豪鬼メモ

一瞬千撃

ブロンプトンのフロントキャリアブロックとゴム留め式ラック

フロントキャリアブロックで荷物を運べるのがブロンプトンの特徴として挙げられるが、8年目にしてついに導入した。バッグ用フレームを専用バッグに差し込む方式ではなく、剥き出しのラックにゴムバンドでフレームとバッグを括り付ける方式にしたので、既存のバックパックが使える。


おしゃれ小径車であるところのブロンプトンは積載性がなさそうに見えるが、フロントキャリアブロックというアタッチメント機構があり、積載性を任意に向上させられるようになっている。アタッチメントに任意のフレームを付け替えることで、3Lとかの小型バッグをつけることも、28Lとかの大型バッグをつけることも、カゴをつけることも、ペットケージやら水槽やらウインチやらの突拍子も無いものをつけることも可能になる。

私はChromeのAVAIL BACKPACKを愛用していて、基本的にどこに行くにもそれを背負っている。19Lというちょうど良い容量で、背中の風通しによって汗が溜まらないようになっていて、ドリンクホルダーやPC用の仕切りもあり、まさに私のニーズを満たすものだからだ。バックパックなので、背負ってしまえば自転車の積載性は関係ないとも言えるが、時には自転車に載せたいと思うこともある。真夏には風通しがあっても汗が溜まるのと、ロングライドの際に重い荷物を背負っていると尻の負担が大きくなるのが主な理由だ。
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これから夏に向かって暑くなり、またロングライドも頻繁にやる季節なので、できれば自転車にバッグを搭載したい。Recマウントを導入した際に、マウントにバッグのストラップをひっかける方法を編み出して、今までその方法で運用していた。しかし、ハンドルに引っ掛ける方法だと、ハンドル操作が重くなるという問題がある。運転に支障があるというほどでは無いのだが、機敏な操作がしにくくなるので、楽しさが減衰するのは残念であり、また幹線道路でトラック等と並走する状況での安全性を考えても、望ましいことではない。
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フロントキャリアブロックは、左右に回転するハンドル軸ではなく、それを支えるパイプ側についている。よって、ハンドルを切っても荷物が左右に振れないので、ハンドル操作が重くならない。また、小径車であるブロンプトンはハンドル前の空間が広く取れるために、大きな荷物をそこに位置させることができる。さらに、ブロンプトンの車体形状は後輪荷重の度合いが大きいため、荷物を前輪に置いても前輪荷重が大きくなりすぎないで済む。キャリアブロックとバッグ用フレームの重さが追加されることは欠点だが、それ以外には良いことずくめで、総じて利点の方が大きいと判断した。

私のモデルではフロントキャリアブロックは同梱されていなかったので、買う必要があった。純正で5500円、H&Hのだと12650円とかで売られていて、正直言って割高である。ブロンプトンのパーツはいちいち高い。しかし、中華製の互換のものが手に入るので、そちらで済ませることができた。

同様にして、バッグ用のフレームも買う必要があった。こちらも純正で8500円、他社のでも日本製でも同じ価格帯だが、中華製だとこの値段で済んだ。工作精度があまり問題にならない単純な部品に関しては、無名中華ブランドのものでも問題ないことが多く、逆にそうでない高級品を買うと非常に損した気分になるので、賢く選ぶのが大事だ。

いわゆるブロンプトン専用バッグというのは、バッグ用フレームをバッグ内に差し込んで固定するためのスリットがついているバッグのことである。よって、バッグだけではなく、そのバッグに対応したフレームも買う必要がある。そして、バッグを自転車から外して持ち運ぶ際には、バッグ用フレームをバッグにつけたまま持ち運ぶことになる。その方式だと、自転車との付け外しは楽だが、重いフレームを持ち運ぶことになる。もちろん、フレームをバッグから外して持ち運ぶことも可能であるが、そうなると、そもそもバッグとフレームを一体化させる専用バッグであることの意味がほとんど失われてしまう。よって、私はフレームにゴムバンドが付いていて、どんなバッグでもフレームに括り付けられるものを選んだ。これなら今愛用しているChromeのバッグがそのまま使えるし、他のバッグも使える。駐輪の際にはフレームは自転車につけたままにすればいいし、自転車を折り畳んで運ぶ際にはフレームをバッグの中に収納すればよい。

