偏光度99%の世界は鮮やかで、風景を見るだけで楽しい。カメラのレンズの前にかざせばPLフィルタの代用にもなる。

秋を過ぎると、サイクリングの終盤は日が落ちて暗い状態で走ることが多いが、その際にはサングラスを外してしまう。手ぶらサイクリングの場合、外したサングラスをどうやって携帯するかが問題になる。以前のサングラスはズボンのポッケに入れていて、どこかに落としてしまったのだ。ツルをヘルメットの隙間に差し込む手もあるが、走っているうちに落ちそうだ。今のところ、シリコンのスマホホルダに差し込む運用をしているが、そうするとナビが見られないので困る。シャツの襟元にひっかけるという手もあるが、揺れるし体に当たって鬱陶しい。ヘルメットの通気孔にツルを差すとか、後頭部に装着するとかいう手もあるが、いずれも落ちそうで不安になる。サングラスを華麗に車載する方法を検討したいところだ。

これで、冒頭に列挙した備品の中では、ドリンクボトルとサイクルウェア以外は揃ったことになる。ドリンクボトルはペットボトルで代用できる。蓋を開けるのが面倒だが、信号等で止まった時にでもやればいいので欠点というほどでもない。500mmでなはなく650mmボトルが良い。たくさん入るし、ドリンクホルダー内でガタつかないちょうど良い太さだ。中身を詰め替えれば何度も使えるし、気に入らなくなったら捨てればいい。

サイクルウェアは持っていた方がいいだろうが、普通の短パンとTシャツでも走行に支障はない。とはいえ、ガチ勢が必ずサイクルウェア一式を装備しているのは、それらの利点が大きいからだろう。サイクルジャージは、通気性がよく汗をよく乾かすとともに、空力抵抗も上げてくれる。サイクルパンツは、通気性と空力性能に加えて尻への衝撃を緩和する機能を持つ。グローブは転倒時に手を保護するだけではなく、グリップ力を上げたり衝撃を緩和したりしてハンドル操作を補助してくれる。それはわかっているのだが、ちゃんとしたのは高いから、すぐには手がでない。というか、サイクルウェアを着ると、貧弱な自分もガチのサイクリストっぽい見てくれになってしまうので躊躇する。どの世界でもそうだけど、ガチの人々って、なんちゃって野郎に厳しいので、発進でクリート嵌めるのにモタモタしたくらいで死ねとか言われそうで怖い。サイクルウェアも着ない門外漢がたまたまロードバイクに乗っている体でしばらくは精進したい。

まとめ。Pekoの軽量輪行袋とR250のスーパーロングロングツールボトルとその他もろもろの道具を組み合わせると、ロングツーリングに必要な道具類を全てツールボトル内に収めることができる。これで、手ぶらで気軽に乗り出すことができる。常に車載されているので、ロンツー用に荷物を準備してから出かけるのではなく、出先でいつだってロンツーに切り替えられるのが素敵だ。譲り受けたもの以外は安価なもので揃えた。最低限の実用性を備えたローエンドまたはミドルクラスのものを最初に使い、必要を感じた時により本格的なものに買い換える流儀だ。リーンスタート、フェイルファスト、イテレーションである。