豪鬼メモ

一瞬千撃

ERGONのGS3ハンドルグリップをブロンプトンに装着

ブロンプトンのSタイプハンドルには是非とも角付きハンドルグリップをつけた方がよい。平地巡行も登坂もマジで楽になる。私はERGONのGS3をつけたが、これがめっちゃ良い。


ブロンプトンのリアサスペンションにはショックアブソーバーがついているが、フロントサスペンションはリジッドなので、路面の凹凸による衝撃がもろに手に伝わってくる。車体やハンドルバーにしなりやすい素材(クロモリまたはチタン)を使うことで衝撃を緩和する策を講じているらしいが、それでも長時間乗ると手が痺れるくらいには衝撃が伝わってくる。M(Middle)ハンドルよりもS(Low)ハンドルの方が衝撃は大きい傾向にあるらしいが、大差はないだろう。いずれにせよ、スポーティに乗りたいならSハンドル一択であり、その場合に手に伝わる衝撃を和らげる策を講じたくなる。

ブロンプトン純正のハンドルグリップは手が疲れて仕方がなかったので、早々にERGON社のGP1に換装して、長年使っていた。GP1は手前に向けて広くなっていて、そこに手の平を置いて運転すると楽に運転できるようになっている。平地巡行する際には、掌底をグリップの広い部分に添えるだけにすると、手の痺れが緩和できる。掌底が疲れたら、指尖球(中指から小指までの付け根部分)を添えるように持ち替えてもよい。持ち方をローテさせるのが肝要だ。

スタイリッシュなGP1も気に入っていたが、角(ツノ)が欲しくなった。ブルホーンハンドルというやつだ。長時間乗ったり、凸凹の多い道を路を走破すると、GP1でもまだ手が痺れることがある。角があれば、角を縦に握ったり、角の上に手を添えたり、角の上部に手の平を被せたりして、いろんな持ち方をローテに加えて、負荷を分散できる。また、登坂でダンシングをする際には是非とも角を持ちたくなる。休むダンシングをする場合、もっと前に重心をかけたくなるが、ブロンプトンのハンドル位置では体の姿勢が窮屈になるので、前に突き出た角を掴めるのは都合がいい。踏み込むダンシングをしたい場合にも、角を縦にしっかり握れる方が力が入れられる。総じて、上半身の力をより効率的に使うには、角付きのハンドルであることは必須だ。そこで、GS3の登場である。

GPシリーズとGSシリーズの違いは、GPが街乗り用で、GSがクロスカントリー用の形状であることらしい。GSの方が見た目がスポーティで格好いいと私は思うが、正直言って大して変わらない。GP3やGS3には必要十分な大きさの角がついている。角が少し小さいGP2やGS2という製品もあるのだが、それでは足りない。GP3/GS3のように大きな角がついていると、できるだけ前の方に手を置けるので、重心の制御がしやすい。ブロンプトンを畳んだ際のクリアランスは、GP3/GS3でギリギリだ。それより大きい角のGP4やGS4という製品もあるが、おそらく畳んだ際にホイールにぶつかってしまう。ブロンプトンにつけられる角はGP3/GS3で最大なのだ。

エルゴンのGP/GSシリーズにはSサイズとLサイズがあるが、私の手の大きさではSサイズで十分だった。また、ショートとロングがあるが、ブロンプトンにはどちらでもつけられる。私はロングを選んだが、その場合にはハンドル上のベルやシフターの位置を中心側にずらす必要がある。六角レンチで簡単にできるので、問題ない。ロングの方が手を置く場所が広くて気持ち良いと思うが、ショートでも問題はないだろう。

GS3に換装して走ってみると、思った通り良い。長時間のサイクリングをしても、手の痺れを感じることが少なくなった。平地巡行の際には、基本的には角の先端を手の平で包むか、手の平をを開いて角と水平部分の全体に置くことが多い。無意識にそうしているので、それが最も楽なのだろう。角の先端近くを握って重心を前の方に置くように意識するだけで、力を入れて漕がなくても勝手に速度が上がるのが面白い。

角に手を置いた状態ではブレーキレバーが握れないので、ブレーキをちょくちょく使う街乗りでは角はあまり活用できない。よって、街乗りしかしない場合は、GP1/GS1で十分だ。ただし、GP3/GS3も平たい部分の形状はGP1とほぼ一緒なので、GP3/GS3は上位互換と言ってもいい。敢えてGP3/GS3の欠点を言えば、重さが245gであり、GP1の160gに比べて85gほど重いことだ。しかし、微妙な重さが走行性能に影響するのは登坂の際だけで、登坂では角付きの方が確実に有利なので、やはりGP3/GS3の方が全面的に良いと言えるだろう。

急加速や登坂のためにダンシングする際には、角を縦に握ることで得られる力は大きい。縦持ちの方が上半身の力をしっかり下半身に伝えられるのだ。また、縦持ちだと安定して車体を振ってダンシングできるようになり、体重移動による入力もしやすくなる。右足を踏み込む時は右腰にを入れつつ右手を手前に引いて、車体を左に傾ける。左足を踏み込む時は左腰を入れつつ左手を手前に引いて、車体を右に傾ける。そうすると、脚力をそんなに使わなくても、それなりの推進力が得られる。この動きをするにはハンドルの角が必須だ。

GS3に変えてから、休むダンシングがかなりやりやすくなった。ちょっとした登坂になると、むしろ平地巡行で疲れた筋肉を休めるチャンスと思って、休むダンシングをしたくなる。休むダンシングはギアが軽すぎるとケイデンスが上がってかえって疲れるので、むしろちょっと重いくらいが良い。そうすると、前回の記事で述べた剛脚設定(フロントが楕円52Tにリアが11Tと15Tの2速編成)の使用範囲が広がる。結果として、より遠くにより速く行けるようになる。もちろん、より軽いギア設定での登坂性能も上がるので、良いことずくめだ。むしろやらない理由がない。

GS3の効果を試すべく、都内や近郊の坂を見つけてはわざわざ登っている。その一つが世田谷は砧公園の南方にある岡本の富士見坂だ。なかなかの急坂だが、ハンドルを握り込んで上半身の力を合わせて踏み込むダンシングをすれば56T/16Tのギア比でも登ることができた。GP1では無理だったかもしれない。感覚的には、角付きの方が10%くらいは大きいトルクが出せるような気がする。

まとめ。ブロンプトンのハンドルグリップをエルゴンのGS3に変えたら、かなり走りやすくなった。ハンドルグリップの換装は金も手間も大してかからない割に絶対に効果があるので、まずハンドルグリップの換装を勧めたい。BBとかクランクとかギアとかプーリーとかに手を出す前に、まずはハンドルグリップだ。角がなくても走るのに問題はないが、角があるだけで平地巡行も登坂も楽になる。ガチな人だけでなく、楽にダラダラ走りたい人にも有用だ。