豪鬼メモ

一瞬千撃

ブロンプトンにディズナのチェーンガードを装着

ブロンプトンにディズナのチェーンガードを装着して、スボンの裾汚れを防止するとともに、チェーン外れを防止した。若干の重量増加は欠点だが、利便性の向上は確かなものだ。


ブロンプトンの純正のチェーンリングはチェーンリングガードが一体化している。チェーンリングガードがあると、ズボンの裾がチェーンに触れるリスクをかなり低減してくれる。英国紳士淑女が通勤や街乗りで使うのだから、ガードが付いているのは自然なことだ。また、チェーンが外側に外れるリスクもガードがついていればほぼゼロになる。

私のブロンプトンでは、チェーンリングを社外品のものに変えているので、ガードがなくなっている。社外品のチェーンリングでもガード一体型のものはあるのだが、楕円チェーンリングでガード付きというのは市場に存在しない。私はO.Symetricの楕円チェーンリングを使っているのだが、その乗り味が気に入っているので、それを変えるつもりはない。

チェーンリングにガードがついてない場合、別途にチェーンリングガードとかバッシュガードと呼ばれる製品をつけることも可能だ。チェーンリングガードと呼ばれる場合はズボンの裾汚れを防止する目的の軽量な製品であることが多く、バッシュガードと呼ばれる場合はMTBなどで木や岩などにチェーンリングがぶつかっても壊れないようにするための堅牢な部品であることが多い。私の使い方は明らかにチェーンリングガードの方だ。なので、最も軽量なものを選びたい。で、調査したところ、ディズナ(Dixna)のラインガードなる製品が私の需要を満たしていた。多くの製品は堅牢性を重視していて150g以上の重さがあるのだが、この製品だけはかなり華奢な作りになっている。

楕円チェーンリングは楕円であり、チェーンリングガードは真円なので、適切なサイズを決めるには注意を要する。楕円チェーンリングは短径と長径の長さがかなり異なるが、長径に合わせてガードを選ばねばならない。私が使ってるO.Symetricの52Tは長径が235mmであった。よって、ディズナのラインガードの238mmのものを選べば最適であろう。ズボンの裾がチェーンに触れるのを防ぐには、チェーリングの直径よりも少し大きいガイドを選ぶのが重要だ。

ところで、私のブロンプトンフロントダブルにカスタマイズしているため、それにさらにチェーンリングガードをつけると、3枚もの部品をクランクに装着することになる。ディズナのガードは厚さが3mmあり、またチェーンとガードが触れないようにするために3.5mmのスペーサがついているが、それを含めるとフロントチェーンリングユニット全体の厚さが6.5mmも増えることになる。よって、チェーンリングフィクシングボルトはフロントトリプル用のものが必要だ。色が黒でトリプル用のボルトは珍しいのだが、こちらもディズナのものが適合していた。この製品もアルミなので軽量だ。

製品が到着した。簡素なアルミの輪っかで、手に持つと意外に軽い。

重さを測ってみた。チェーンリングガードは走行性能の向上に寄与しない重量増加であり、しかも回転する部品なので、できれば軽い方がいい。98.6gは無視できない重さだが、チェーンリングガードの中では軽い方だ。なお、O.Symetricの52Tチェーンリングの重さは96gなので、チェーンリングよりガードの方が重いというのが何とも悲しいというか歯痒いというか。

スペーサとボルトセットも重さを測ってみたところ、それぞれ4.2gと15.4gであった。

今まで付けていたフロントダブル用のボルトセット(ボルトとナット)は25.2gであった。よって、重量増加は98.6 + 4.2 + 15.4 - 25.2 = 93.0gということになる。この重量増加と、そして合計7000円ほどの出費を納得させられるほどの利便性向上があるかどうか、それがこの製品の鍵だ。

取付けは簡単で、従来のチェーンリングフィクシングボルトとナットを外した上で、新しいナットを差し込み、スペーサを噛ませて、チェーンリングガードをつけて、ボルトを締め込めばいい。私はクランクアームを社外製のものに変えているので、作業しやすかった。純正のクランクアームのようにスパーダーアームとクランクアームが同軸に重なる形状だと、もしかしたらガードとクランクアームが干渉するかもしれない。というか、純正だとアームの外側にガードを装着できないので、そもそも後付けのガードはつけられないだろう。

なお、ボルトにグリスを塗ってから締めるのはもちろんだが、クランクアームとチェーンリングの間、チェーンリングとスペーサの間、スペーサとガードの間にもグリスを塗っておいた方がよい。それらの部品はペダルを漕いでいる途中にわずかに摩擦されるからだ。グリスを塗っておけば、摩耗を防ぐとともに、キーキーという鳴き音を抑制することができる。

楕円チェーンリングの上に真円のガードをつけるというのは見てくれ的にどうなるのかと思っていたが、普通に格好いい。まだガードが新品ピカピカなので違和感があるが、日焼けして色褪せたり擦れ傷が入ったりしてくると、いい感じの一体感が出てくるに違いない。自転車やオートバイはちょっと小汚い方が格好いいと私は思う。

