豪鬼メモ

一瞬千撃

ブロンプトンで鎌倉湘南小田原箱根サイクリング

遠乗りでしょでしょロングがショートに変わる世界で。ということで、ショートクランクを装着したブロンプトンを駆って神奈川県を横断してきた。やっぱショートクランクいけてるんじゃね説。


ブロンプトンにショートクランクをつけたのだが、つけたばかりの数日はあまりしっくり来ず、むしろ遅くなったんじゃないかと思ったくらいだ。ただ、しばらく乗って漕ぎ方のコツをつかめば、より楽に乗れるのではないかという予感はあった。トライアスロン選手の間でショートクランクが流行しているそうで、それは長い距離を乗っても体力が温存しやすいからだそうな。ならば素人が遠乗りサイクリンクをする際にも有用なのではないか。

そんなわけで、暑さもひと段落してきたところだし、遠乗りの行程を組んでみた。中目黒から南西に進んで横浜を抜けて鎌倉、それから湘南の海岸沿いに東進して小田原、そこから箱根のヒルクライム小田原駅に戻って電車輪行で帰るというコースだ。全長124kmらしい。実際にはもっとグニャグニャと曲がりながら走ったので、130kmくらいは乗ったかも。

自宅から出て、都内を適当に流して南西に向かう。コンパスを頼りになるべく南西に近い道を選択するのだが、男塾の直線行軍みたいで楽しい。どんなに細い道だろうと、どんなに険しい道だろうと、合法的に通れるならば、目的方向に近い道を必ず選択する。そうすると、だいたい知っているはずの都内の道でも毎日新たな発見がある。この日は雪谷大塚でなかなかの激坂を見つけた。急すぎて車両通行止めになったらしい無名の坂。登ってみたいという欲求に駆られたが、脚が売り切れそうなので遠慮した。日を改めて再訪しよう。

さらに進んだら国道1号につきあたったので、以後はそれに沿って進んだ。夏の終わりというか秋の到来を感じる涼しい風が吹き、快適な旅である。鶴見、横浜、上大岡、大船を通り抜けて、鎌倉市街に。鶴岡八幡宮はいつも通り賑やかだった。若宮大路の参道をゆっくり走り抜けるのが私はかなり好きだ。はるばる鎌倉から渋谷に通っている同僚がいるが、その気持ちがちょっとわかる。


Loveずっきゅんにも歌われる由比ヶ浜。海の家のシーズンが終わってパリピ的な人々が去り、マリンスポーツや散策をはじめとして海好きの人々が思い思いに過ごしているのが良い。

西進して稲村ヶ崎を通り抜けるところで一瞬見えるこの景色がいつも素晴らしい。突然開けた視界に富士山と江ノ島と海と空が入ってくる。

七里ヶ浜江ノ島。ここもシーズンオフは空いていてよい。日陰がないのでまったり読書とかはしづらいのが玉に瑕だ。

茅ヶ崎サザンビーチと茅ヶ崎漁港。直売所で生しらす釜揚げしらすを買って食べ比べ。料理屋で頼むとちょびっとしか食べられないが、自分で調達してコンビニでドレッシングを買ってぶっかければかなりの量を堪能できる。今まで生しらすの方がうまいと思っていたし、たしかに生しらすの食感は面白いのだけれど、食べ比べると風味は釜揚げしらすの方が上かも。甲乙つけがたい。



江ノ島から相模川河口までは海岸沿いの道を進むと海の景色が堪能できて良い。路面が砂だらけなので速度は稼げないが、行程を楽しむのがサイクリングである。ただし、この日は大丈夫だったが、南風が強いは砂が雨のように降ってくるから注意だ。


大磯を過ぎると、太平洋岸自転車道というサイクリングロードが始まる。原付二種ファンの敵であるところの西湘バイパスに沿って進むのだが、こちらも海が見えて気持ちが良い。ただし、大磯ロングビーチから先は国道1号と合流してしまうのが残念だ。


そうこう言っているうちに、小田原。休憩がてら、小田原城を散策。小田原は適度に栄えてて海も山も楽しめていいな。埼玉生まれの私としては、海があるだけでときめくのだ。ただ、西湘バイパスが海と街を分断しているのがちょっと残念だ。普通二輪で走る分には西湘バイパスは気持ち良いのだが。

はるばる小田原まで来て満足したのでもう帰ってもよかったのだが、まだ15時半だったので、箱根まで行けんじゃねと欲が出た。勢いで西進して、箱根湯本を通り過ぎ、箱根峠に向かう山道へ。外装2段しかないブロンプトンでは、1速を使っても、急坂が続くと辛過ぎる。しかし、箱根は激坂というほどでもないので、気合を入れればなんとか登っていけた。しかし、芦ノ湖まで行く予定だったが、結果としては10kmほど登ったところで日没になったので断念した。無理しないのもサイクリングだ。いずれロードバイクで再挑戦しよう。


帰りがけに強羅のコンビニに寄って、ずいぶん遅いおやつを調達。体づくりをしたいなら、サラダチキンと炭酸水がおすすめ。筋肉になる栄養がとれるし、腹一杯になる。それから、心地よい疲れを感じつつ、下り坂を爆走して小田原駅まで戻り、小田急線で輪行して帰った。下北沢まで一本で行けるので小田急線ってば便利。