フレームをバッグに収納するため、フレームのサイズはバッグよりも小さいものを選んだ。フレームは縦29.5cmの横25cmで、Chromeのバッグは縦40cmの横30cmなので、バッグの背当ての部分に沿わせればギリギリ収納できる。これ以上フレームが小さいと走行時の保持が甘くなるし、これ以上大きいとバッグに入らなくなるので、絶妙なサイズだ。

重さも測ってみた。フロントキャリアブロックはネジ込みで66.5g、ラックは317.8gなので、合計384.3gだ。バッグだけを背負って走行するのに比べて、それなりに体感できる重量増にはなるが、尻への負担を軽くして汗が溜まる煩わしさを回避するためであれば、許容できる費用だ。

実際に荷物を乗せて走ってみたところ、やはり快適だ。バッグにPCやカメラを入れた状態で前輪に乗せても、ハンドル操作が重くならない。前輪に荷重が移ることでタイヤの接地感が変化するが、走行性能に変化はない。そして、尻にかかる荷重が減るので、楽だ。背中に感じる風も気持ちが良く、汗もすぐに乾く。体に直接付いているものは少ない方が開放感がある。この写真ではバッグに海釣りセットを無理やり詰め込んでいるので限界まで膨れているが、それでも保持に問題はない。

ラックにはヒトデのように五本腕のゴムがついていて、それでバッグを締め付けて保持できるようになっている。留め具はプラスチックのバックルで、腕の長さはマジックテープで調節できる。この機構によりラック自体よりもかなりでかいバッグも積載できる。ただし、バッグが縦長の場合、上の腕をバッグの上から回り込ませるには長さが足りない。そうすると段差などで衝撃がかかるとで上からバッグが飛び出してしまいそうな気もするが、実際にはバッグが飛び出すほどの衝撃はまず起きない。そんな衝撃があればおそらく運転者は落車している。とはいえ、安心のためにはバックパックの上にある吊り下げ用のストラップに上の腕を通してマジックテープで止めると良い。

デフォルト状態だとゴムの腕はラックの鉄パイプに巻いてあり、それはゴムの根本がパイプに沿って動くようになっている。これは荷物の形状に合わせて腕の位置を調整するのに便利だが、走行中にゴムがずれるという問題がある。よって、下二本の腕はラックの床の穴につけなおし、横二本の腕はパイプに沿って上の方に移動させてから結束バンドで留めてしまうことにした。これで全く走行中にも全くずれなくなった。

バッグが縦長だとハンドルに干渉する可能性があり、それを避けるために巷のブロンプトン専用バックはほとんど横長形状になっている。で、私のバッグはどう考えても縦長であり、ハンドルに干渉する。ただし、固定用の腕がゴムなのが幸いして、干渉しても押し切ってしまえばハンドルを限界まで切れる。通常走行時にハンドルを限界まで切ることはまずないので、干渉するとすれば押し歩きしている際に小回りしたい時だけだ。その場合は、干渉してもグイッとハンドルを押せば、ゴムが伸びて何とかなる。

縦長バックパックの良いところは、上の口を開けておけば走りながらでも荷物を出し入れできることだ。私はカメラを入れていて、走行中にもさっとカメラを取り出して運転しながら片手で撮るとかも普通にやる。縦長で下半分に着替えやら何やらの荷物を入れておくと、頻繁に出し入れする荷物は上端付近に来るので、とても取り出しやすい。また、縦長だと横長よりはおそらく空力的に有利だし、すり抜け時や歩道走行時に車や人にぶつかる恐れも小さい。

難点なのは、バッグをゴムで固定しているので、走行中にバッグがゆらゆら揺れるのが視認できてしまうことだ。揺れたからって外れるわけでも落ちるわけでもないのだが、大丈夫かよとちょっと心配になる。とはいえこれは単に心の問題なので、慣れれば気にならなくなってくる。

もう一つ欠点がある。専用バッグよりも付け外しが面倒だ。おそらく専用バッグなら装着に2秒、取り外しに5秒というところだろうが、ゴムバンドとバックルでバッグをきちんと固定する作業は20秒くらいかかる。何時間も走るのなら20秒くらいは何てことない投資ではあるが、頻繁に付け外しするような使い方には向いていない。まあ頻繁に付け外しするくらいだったらバックパックを背負ったままにするだろうけども。

まとめ。ブロンプトンにフロントキャリアブロックを導入して、ゴムバンドで支える方式のラックをつけて運用してみた。専用ではない任意のバッグがつけられて、しかも縦長の普通のバックパックにも対応できるので、投資を最小限に抑えつつもキャリアブロックシステムを堪能できる。