豪鬼メモ

一瞬千撃

Rec Mountでコンパスとスマホホルダを切り替えて使う

自転車やオートバイを乗り回すにあたって、基本的にはコンパスで方角を把握しながら進みたいが、迷った時だけはスマホのナビを使いたい。つまり、コンパスかスマホを車体にマウントできるようにして切り替えて使いたい。Rec Mountを使ってそれができるようにした。ブロンプトン用マウントパーツを改造して美しく実現できた。


自転車やオートバイでサイクリングなりツーリングなりをする場合、道を把握するために、現代人はスマホのナビに頼りがちだ。ただ、せっかく青空の下を走っているのにやたらスマホをちらちら見てしまうのは幸福度を下げていると思う。なので、私はどうしても迷った時にしかスマホのナビは使わないようにしている。いちおうシリコンの汎用スマホホルダは持っているが。

道に迷う最大の要因は、自分がどの方角を向いているかわからなくなることである。目的地の方角と自分が向いている方角が大まかにわかっていれば、道を間違えてもすぐ修正できるので、迷うことはほとんどない。「地図が読めない女、話を聞かない男」とかいう本が話題になったのはもう20年以上も前だが、いわゆる方向音痴の人は、目的地の方向を確認してから行動しなかったり、自分がどの方向を向いているかという認識がなかったりするようだ。とはいえ、「古来より狩猟を担ってきた男性は道に迷うと死ぬ恐怖があるので、常に自分の位置や方角を把握しておきたくなる習性がある」とかいうステレオタイプな理由づけを私は信用しない。その習性の差は生理学的・先天的な差というより社会的・後天的な差であり、かつ性差ではなく個体差だと思っている。アボリジニの言語のいくつかでは左右に相当する単語がなく、東西南北で場所を示すという。つまりその話者は男女問わず日常のほとんどの場面で方角を認識しているということだ。一方で、方角の把握に努めない人が道に迷いやすいということは確信している。行き先が常に示されている範囲でしか行動しないならば、それでも困ることはない。行き先がわからない場所に来た時に突然困ることになるが。

私は方角さえわかれば基本的に道には迷わない。小学校の社会や中学以降の地理は大好きだったので、地名にはそこそこ詳しい自負があるし、行動前に目的地とその周辺の地名と位置関係を記憶するようにしている。例えば都内を適当に流して走っていて府中にいると認識した後で、家に帰ろうと思ったなら、府中は目黒からは西北西の方角にあるだろうから、その逆である東南東に近い方角の道を選択していけばいいという判断ができる。問題は、自分が向いている方角がわからないとそれができないということだ。有名な幹線道路を走っているなら、行き先が大体わかるし、道路標識の行き先表示が出るたびに方向に当てをつけることはできるが、最適解にはならないことが多い。それに、道に迷わないように大きめの道を選択するのが勿体無い気もしてしまう。なるべく同じ道は走らずに、名もなき路地を走りたいのだが、路地は微妙に曲がっていたり直角に交わっていないことが多いので、方角の感覚を失って迷うリスクが高い。

コンパスで方角を把握しているならば、世田谷の入り組んだ路地だって、三芳町の何の目印もない農道だって、北千住の曲がりくねった河川道路だって、迷うことはない。迷う心配がなければ、見知らぬ道を積極的に選んでも、それほど時間的損失を気にせずに目的地に向かうことができる。サイクリングやツーリングは、目的地に向かうだけの活動ではなく、その過程で様々な景色に出会うことこそが主目的なのだ。ナビを見ていてはそれが堪能できない。コンパスと冒険精神こそが旅の楽しみを十全にする。

前置きが長くなったが、自転車やオートバイにコンパスをつけるのは本当におすすめである。スマホをマウントするのは時間に追われている場合の最後の手段だ。基本的にはコンパスと脳内地図で道を選び、そうも言っていられない場合だけにスマホを使うべきだ。となると、スマホのマウントにコンパスをつけたくなる。スマホのマウントに関してはいろんな製品があるが、中でもRec Mountがおすすめである。マウントとアダプタの種類が豊富なので、組み合わせることで様々な使い方ができる。私にとっては、ブロンプトンのハンドルステムにつけるマウントパーツがあるのが何よりありがたい。なので、Rec Mountを使ってコンパスとスマホを切り替える方法を模索した。

