豪鬼メモ

一瞬千撃

PLフィルタふたたび

夏といえば青空と水遊び。そして、青空の散乱光や水面の反射光を除去するのはPLフィルタの仕事である。以前買ったものを紛失してからしばらく使っていなかったのだが、夏に向けてまた買ってみた。
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以前買ったのはマルミのDHDサーキュラーPLDという製品だが、37mmの口径で定価9000円もする割には正直あんまり良くなかった。画面の色がやたらと青っぽくなったり、それでホワイトバランスが崩れて雲やその他の白色が赤っぽくなったりする問題が散見されたのだ。で、買い直すにあたってネットでレビューを探したのだが、PLフィルタを真面目に比較しているところは見つけられなかった。一つの製品だけ使った感想はあまり参考にならない。なので、とりあえず安いものでいいやということになった。それで見つけたのがケンコーのクラシックカメラ用PLフィルタ。1644円て安い。9000円に比べたらなんて素敵。

こいつはCPL(サーキュラーPL=円偏光)フィルタではなく普通のPLフィルタであり、微細スリットで偏光を除去した後の光が円偏光に調整されないので、レンズの後にさらに偏光に影響される機構があるとその挙動に誤差が出てしまうとのこと。製品の説明には、ハーフミラーを使ったAF機構や測光機構があるカメラやローパスフィルター付きのカメラでは副作用があると書いてある。しかし、私が使っているオリンパスE-M10にはそれらの機構がないので、問題ない。円偏光のための層がない文だけ、製品も安くなるし画質への悪影響も少なくなると考えられる。実際に使ってみてもAFや測光に全く問題ないし、色被りなども感じられないのでなかなか良い買い物であった。

ちなみに私が良く使うM.Zuiko 17mm F1.8やM.Zuiko 25mm F1.8のフィルタ口径は46mmなのになぜ37mmを買ったかと言うと、エツミのインナーメタルフードをつけているからである。このフードの前には37mmのネジ切りがしてあるのでフードのさらに前にフィルタをつけられるのだ。そんなことしたらケラレが発生するかもと思ったが、少なくともMZ17とMZ25とPLフィルタを組み合わせても問題はない。さらにM.Zuiko 45mm F1.8のフィルタ口径は37mmなのでそちらでも同じフィルタが使えてお得。

ETSUMI メタルインナーフード 46mm Panasonic LUMIX G 20mm/F1.7専用 ブラック E-6309

ETSUMI メタルインナーフード 46mm Panasonic LUMIX G 20mm/F1.7専用 ブラック E-6309

さらにちなみにだが、このフードを使うならキャップはこのワンタッチレンズキャップが最安。どうせキャップなんてすぐなくすから、安いのじゃないとやってられない。

ETSUMI ワンタッチレンズキャップ 37mm用 ブラック E-6481

ETSUMI ワンタッチレンズキャップ 37mm用 ブラック E-6481


閑話休題。購入した。PLフィルタで試写してみた。本当は抜けた青空と入道雲とかの組み合わせで試したかったのだが、生憎の曇天。ならば反射除去の効果を試そうということで、森タワーが良い感じに写る場所を探して六本木を彷徨ってきた。まずはPLフィルタなしで。森タワーがテカってる。
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そして、PLフィルタをつけて、フィルタを回しながら効果が最大になるところを探って撮影。ビルの窓のテカりがかなり弱まっているのがわかる。
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ここで気づいたのは、ビルのテカりを最弱にするフィルタ角度と、手前の木のテカりを最弱にするフィルタ角度が違うということだ。まあ光源は太陽からの直接光だけじゃないから当然なんだけど。ならば、フィルタの角度をちょっとずつ変えたブラケット撮影をしてから後処理で比較暗合成すれば、ほぼ全ての偏光が除去できるのではないか。90度を4回に分けて22.5度ずつずらして4枚撮った画像を比較明で合成するとこうなる。元画像よりちょっと暗くなるのでガンマ1.1で補正している。すると、ビルと樹木の双方の反射光がうまいこと消えて、「目に優しい」画像になっている。
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参考のために、比較明合成の結果も挙げておく。こちらは元画像よりちょっと明るくなるので、ガンマ0.9で補正している。フィルタ無しには及ばないが、ビルと樹木の双方にテカリが戻っている。
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さらに興味本位で、平均合成の結果も挙げておく。PLフィルタの効き具合が全ての被写体で同じくらいになるので、この方法が最良になる作例もありそうだ。絵画では立体感を出すためにテカリを書き込むのが非常に重要な技法になっているわけで、そのテカリを全部取るってのはさすがに不自然だろうから。
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PLフィルタは、反射光や散乱光を除去する分、ハイライト部分の輝度が下がって画面のダイナミックレンジを狭める効果があり、それに合わせて露出を上げたり後処理で加工することで画面全体のコントラストを上げることが可能となる。比較暗合成の例に対して後処理でコントラストを上げるとこんな感じになる。視認性の良い私好みの絵になった。
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ぶっちゃけこの作例だと違いがわかりにくいかも。各画像をタブで開いてパラパラ切り替えて見比べると違いがわかるんだけどね。ていうかこんな面倒くさいことをいちいちやりたくないので、カメラ側でやってくれはしないだろうか。RX100とかのNDフィルタ内臓のコンパクトカメラは市場にあるのだから、PLフィルタ内蔵のも出していただいて、しかもPLフィルタブラケットと合成を全自動でやってくれれば嬉しかったりしないだろうか。平均合成的な効果でよいのなら、露光中にPLフィルタを90度回して1枚の撮影で実現してもいいし。

OLYMPUS 単焦点レンズ M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 シルバー

OLYMPUS 単焦点レンズ M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 シルバー