ところで、筋トレ系のコンテンツを見ると、「筋肉をつけたいなら有酸素運動は控えめにしろ」と主張していることが多い。有酸素運動を多くすると筋肥大の効果は弱まるというか、むしろ筋肉が分解されやすくなるらしい。ただ、それはボディビルの観点での話だ。健康で活力的に生きたいなら、見てくれのよい体というだけではなく、動ける体を作ることが重要だ。テニスやサッカーやサイクリングなどのスポーツをするにしても、登山や釣りやDIYなどの趣味に没頭するにしても、筋力と持久力の両方が必要だ。よって、筋トレは隙を見てやるとして、多少筋肉が分解されるにしても、持久力を向上する活動もしたい。私はそれにはサイクリングが最適だと思っている。なにせ、一日中やることができるし、運動強度も自在に選択できるし、各地を訪れて知見を広められる。私が主にやる遠乗りのサイクリングなんて負荷が低すぎるとも思ったが、以下の動画で述べられているようなL2・L3の運動量に図らずもなっているので、効果はちゃんとあるっぽい。実際、私の安静時心拍数は年齢にしてはかなり低い方なので、少なくとも自分には効果があるらしい。今後も続けていこう。
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さて、ショートクランクの感想である。165mmのショートクランクにつけかえてから今回が初めての遠乗りなのだが、結論としては、巷の評判通り、疲れにくくて良いと思った。純正の170mmからだとたった5mmの違いだが、誰でも体感できる水準で乗り味が変わる。前回の記事で述べた通り、重いギアで速く走ろうとすると、脚に負担がかかって遅くなる。しかし、ショートクランクになってトルクが落ちた分に相応以上にギアを軽くして、高めのケイデンスで乗ると、むしろ楽に走れる。道中でそこそこ早いロードバイクにも追従できたので、速度もそれなりに出せたと思う。

クランクが短くなって下死点の地上高が上がった分だけサドルも上げたわけだが、シートポストは斜め後ろに傾いているので、サドル位置が若干後ろにずれることになる。そのせいかどうかはわからないが、ケイデンスを上げて漕いているて気がつくとサドルの先っぽの方に乗っていることがある。てことは、サドル位置をもう少し前に持って行った方がいいかもしれないと思った。前乗り気味の方が踏み込みの力が入りやすいらしい。前乗りすると上死点での足運びが窮屈になりがちだが、ショートクランクはその問題を緩和してくれるので、むしろ丁度いい気がする。サドルの前後位置や傾きの調整は今後の課題だ。

何度か書いたことだが、ケイデンスが高い方がリカバリゾーンでの速度低下が小さくなるので、それを補うために必要なパワーゾーンでの加速も小さくなり、脚の負担が分散される。下死点付近での早めの抜重と引き足を心がけて、小さく軽く足を動かすようにすると、余計な力を使わずにケイデンスを上げていくことができる。5時には脱力して後ろに足を引き始めてペダルの底を後ろに引き摺る摩擦を生じさせ、6時を過ぎて摩擦を感じたらもう斜め上に足を引き上げてトウクリップ側に足の固定を委ね、そのまま円形に足を引き上げる。巡行時にはこの後ろ側の回転を意識すると良さげだ。もちろん11時から4時まで前や下にしっかり踏み込むのもした方がいいのだが、意識の優先度としては後ろ側を重視した方が、無理な力をかけなくていい気がする。

ショートクランクで漕ぐとケイデンスが上がっていない状態ではあまり性能が良くないので、回転域のパワーゾーンが高回転側に移ったということになるのかな。レシプロエンジンと違って、人間が漕ぐ場合はそこそこ高いケイデンスの方が燃費もいいらしい。ただし、うまく脱力して漕げればという条件付きだ。要は、慣れだ。慣れればショートクランク(というか体のサイズに合ったクランク長)の方が楽に速く進んでいけると言ってもいいだろう。130kmも走ると結構慣れてくるもので、今ではすっかりショートクランクの支持者だ。ブロンプトンで100kmを超えたサイクリングをすると後半はかなりバテ気味になるのだが、今回はそんなことはなく、時間が許せばまだ走れる状態だった。脚も尻もまだ余力があった。他の要因もあるかもしれないが、ショートクランクで脚の負荷を低減できたのも一因であると思っている。

登坂性能はショートクランクにすると悪化すると思っていたが、それも杞憂だった。クランクが極端に短かすぎるとダンシングが忙しくなりすぎて問題になるだろうが、適度に短い分には問題ない。むしろ、上死点でのひっかかり感がなくなって、多少ケイデンスが落ちた時でも止まりそうにならないという利点が大きい。今回の箱根の道はフロント52Tとリア16Tの組み合わせでは重すぎるギア設定であり、ケイデンスが下がり過ぎてやばいと思ったが、なんとか止まらずに10km進むことができた。52T+17Tだったらもっと楽に登れただろう。

まとめ。ブロンプトンにショートクランクをつけて遠乗りしてみたところ、楽に速く走ることができた。湘南の海を眺めつつ、ペダルを快適に回しながら進んでいくのは気持ちがよかった。以前はかなり低いケイデンスで走っていた私だが、ショートクランクに変えて高めのケイデンスで走行すると、その方が楽だと感じるようになった。平地巡行も登坂もショートクランクの方が良いと感じたので、もはや前のクランクに戻る理由はない。