私は以前は、ノーブランドの小さいコンパスをハンドルステムにタイラップで括り付け、シリコンの汎用スマホホルダも括り付けておいて適宜スマホを装着するという使い方をしていた。ただ、小さいコンパスはそもそも精度がダメダメな上に、鉄のハンドルポストのすぐ近くに置いていたので、誤差が大きすぎて苛つかされることが多かった。また、ハンドルに巻きつけたシリコンの汎用スマホホルダは走っているうちに振動で角度が変わってしまうことが多く、それも残念に思っていた。

定評のある製品群に乗っかる方が利便性を上げやすい。Quad LockやらSP Connectやらいろんなメーカーがマウントシステムを広めようと頑張っているが、Rec Mountもその一つで、車種専用のマウントパーツのラインナップが充実しているのがまず素晴らしい。ブロンプトンも対応されている。各社のサイクルコンピュータやらライトやらカメラやらのアダプタも充実している。私はブロンプトン用のスマホホルダR+BPT3を購入した。

ハンドルステムの真ん中につけられるのが重要で、ブロンプトンの特殊なハンドルステムの形に対応した形になっている。ハンドルポストの微妙な太さの違いを吸収するためのスペーサが同梱されているのも素晴らしい。これと同等のものを自分で木材を削り出して作ろうとも思ったのだが、どう頑張ってもコスパが悪いので諦めた。ニーズにドンピシャな製品があるなら買うべきだ。

購入したものを使ってみると、取り外しレバーがちょっとダサいと思った。また、レバーとロック機構のために高さが嵩上げされているのも気になった。この手の製品はかなり強い衝撃でもマウントが外れたりスマホが壊れたりしないように計らっているが、街乗りが主な自転車につける場合、それはオーバースペックに感じる。転ぶほどの強烈な衝撃で外れたり壊れたりするのはしょうがないと割り切れば、ロック機構は不要だ。よって、アタッチメントの接続部品だけ残して、レバーの部品は取り去って使うことにした。こんな芸当ができるのは、Rec Mountシステムのコンポーネント構成が秀逸だからだ。その結果、こんなふうに低くて単純なスマホマウントが完成した。スマホをつけていない時も目立たないのがとにかく格好いい。

接続部品を直接マウントの台座につけるためには、元からついているネジよりも短いネジにする必要がある。具体的には、皿小ねじM5の15mmが必要である。コーナンProとかのホームセンターに行けば、ばら売りで30円とかで買える。なお、売り場にはこんな感じのネジ穴サイズ測定定規があるので、それにつけてみれば互換性が確認できる。あとはトレーに入れたネジの値段と個数を備え付けの用紙に記入して、一緒にレジに持っていけばいい。

接続部品とマウントの接合部には溝による滑り止めが彫られていないので、ネジで留める際にはそこそこ強いトルクで締め付けておく必要がある(もちろんネジ頭が舐めない程度で)。そうしないと、スマホホルダをマウントした後に、外そうと回転させる際の圧力で接合部が回ってしまって、スマホホルダが外せなくなってしまうのだ。

実際にスマホをつけて走ってみても、衝撃は全く問題にならない。マウンテンバイクとかで20cm以上の段差をバンバン上り下りするような使い方だと厳しいかもしれないが、そんなコースを走るのにスマホをつける奴は居ないだろう。衝撃の心配はさておき、低めにマウントされたおかげで、視界の中でスマホがあんまり主張しないのがまた良い。レバーがなくても、取り付けや取り外しに全く問題はない。

ハンドルの真ん中にそこそこ強度のあるマウント部品がついたことで、そこにバッグをひっかけられるようにもなった。これが案外便利で、今までやっていたバックパックをカラビナで引っ掛ける方法が不要になり、単に中央のストラップで引っ掛ければよくなった。これができると、バックパックの背中に汗が溜まりそうな時にマジで便利。中央ストラップが外れることはまずないし、実際にはバックパックの左右のショルダーストラップをハンドルに通すので、落ちる心配はない。

これを基盤としてコンパス対応を考える。まずは精度の問題だ。Rec Mountに元々ついているネジは鉄製であり、また取り外しレバーの中にある板バネも鉄製で、それらはコンパスの精度を狂わせる。コンパスに近づけてみるとわかるが、ネジのような小さな部品でも鉄だとそれなりの磁力を持っている。なので、取り外しレバーを省略したのは磁力の点でも好都合だ。上述のネジはステンレス製のものを選んだし、マウントの台座もアルミ製なので、これで強磁性体がコンパスの近辺に存在しないようにできる。また、接合部を低くしたおかげで、コンパスのような小さい部品をつけても不恰好にならない

