天気が良かったので、都心部のサイクリングに出かけてみた。ついでに、空を写そうということで、オリンパスの魚眼ボディキャップレンズBCL0980だけで各所を撮るという趣向にしてみた。
自宅を出て、246号から渋谷で六本木通りに乗り換えて、ずっと東進するという計画だ。途中で、懐かしの六本木ヒルズに寄ってみた。でかい建物には魚眼レンズがよく合う。あおって撮ると屹立する一物のように力強い森タワーの姿はいつ見ても秀逸だ。その正面広場にある蜘蛛の像が卵を抱くママン(母)というのも対比的で良いなと。
六本木一丁目の泉ガーデンビル。ここにも勤めていたことがあるので、懐かしい。初めて見た時は、埼玉出身なのにこんな洒落たところで働くことになるとはと感慨深かった。
さらに進んで、霞が関周辺に来た。ど定番である国会議事堂を撮るわけだが、敷地には入れない。正面玄関から普通に撮ると、こんな間延びした写真になってしまう。
広角なので、あるいは魚眼なので、寄らないで面白くするのは難しい。ここは構図を工夫して頑張るしかない。まず、正面から撮っても面白くないので、別の入口に移動する。で、北口。空を多めに写せばなんとかなるだろうと。
空を青く写すには逆光だと厳しいということに気づいたので、南口に移動。予想通り、空と雲のパターンが空間を埋めてくれて、それなりの写真になった。
せっかくなので周りの官庁街も撮っておこう。国交省、外務省、国会図書館、内閣府、警視庁、法務省旧館。ちなみに首相官邸を撮ろうとしたら、「撮影禁止ですー」と警官に追い払われた。当然といえば当然だが、休会中の国会議事堂よりも毎日営業中の首相官邸の警備の方が段違いに厳重だ。
最高裁判所。ここも敷地に入れないので、普通には正面玄関を写せない。しかし、周辺をぐるりと回ったところ、手前にある公園からならなんとか撮れることを発見した。といっても、街灯に半ばよじ登ってやっとこの構図だ。自撮り棒とかがあればもうちょい良くなったかな。いっそのことドローンを飛ばしたら良い絵が撮れるだろうけど、警察沙汰になるだろう。
皇居に移動して、定番の二重橋。これも正面からだと遠すぎて、主題が小さくなりすぎる。
寄って撮りたいが、正面は堀なので、近づくほどに角度が変わってしまう。よって、橋が画面一杯になるギリギリの位置でフェンスから手を伸ばして撮った。そして、右端にちょろっと写っている警官に「フェンスに乗り出さないでー」と追い払われた。仕事を増やしてすまない。
桜田門から警視庁をフレーム構図で。それだけだと面白くなかったので、ランナー達も入れてみた。
大手町のビル群。広角で水平に撮ると上下が間延びする問題の対策として、斜め構図で誤魔化す。
東京駅に向かうプロムナード。イチョウ並木が美しかった。このシーンでも上下が間延びする問題があったが、空がいい感じの模様になっていたので、そちらを副題っぽくして仕上げた。
皇居東御苑が公開日だったので、初めて入ってみた。石垣の石がでかくて、さすが江戸城だ。
江戸城天守閣跡にも行ける。明暦の大火で焼けた後、再建途中で石垣だけ積んだ後に天守閣など不要だと気づいてやめたのだとか。英断だが、徳川の威信を見てみたかった気もする。ということで、あるはずの天守閣を想像させるべく、上に空間を作ってみた。
上から撮るとこんな感じだ。奥の芝生の場所に本丸御殿があって、手前側が大奥だったらしい。ロマンだ。
園内にある武蔵野の林を再現したという区域もなかなか良い。東京の真ん中にあるのに、野鳥がさえずる不思議な空間だ。
二の丸跡の庭園も美しい。この例では反射像が間延び問題を解決してくれている。
神田を経由して、秋葉原に移動。普通の道を面白く写すのは難しいが、雰囲気を記録するという意味では適当に撮ってもいろいろ情報が入るので良いのかも。
サンボの牛丼。この絵が今回最も良く撮れた気がする。飯撮りだと普通は店内の様子は同時には写せないが、魚眼広角であれば、それが可能だ。牛丼を主題に据えつつも、薄暗く乱雑な店内で大将とバイト君が働く様子や、黙々と食事をする他の客たちも捉えている。
水道橋の後楽園遊園地。子供達が小さい頃はよく来たものだ。ビッグエッグをうまく撮るのは広角だと難しい。近づくとドームの白い屋根が映らなくなってしまうからだ。
帰りがけに立ち寄った外苑前のイチョウ並木がやばかった。めちゃくちゃ混んでてレミングス状態。車道に出て撮影しようとする人々を警官が叫んで追い払うというやりとりがひっきりなしに見られる。犯罪者と戦うべき人員をカメラ男女の管理に割くのは申し訳ないというか、リソースの無駄な気がする。しかし、交通整理にも権威と強制力が必要な場合があるだろうから、少なくとも公道では警察がやるしかないのだろう。
まとめ。たまに魚眼レンズを使うと面白い。寄って撮れるなら躍動的な感じが出せる。寄れない場合はうまいこと工夫してネガティブスペースを処理する必要が出てくるが、それはそれで創造力を発揮する契機だ。空が綺麗な日には、困ったら空を入れとけば見栄えがするので、使いやすい。とはいえ、魚眼の写真ばかり見てると何だか空間酔いしてくるので、魚眼一本でお出かけというのは正直辛いかもしれない。しかし、ばっちりはまると面白い写真が出てくることがあるので、魚眼をポケットに忍ばせておくと楽しい。BCL0980はあくまでボディキャップなので邪魔にならないしね。
余談だが、東京のストリートフォトといえば、EyExproreというYouTubeチャンネルがかなり面白い。なんでこの被写体を選んだかとか、なんでこの構図にしたのかとかを解説しながら作例を紹介してくれるので、わかりやすい。ボブの絵画教室的な感じで、見てると自分でも試したくなるところが素晴らしい。あと、英語の発音が聞き取りやすいし、そもそも発話内容が理路整然としているので、理解しやすい。
おまけ1。BCL0980以外の例。せっかくレンズ交換できるんだから、いろいろ使った方がいいよね。
おまけ2。モノクロの方がそれっぽいんじゃないのということで、グレースケール変換フィルタをかけてからコントラスト増し増しに調整してみた。以前にも書いたが、フィルタを選んだりトーンカーブをいじったりする余地が大きいのがモノクロの良いところだ。