SonyのコンデジRX100にリコーのワイドコンバージョンレンズDW-6を無理やりつける計画の真の最終編と今までのまとめ。
今回の進展
前回の作業にて本体とワイコンの距離を0.8mmまで縮めたおかげで色収差をかなり抑えられたが、今回の作業でさらにその距離を縮めて、0.3mmほどにすることに成功した。
前回の磁石は厚さ0.8mmであったが、それを0.5mmにした。多少磁力を弱めても保持力は十分だと思ったのと、DW-6の溝とMagFilterリングを敢えて噛みあわせて横滑りしにくくすることで結果的にワイコンが脱落しずらくなると判断したからだ。
また、接着剤を0.2mmの両面テープからアロンアルファに変更した。似たような材質で実験した結果、アロンアルファでもうまくすれば付くだろうと判断したからだ。これによって接着剤の分の厚さはほぼ0になる。
ということで、0.3mmというほぼ限界まで距離を縮め、RX100とDW-6の組み合わせで再高画質の構成になったと思う。ワイコンを手でかざして密着させて撮った場合と区別がつかないくらいになった。
試行錯誤でやっとここまで来た。実に、磁石5種類と両面テープ2種類と接着剤2種類を試したよ。
今までのまとめ
RX100にDW-6をつける構成は本当にオススメなので、誰かの参考になればと思い、作業内容をここにまとめておく。前提として、以下のものが必要である。
- デジカメ本体:Sony DSC RX100
- ワイドコンバージョンレンズ:リコー DW-6
- マグネット着脱式のCPL:Carry Speed MagFilter CPLの42mm
- 丸型ネオジム磁石:直径3mm、厚さ0.5mmのものを50個ほど。
- 瞬間接着剤:アロンアルファの一般用
手順はこんな感じになる。作業時間は30分以内で済むと思う。
- MagFilterの手順書に従い、鉄のリングをRX100の鏡筒に装着しておく。リングの場所を鏡筒のド真ん中にすることが重要。ずれるとその分だけ収差が偏って出てしまうので、慎重にやること。鏡筒の外径とリングの外径の差が3mm強なので、その大きさの分だけをマスキングテープで何箇所か覆ってガイドとするとよい。ガイドに合わせて鉄のリングを仮置きして、その状態で鉄のリングの外径と鏡筒の外径の差を全方向で測定し、全く同じくらいになっているかどうかを確認しておく。ずれていたらガイドの貼付けをやり直す。大丈夫そうなら、本番の貼付けを行う。
- 本体に接着した鉄のリングの上に、丸型ネオジム磁石を並べておく。びっしり並べるには、上端のS極とN極を互い違いにすることが必要。また、びっしり並べつつも、鉄のリングの外周より外側に磁石がはみ出ないように注意する。その状態で、DW-6を被せてみて、ひっかからずに置けるかどうかを確認する。
- DW-6にアロンアルファを塗る。DW-6の内側を上にして、小さいキャップを外して机に置いてから、溝の部分にアロンアルファをまんべんなく塗る。レンズにアロンアルファがつかないように注意。
- 鉄のリングと磁石のついたRX100を持ち上げて、磁石の輪をDW-6の溝にぴったり合うように接着する。この作業はアロンアルファが乾く前に5秒ほどで完了させること。DW-6の方を持ち上げると液ダレするリスクがあるので、かならずRX100の方を持ち上げてDW-6の上に置く形にすること。
- 接着剤が乾くまで数分待ってから、RX100とDW-6をそっと引き剥がす。
そうすると、DW-6の側に磁石がくっついた状態になるはず。これが完成形である。なお、接着剤が完全に乾くまで、DW-6だけを風通しのよい場所に置いておく方がよい。蒸発した接着剤がレンズに付着するのを避けるため。
この状態のDW-6をRX100の鏡筒に近づけると、磁石の力でくっつく。鉄のリングが溝にぴったりはまった状態にするのが重要である。そうするとずれないし、よっぽどの衝撃を与えない限りは脱落しない。ただし、ゆっくり傾けるように手で力を加えると外れる。装着した状態でも取り回しがよくて便利だ。もちろんワイコンを外せばMagFilterも普通に使える。
装着した状態はこんな感じ。本体とワイコンのデザインが似ていて大きさもぴったりなので、まるで純正品みたい。
電源オフでカバーをつけた状態だとこんな感じ。磁石が結構強いのでこの状態でも持ち運べるが、何かに強くぶつけたらワイコンが脱落する可能性があるので、人ごみなどでは外すかワイコンに手を添えて運んだ方がいいかも。
鏡筒とワイコンの隙間は本当にわずか。これが実現したかったのだ。
作例
まずはお約束の比較テスト。ワイコンをつけずに広角端28mmの写真。
DW-6をつけて22mmにするとこうなる。かなり広くなる。画面端はやはりちょっと色収差が出てるが、言われないと気づかない程度だ。画面の中央の画質の劣化は、言われても気づかないくらいだ。
直線の被写体がまっすぐに写っているので、歪曲収差はほとんどないと言っていいかと。わずかに樽型収差があるっぽいが、定規を当てないとわからない程度。
後ろに車道があって引けないシーンで役立つ。コントラストが高くて色収差が出やすい部分も、それほど気にならない。
逆光気味だとちとゴーストが出るが、まあ許容範囲だろう。
まあとにかく、広く撮れるのである。視界全体を一撃で収めたい時に嬉しい。
後日談: 上記の写真を撮ってから後にさらに欲が出てきて、ワイコンと本体の距離をさらに縮めた。MagFilterの鉄のリングと本体の接着が粘着テープなのに着目し、それを省いてアロンアルファで直付けしたところ、距離0.1mmほどに近づけた。しかし、あんまり画質は変わらないみたいなので、ここまではやらなくていいだろう。ワイコンと鏡筒の距離は0.3mmで十分で、それより、ワイコンが鏡筒の中心にきっちり置けるかどうかの方が重要っぽい。上記の写真では、鉄のリングの位置が画面左下方向にちょっとずれていたのが影響して、画面右上に偏って色収差が発生しているのだ、鉄のリングを付け直したらそれが解消された。なので、鉄のリングを設置する手順を最も慎重にすべきである。
まとめ
ということで、コンパクトながら画質に定評のあるRX100の広角端28mmの画角を22mm相当に広げられる便利ツールが完成した。画質もワイコンとは思えないレベル。レンズ交換式一眼でないと使えなかった超広角が今この手に。もしかしたら、MagFilterが使える他のコンデジでもこのDW-6が装着できるかも。画質がどうなるかは試してみないとわからないけど。
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