取り付けるコンパスは、定評のある日本のメーカーであるYCMのマップコンパスNo.880を選んだ。オイルダンパーで、回転ベゼルで、直径48mmとちょうど良いサイズで、耐久性があり、精度も定評があり、かつ値段も安めだ。単なる磁石に精度も何もないと思うかもしれないが、外国製だったり妙に安かったりするものはまじで粗悪品が多いので気をつけたい。文字盤全体が回転する方式よりも、針だけが回転する方式の方が基本的に精度が高い。

YCMのマップコンパスの黒い外枠部分の内径は36mm強で、Recマウントの接合部の外径よりほんの0.5mm程度大きい程度だ。コンパスを接合部に乗っけると、ぴったりと外枠がはまる。ただし、このままでは固定力はないので、振動などですぐ外れて落ちてしまう。ならば、外枠の下側にちょっと尻すぼまりのパッキンのようなものをつければ固定できそうだ。取り外しの際に適度に伸縮するが、コンパスの質量と慣性力程度では外れない程度の固さの輪っかで、内径が36mmで、高さが2mmほどあって、底がすぼまって34mmとかになるもの。そんな都合の良いものは存在しないので、作らねばならない。ラバーシートで作るとかいろいろ考えたのだが、とりあえずはスポンジを使うことにした。台所用スポンジのコゲ取り用の固いところを切って、内径36mmよりもちょっと狭めの輪っかを作る。それを接合部に当てがって広げた状態で、ボンドC17を塗ってコンパスと接着する。


スポンジの良い点は、厚さと弾力性があることだ。コンパスと接合部の接面ではなく壁の輪っかで柔らかく固定されるので、振動でカチャカチャ音が鳴らない。それでいて、固定力はそこそこだ。コンパスをつけたままハンドルを折り畳んで、コンパスが逆さまになっても落ちない(とはいえ畳む時に勢いをつけすぎるとコンパスがフレームに当たってしまうので注意)。狭いものを広げた状態で接着しているので、塑性で接合部に圧着してくれるっぽい。もちろん走行時に突然外れるようなこともない。

スポンジで固定しているので、コンパスの外枠と指標部の両方を回転させられる。これは、マップコンパスとしての利用を可能にする。まず、地図を水平に置いた状態にする。地図上に現在地と目的地を結んだ線を描くか想定するかして、その線の上にコンパスを置く。コンパスの外枠を回転させて、地図の北とコンパスの外枠の北を合わせる。磁北線が描いてあればそれを利用するが、なければ目視で合わせる。その状態で、コンパスの指標部を回転させて、矢印が目的地を指すようにする。この時に矢印がある部分の目盛りが向かうべき方角だ。実際には地図を置いて作業する必要はなく、要は地図を見ながら指標部の矢印をこれから向かう方角に合わせればいいだけだ。スマホの地図を見ながらでもできる。例えば渋谷から自由が丘に行きたいなら205度の方向(南東南)くらいに矢印を合わせる。

外枠と矢印の角度はそのままにして、矢印が真っ直ぐ前を向くように自転車に取り付ける。実際は適当にグリグリと回して取り付けてから、矢印に前方を差させて、その矢印がさっき覚えた方角の目盛りになるように外枠を回転させた方が楽だ。そして、針のS極(赤)が外枠の北を指すように、自転車を向ける。厳密に言えば、地図上で真北に外枠を合わせていた場合は、偏角を考慮するなら北から8度西=352度の位置にS極が来るように調整すべきだ。地図上で磁北線を使った場合は、フィールドではS極が真北になるようにする。この時に向いている方向が、行きたい方向である。よって、針が外枠の北を指している状態で進めば、目的地に近づくことになる。実際には道に沿って進まなきゃならないから厳密に方角を定めても意味はないが、だいたいの方角をコンパスに設定しておくことは有意義だ。

車体のハンドルを折り畳む際に勢いをつけてしまうと、ハンドルストッパーの窪みに遊びがあるせいで、マウントしたコンパスが前輪のフォークに衝突する可能性がある。たとえコンパスやその他の器具をつけていなくても、マウントの接合部そのものがフォークに当たって破損する可能性がある。この衝突を根本的に防ぐには、ハンドルストッパーの窪みの遊びを無くすのが良い。そのためには、窪みの奥に1mmから2mm程度の厚さのものを詰めて貼り付けると良い。私は100均で買った自己融着テープを適当に折り重ねたものを詰めてボンドG17で貼り付けたが、おそらく養生テープやガムテープでも問題ないだろう。おそらくこの手順はブロンプトンでRec Mountやその他のマウント機構を使う上では結構重要だ。というかこれをやらないで運用するとそれなりの確率でマウントを破損するだろう。

