豪鬼メモ

一瞬千撃

三浦半島一周の旅

ロードバイク三浦半島一周してきた。ブロンプトンで使っているVT30Cサドルとロードバイクの相性を確認する試走でもある。


ロードバイク用にPrologo Kappa Evo PASを導入した話を前回の記事で書いた。その結論としては、直立気味の乗車姿勢となるブロンプトンでは柔らかめのSelle SMP VT30Cが適していて、前傾気味の乗車姿勢であるロードバイクではProlog Kappa Evo PASが適しているというものだった。そこまでの検証で明確に確かめられていなかったのは、ロードバイクにVT30Cをつけてロングライドしたらどうなるかだ。VT30CはKappaよりは柔らかいけれど私にとっては硬めのサドルなので、ロードバイクにつけても悪影響はなさそうな予感はする。幅が155mmと広いのでもしかして脚の動きを邪魔するかもしれないけれど、それは試してみないとわからないことだ。近所をちょろっと走ってわかることと、100km越えのロングライドをしてわかることは違うので、実際にやってみるべきだ。

三連休初日は箱根峠を走破して、中日はアクティブレストで荒川サイクリングロードを走りつつサドルの検証をしていたのだが、連日乗ると流石に疲労と尻痛が蓄積してくる。硬いサドルも試していたので、尻にオデキが発生していた。なので、連休最終日は多摩川の丸子橋の下とかで読書でもしようかと思っていた。ちょうど幼女戦記の14巻が出ていたので、川でも眺めつつ一気読みしようという算段だ。せっかくなのでその行き帰りにロードバイクにVT30Cをつけた場合の乗り心地を試そうと思って出かけた。そしたら、なぜか、三浦半島を一周して湘南を横切って藤沢駅に居た。走れる時に走ってしまういつもの癖だ。多摩川に着いたら、ついでだから横浜まで行ってしまおうと思い、横浜に着いたら、ついでだからみなとみらいで海でも見ながら読書しようと思い、途中で16号に乗ったら横須賀まで行ってヴェルニー公園で読書しようと思い…、などと計画変更を重ね、139km走ってしまった。さすがは自転車の王たるロードバイクだ。図らずもVT30Cのロングライドでの検証ができてしまった。ていうか、全然読書できてない。

読書の場所を求めて出かけただけなので、当然レーパンなどは履いておらず、しかもKindleや防寒用の上着を入れたバックパックを背負ったままだ。バックパックを背負うと尻への負担が増すのでフェアな検証にならないのだが、成り行き上仕方ない。丸子橋はすっ飛ばして関内の中央通り公園で休憩。ここは札幌の大通り公園みたいで地形はいい感じなのだが、惜しむらくはコンクリートが多くて「憩い感」が薄いことかな。

横浜から16号を走り、ぼっちざろっくでも出てきた金沢八景。今度こそここで読書でもしようと思ったんだ。でも、脚がまだ先に進めと言ってくるのだ。ブロンプトンだったらこの辺で勘弁されていたかもしれないが、ロードバイクはもっと強欲なのだ。

なんとなく走り続けていたら、もう横須賀。ここまで来ると、もう三浦半島回っちゃおうと気持ちが切り替わってしまった。以前ブロンプトンでもやったのだから、ロードならなんてことはない。

横須賀から観音崎に至るまでの道で、5kmくらいの直線がある。ここは信号も少なくて、めっちゃスピード出せるので好き。平坦・無風・良舗装の条件なら、素人でもリズム良く踏んでいけばどんどん速度が上がって、数秒ながら45km/hとか出せるのだから、ロードはすごい。

観音崎で昼飯休憩。いつも通り、サラダチキンとダイエットコーラと菓子パン。サラダチキンでタンパク質20gくらい取れて、菓子パンで糖質が取れて、ダイエットコーラでカフェインが取れる。コーヒーでもいいんだけど、サラダチキンには炭酸が合うのだ。