予想通り、楕円の長径より少し大きい直径のリングであることで、チェーンの外側にしっかり壁を作ってくれていている。少なくとも側面からズボンの裾や靴下が触れる分にはチェーンの油分が付着することはないだろう。とはいえ、あまりにダボダボな生地を履いていれば上から触れるリスクがあるだろう。リスクを最小化したいなら、裾バンドとチェーンリングガードの組み合わせが良さげだ。裾バンドだけだと信号等で自転車から降りて車体を右に傾けた際にズボンを汚すことが多いので、チェーンリングガードは確実に役立つ。

懸念はしていたのだが、折り畳みの際に少々難があった。前輪の泥除けを支える針金が、折り畳みの際にチェーンリングと干渉するのだ。力ずくで押し込めばチェーンリングガードが撓んで前輪のフックをフレームにかける状態にできるのだが、その状態で保管していたらチェーンリングガードが変形したままになってしまう。

そこで、針金の方をペンチで曲げて、なんとか干渉しないようにできた。なんか針金の形状がグニャグニャになった感があるので、追ってもうちょいマシな形に整形した。ブロンプトンはフックの位置や針金の曲線とかの細かい最適化の上で極小の仕舞い寸法を実現しているので、付加的に何かつけようとすると苦労する。それが面白いところでもあるのだが。

折り畳んたブロンプトンを持ち運ぶ際にも、後ろから出っ張ったチェーンリングが衣服を汚すリスクがある。このリスクもチェーンリングは減らしてくれる。楕円の場合は折り畳んでペダルを下げた状態だと長径が2時くらいの位置にくるので、そこをガードできるのは重要だ。それでも斜めから触れるリスクはあるので、以前に記事にしたホースのチェーンカバーを併用すると良いだろう。長径の付近だけを被覆すればいいので、チェーンカバーの長さは14cmとかに短縮できる。

うまいこと取り付けができたので、走ってみた。93gの重量増加は素人には区別できない程度の差だが、確実に重くはなっているので、ヒルクライムで影響は出るだろう。とはいえ通勤や街乗りやツーリングでは全くと言っていいほど影響がないだろう。実際、つけたことで全く乗り味は変わらないし、ブラインドテストで弁別できる気が全くしない。

外見も格好いい。スギノのクランクアームにRotorとO.Symetricのダブルチェーンリングをつけて、ディズナのガードで覆うというツギハギ的な構造が素敵だ。5本のスパイダーアームとガードの隙間から中身が見えるのが、マッドマックスやジャギの仮面みたいで中二心をそそる。

ズボンの裾もこの通り、チェーンに触れないようにしてくれている。このズボンが汚れているのは前日までガードがなかったからだ。

裾汚れ問題も大事なのだが、チェーンリングガードの導入に踏み切ったのは、実は別の理由がある。フロントダブル化した際にフロントディレイラーをつけずに足でフロントの変速をする運用をしているのだが、その際のチェーン落ちを防ぐためだ。アウターからインナーにチェーンを落とす際には、右足でチェーンを外側から内側に8mmほど押しながら、左足でペダルを漕げばいい。これは慎重にやればチェーン落ちはまずしない。アウターからチェーンが外れ気味になったら押すのをやめると、テンションで適切なずれ幅になる。問題は、インナーからアウターにチェーンを上げる操作だ。右足の爪先をチェーンとフレームの間に突っ込んで外側にチェーンを押すのだが、その際にかなり斜めになった状態で押し続けないと、チェーンがアウターの歯を噛んでくれない。しかし、かなり斜めにしてしまうと、チェーンがチェーンリングを横断して、外側に落ちる状態で歯を噛んでしまう。以下の写真が落ちる場合の噛み方だ。そうならないように絶妙な角度でチェーンを噛ませて、かつ外側からトントンとチェーンを抑えて後続のコマの方向を整えるという所作が必要になるのだが、走行時にそれをやるのは手間だし、前方不注意になって危ない。

チェーンガードがあれば、チェーンが外側に落ちるリスクがほぼゼロになる。よって、思いっきり外側にチェーンを押してもよい。なので、インナーからアウターにチェーンを上げる際には、つま先でチェーンをひっかけて何も考えずに外側に押すだけでよくなる。今まで10秒とかかけて行っていた操作が、2秒とかで終わるようになった。気軽に変速できれば、利用頻度が増える。従来はリアの11Tと18T(=1.61倍)を切り替えて街乗りをしていたのだが、今はフロントの52Tと39T(=1.33倍)を気軽に切り替えて走れるので、より最適化されたケイデンスを発揮できるようになった。

もしフロントディレイラーをつけて運用していたなら、台座とディレイラーとシフターとケーブルの重量が追加されるので、おそらく300g以上の重量増になるだろう。チェーンガードをつけて足変速で運用できるなら、93gの重量増加は許容できる。シフターでギアが変えられる便利さには到底及ばないが、以前よりも遥かに楽に変速でき、そしてチェーン落ちの心配が全くなくなったのが素晴らしい。欲を言えば、バッシュガードとして地形からの保護をすることは目的としていないのだから、もっと軽量でもいいんじゃないかと思ってもいる。外周の部分は強度は低くてもいいはずなので、電動ルーターで削って薄くするという手もありそうだ。ただ、そうすると塗装を塗り直さねばならないから、なかなか面倒そうだ。

まとめ。ブロンプトンにディズナのチェーンリングガードを装着したところ、ズボンが汚れるリスクがかなり下がり、またチェーン落ちがなくなったおかげで足変速フロントダブル機構がより気軽に活用できるようになった。これは重量増加とパーツ代に見合う効果があったと思っている。