さて、新たなコンパスをつけて試走してみた。自転車が走行すればそれなりの衝撃がかかって針がブレるのだが、衝撃が収まればすぐにちゃんと北を指してくれるのは素晴らしい。これで、もう迷わない。不惑の四十を過ぎた私だが、人生には迷いまくりだ。自転車くらいは迷わずに走行したい。というか、まじで、コンパスは便利なんだってば。とりあえずつけっぱなしにしておけば、道に迷うことがなくなる。それでいて、ナビに頼っていては通らないような道に臆せず入っていける。間違うことはあっても、迷うことはない。今走っている道がどの方向を向いているのかを把握していれば、次回以降にその道を走った時に、その時の目的地への移動に寄与するかどうかを推定できるようになる。言い換えると、道の記憶を方角で整理できるようになる。そのデータベースが脳内に構築されているか否かで、その街への愛着が変わってくる。見知らぬ街が、道を覚えるだけで、知っている街になる。その過程では、スマホ画面内の地図を見ているのではなく、街の風景を見ている。涼しげな緑道、素敵な邸宅、美味そうなパン屋、小洒落た喫茶店、渋い雑貨屋、謎のオブジェ、そういうのをたくさん見つけるだろう。そうして覚えた道が増えれば、まるで故郷のように思えてくる。おかげで、目黒も世田谷も渋谷も、もう私の街だ。

余談だが、地球の自転軸と地表の接点である北極と、磁石のS極が指す北磁極はかなりずれている。二つの方角のずれである偏角を認識しておくことは重要だ。自分が地球上のどの位置にいるかで偏角は変わるし、しかも時間経過でも変化するのだが、現時点で東京近辺では西に8度であることを覚えておくと良い。磁北の方角が西に8度ずれているということは、コンパスのS極が指す方向から東に8度ずらした方向が真の北だということだ。スマホのナビはその補正をした上での方角を示すので、コンパスのS極が指す方向とスマホのナビに描かれるコンパス的なUIが指す北は8度ずれているのが正しい。なお、スマホのコンパスアプリ(マップアプリではなくコンパス専用アプリ)は、真北と磁北を切り替えられるものが多い。いずれにせよ、スマホのコンパスの精度はひたすら悪く、合っている時もあれば、90度以上ずれる時もある。まともに方角が知りたいなら針のコンパスは持っていた方がいい。

さらに余談だが、大都市を走るなら、幹線道路の大まかな位置を覚えておくとマジで便利だ。東京の西側でまず覚えるべきは、8つの環状線だろう。皇居の周りの内堀通り(旧環状1号)、赤坂やら四谷やらを通る外堀通り(旧環状2号)、六本木やら信濃町やらを通る外苑東通り(旧環状3号)、麻布やら青山やらを通る外苑西通り(旧環状4号)、渋谷やら新宿やらを通る明治通り(旧環状5号)、中目黒やら初台やらを通る山手通り(旧環状6号)、馬込・上馬・代田・笹塚とかの環七通り、田園調布・用賀・高井戸とかの環八通りだ。それに加えて、都心から放射状に伸びる15号、1号、246号、甲州街道、青梅街道などを順次覚えていく。格子状の京都の道は「丸竹夷二押御池姉三六角蛸錦四綾仏高松万五条」とか唱えて東西方向と南北方向に分けて整理するのと対照的に、東京では環状と放射状に分けて整理すると良い。主要な道路を覚えておけば、適当に走っててもどれかにぶち当たるので、コンパスもスマホも地図もなくてもだいたいの位置と方向は把握できるようになる。
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さらにさらに余談だが、コンパスがない場合でも、昼間であれば太陽の位置を頼りに大まかな方角を把握すると良い。春分秋分では太陽は真東から登り、真西に沈む。夏至では、太陽は真東より約30度北寄りの東北東から登り、真西より約30度北寄りの西北西に沈む。冬至では、太陽は真東より約30度南寄りの東南東から登り、真西より約30度南寄りの西南西に沈む。春分秋分では昼の長さは12時間、夏至では14時間半、冬至では9時間45分。つまり、春分秋分の日没は12+12/2=18なので18時くらいで、夏至の日没は12+14.5/2=19.25なので19時半くらいで、冬至の日没は12+10/2=17なので17時くらいとざっくりわかる。明石より4度東にある東京の経度では日本標準時より16分(=0.26時間=4/360日)早めの位置に太陽が位置するのだが、それは単純化のために無視しよう。12時にはどの季節も太陽は真南にある。春分秋分の15時には太陽は南西にある。夏至の15時には(15-12)/(14.5/2)*(90+30)=49.65なので、南から50度西であり、太陽は南西より5度ほど西寄りにある。冬至の15時には(15-12)/(10/2)*(90-30)=36.0なので、南から36度西であり、太陽は南西より9度ほど南寄りにある。所詮は簡便法なので厳密な計算をしても意味はないのだが、走っている間に時間はたっぷりあるのだから、そんなような暗算をして遊ぶのもまた一興だ。コンパスがあると、自分の計算が正しいかどうかが検証できる。面倒な場合、とりあえず15時には太陽は南西付近にあり、夏ならそれよりちょっと西寄り、冬ならそれよりちょっと南寄りにあるってことだけ覚えておけばいい。9時では南東を基準に同じことを考える。なお、夜には北極星を見つければ簡単に北がわかり、北斗七星やカシオペア座を使って見つける方法が有名だが、東京では星が全然見えないのが残念だ。
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閑話休題。方角を把握する習性のない人間は、地図が読めないだけでなく、ナビがあってすら進行方向を間違えて道に迷う。そんな情けないことにならないように、日頃から方向感覚を養って、さらには開拓者精神をも養うべきだ。その第一歩が羅針盤の活用であり、大人は見えない釈迦力コロンブスである。名もなき道を選択する際にも、目的地の方角に近い方を選べば正解率はかなり高くなる。意外に曲がりくねった道でいつの間にか反対方向に進んでしまったような場合でも、コンパスがあればすぐ気づいて、修正できる。見知らぬ道を開拓する際にも、目的地の方向から45度以内ならOKとかいう基準を決めておけば、進軍と開拓を両立できる。コンパスは電源の心配もいらないので、体力が続く限りどこまでもいけるし、つけっぱなしにしておけるのも魅力だ。