さて、VT30Cをロードバイクにつけた場合のレビューをしておこう。総評としては、Kappa Evo PASと同程度くらいに良い。VT30CのパッドはKappa Evo PASよりは柔らかく、快適性は若干上だ。やや前傾気味に取り付けると、坐骨を後ろから優しく支持してくれる感じがして、乗り心地が良い。ただし、Kappa Evo PASに比べるとノーズが太いので、太腿の内側には若干の摩擦感がある。また、座面の幅も太いので、太腿の付け根に若干当たる感じはある。しかし、それらは痛みを生じるほどではないし、脚の動きを邪魔するほどでもない。走行性能はKappa Evo PASに全く劣らないと思う。というか、連日それなりの距離を乗っていると、皮膚の表面的な痛みには慣れてしまう。カレーなどに入っている辛味は痛みと同じ刺激だが、慣れるとそれはむしろ心地良さと関連づけられる。サイクリストにとっての尻痛も同じようなものだろう。筋肉の痛みは看過できないが、皮膚の表面的な痛みはスパイスみたいなものだ。Kappa Evo PASもVT30Cも筋肉の痛みは引き起こさないのでどっちも合格点だ。「ストッ」と落ち着いた衝撃制動を好むならKappa Evo PASを、「ボイン」と楽しい衝撃制動を好むならVT30Cを選ぶと良いかな。ロード用ならVT30Cより細身のVT20Cの方が私にはいいだろうけど、VT30Cでも全く問題ない。

観音崎から先は、海沿いを走って浦賀久里浜を通過するのがおすすめだ。三崎に行くには内陸の道が最短なのだが、三浦半島に来たなら先っぽの海沿いの道を走らない手はない。ここも信号に捕まらないので飛ばせるし、海岸の景色が楽しいし、街並みがいかにも海岸通りって感じで好ましい。こういうとこで育ちたかった。

三浦海岸を過ぎてから内陸部に入ると、台地にキャベツやら大根やらの畑が広がる景色が迎えてくれて、海岸の景色とのギャップが新鮮だ。

三崎を通り抜けて城ヶ島。この磯場はもう6回くらい来ているかな。釣りをするのでもなければ特に何があるってわけでもないのだが、スタンプラリー的な達成感を求めて、三崎方面に寄るといつも来てしまう。

三崎から一気に北上して、立石公園。この日は曇りだったが、ここの夕日はめっちゃ良いのでおすすめだ。


三崎からは、横須賀が起点である国道124号を走ることになる。ここも走っていて気持ちが良いのだ。逗子あたりまでは全く混んでないし、程よいアップダウンがあり、そして海岸線の景色が綺麗だ。あっという間に逗子に着いてしまう。

由比ヶ浜稲村ヶ崎も通り抜けて、いつものパシフィックドライブインの駐車場で休憩。鴨川的なカップルスポットで汗だくのオッサンが涼んでいるのも場違いかもしれないが、臆せず入っていくスタイル。

腰越漁港の前にある池田丸で奮発して煮魚定食と生しらす。煮魚もうまかったけど、やっぱ、しらす定食にすればよかったかなー。しらすかき揚げがマジでうまいので。

すっかり暗くなった中、江ノ島から境川を遡上して藤沢まで言って、電車輪行で帰った。やっぱPekoの軽量輪行袋は便利だ。ツール缶の半分しか場所を取らないのに、普通に輪行できる。今度は無くさないようにしよう。

さすがに三連休ぶっ通しでロングライドしたらちょっと疲れた。しかし、不思議なことに、「まだ乗れる感」がある。慣れてきたのもあるし、中上級者に比べれば速度が遅くて体を追い込めていないのもあるだろうが、趣味で楽しく乗る分には十分な領域にきたかなと思っている。太腿やふくらはぎもちょっと太くなってきた。尻が耐えられるようになった原因は、適切なサドル選択や慣れはもちろんあるのだが、大臀筋大腿二頭筋が太くなったのもあると思う。あと、最近気づいたのだが、自転車に習慣的に乗っていると、姿勢がよくなるっぽい。体幹が鍛えられた結果か、骨盤(仙骨)を前方に入れる癖がついた結果かはわからないが、特に座っている時に背筋を伸ばしていないと気持ち悪く感じるようになった。元々若干猫背の嫌いがある私なので、この変化は嬉しいものだ。

まとめ。ロードバイク三浦半島と湘南を走り抜けるととても気持ちが良い。VT30CはKappa Evo PASと同等に使えるサドルで、ロングライドにも普通に耐えられることが確認できた。