豪鬼メモ

一瞬千撃

Liteproのディレイラーテンショナーは結局駄目

ブロンプトンディレイラーテンショナーとして安価な互換品のLiteproのものを使って半年ほど使ってきたが、もう駄目になってきたという話。


ブロンプトン純正のディレイラーテンショナーは長年使っていると変形してくる。テンショナーアームのプーリーの方向が変わって、チェーンラインからずれてくるのだ。ちょっとずれたくらいなら機械抵抗が増えるくらいだが、大幅にずれてくるとチェーンが外れてしまう。

よって、買い替えねばならなかったが、純正は高いので中華製の互換製品であるLiteproのものを導入した。一連の話は以前の記事にまとめた。
mikio.hatenablog.com

しばらくは満足して使っていたのだが、ギアチェンジできないことが頻繁にあって、イラついてきた。プーリーにボールベアリングが内蔵されているおかげでプーリー自体が回転せず、よってプーリーが横にスライドする際に静止摩擦力が働く。この抵抗がかなり大きいらしく、プッシャーのバネやワイヤーの力では押し切れずにギアチェンジに失敗するのだ。FacebookBrompton Hacksグループでも同じ話題が出ていて、この話をしたら同意してくれる人が結構いた。

そこで、プーリーだけを純正に戻したところ、正常に変速するようになった。機械抵抗も体感できるほどは変わらないので、このまま運用しようと思っていた。和田峠碓氷峠も風張林道もこれで走破した。しかし、半年経った頃、テンショナーアームが曲がり始めていることに気づいた。

純正のテンショナーアームは樹脂製だから曲がってくるのだと思っていたが、アルミ合金製であるLiteproのでも結局は曲がってきたわけだ。プーリーも使えないしアームも使えないのでは、この製品の良いところは全くないことになる。とはいえ、純正に戻しても同じ問題が発生するだろうし、H&Hとかの高い互換品を買ってもこの問題が起きないとは限らない。抜本的な対策は後回しにして、とりあえず今の製品のアームを直す方向で検討した。といっても手順は単純で、でかめのモンキーレンチでアームを挟んで、歪んだ方向とは逆方向に捻るだけだ。

アルミでも樹脂でも変形からは免れなかったし、むしろアルミの方が早く変形してしまったわけだが、逆に歪ませて直すのもアルミの方がやりやすい。実際のところ、歪みを修正する処置をしてから1ヶ月くらいは歪みが気にならずに運用できる。ちょっと面倒ではあるが、洗車や空気補充のついでにテンショナーアームの処置もすれば、ほぼ真っ直ぐな状態で乗り続けられる。しばらくはこれで持ちそうだ。ただ、アルミは疲労限界がなくて突然破断するので、曲げたり戻したりを繰り返しているとそのうちぶっ壊れる予感がする。

そもそも、何で普通に乗っているだけでこんなにすぐ歪むんだろう。確かに私の走行距離は小径車の想定範囲を大きく超えたものだろうけども、特に悪路を走っているわけではないので、大きな衝撃がかかっているとは考えづらい。しかし、それとは別に思い当たることがある。楕円チェーンリングを装着していることで、ペダルが回転する度に必ずテンショナーアームが2回上下することだ。どこかのブログで、楕円チェーンリングでも線対称(おそらく点対称と言いたいのだろうからそう読み替える)なら回転中にチェーンリングの外周は変わらないからテンショナーがないシングルスピードでも問題ないみたいないことが書いてあったが、それは間違いだ。確かに点対称ならチェーンとチェーンリングが接触している長さはどのクランク角でも同じになる。しかし、チェーンとチェーンリングの嵌合部と、チェーンとリアスプロケットの嵌合部の間の距離はクランク角によって異なる。よって、ペダルが半回転する間にテンショナーが上下に稼働しないと距離の差を吸収できない。楕円率が低ければ、テンショナーがなくてもチェーンの遊びが差を吸収してペダルを回せるかもしれないが、おそらくフレームとチェーンの両者にかなり無理をさせることになるだろう。そして、私のO.Symetricチェーンリングの楕円率は1.215もあるので、テンショナーが目に見えて上下しないと距離の差を吸収できない。実際の走行時に目視しても、テンショナーがグイグイと上下動していることが確認できる。つまるところ、テンショナーアームが激しく動き続けることになるため、それがアームの変形を促進しているのではないか。

この仮説が真であれば、純正テンショナーが特別駄目というわけでもなく、Liteproのが特別駄目というわけでもなく、もしかしてブロンプトン用のテンショナーディレイラー製品は大体駄目なのかもしれない。楕円チェーンリングによってチェーンテンションが変わりまくる状況が設計の想定外なのではないか。もしそうなら、もうプッシャー式のディレイラーテンショナーからは卒業して、ロードバイクMTB用のコンポの4速とか7速とかのディレイラーテンショナーを導入した方が良いのかもしれない。楕円チェーンリングを止めるという手もあるが、楕円の乗り味はめちゃくちゃ好きなので、手放したくない。

まとめ。Liteproのディレイラーテンショナーをブロンプトンに導入して運用してきたが、プーリーのスライドがうまくいかない不具合と、テンションナーのアームが曲がる不具合が起きて困っていた。プーリーは純正のに戻して、アームはレンチで逆に捻ることで、今の所は何とか定常運用できている。しかし、遅かれ早かれ破綻する気がするので、抜本的な対策を考えるべきだろう。