せっかくマウントをつけたのだから、サイクルコンピュータでもつけてみようかと一瞬思った。ロードバイクについているCateyeのPADRONE SMARTを付け替えてもいいかなと。見知らぬ道はコンパスをつけて風景を味わい、知っている道はサイコンをつけて走りを追求するような使い分けも面白いんじゃないかと。ただ、速度センサー(タイヤ回転数センサー)とケイデンスセンサー(クランク回転数検出センサー)が一体化した方式だと、クランクの回転範囲と後輪の回転範囲が重ならない小径車に装着するのは絶対に無理だ。スピードセンサーだけならGPS方式のサイコンでもいけるし、もっと言えばスマホのマップアプリでも現在の速度は表示されるので、ケイデンスが測れないならサイコンの意味がない。そもそも2段変速ではケイデンスの制御がまともにできないから、ケイデンスが分かったところで意味がないというのもある。やはりブロンプトンは走りを追求するような車種ではなく、コンパスでもつけて裏路地をうろつくのが似合っているということかな。

まとめ。Rec Mountのブロンプトン専用ステムポストマウントは素晴らしい。しっかり固定できるし、ゴテゴテしない控えめなデザインが秀逸だ。取り外しレバーとロック機構を外すと、もっと簡素で格好よくなる。スマホやサイコンをつけるのに最適だ。その上、ちょっと工夫してコンパスをつけることを推奨したい。コンパスで方向を把握できれば、ナビを使わなくても道に迷うことが少なくなる。風景を楽しみながら見知らぬ土地をサイクリングするには、コンパスは最適な道具だ。Rec Mountがあれば、ブロンプトン以外でも同じことができるので、ぜひやってみてほしい。


追記。しばらく運用したところ、マップコンパス的に方角の目盛りを使うことがほとんどないことに気づいた。北を指す針だけあれば、自分がどの方角を向いているかわかるし、行き先の方角は脳内にある。厳密な角度を知ったところでその通りの道があるわけじゃないので、あまり意味がない。よって、コンパスを分解して、指標部だけを取り付けることにした。取り付けにはRec Mountの汎用アダプタを使った。

こいつ丸く切って、紙やすりで丁寧に処理してやると、まるでコンパスをマウントする専用の部品のような佇まいになる。

3Mの両面テープでなんでも付けられるアダプタなので、それを利用してコンパスをつけるとこうなる。しかし、両面テープの接着部が微妙にはみ出しているし、接着部の白さが目立って格好悪い

直接アロンアルファでつけた方がよいと思ったので、そうしてみた。手作り感は否めないが、いかにもフィールドワーク向きの雰囲気を醸し出すようになった。これで勝つる。