豪鬼メモ

一瞬千撃

グロム125で道志みち&相模湖ツーリング

バイクに乗って気持ち良い季節を満喫すべく、今週はGrom125を借りて道志みちと相模湖をツーリングしてきた。実用ミニストリートファイターって感じの無駄を削いだ意匠がめっちゃ格好いいバイクだ。


先週はモンキー125を借りたが、それが結構楽しかったので、今週末もバイクに乗ることにした。気軽に乗ろうということで、排気量125ccの原付二種から、グロム125を選択した。HondaGoバイクレンタルだと、ハンターカブやモンキーはほとんどの店舗に置いてあるのに、グロムが置いてある店舗は近くになかったので、わざわざ川崎市の梶ヶ谷駅近くの店舗まで行った。電車に乗って店舗まで行くのはだるいような気はするが、利点もある。都内の渋滞に煩わされることがないからだ。というか、次回からはもっと郊外の店舗で借りた方がレンタル時間を有効に使えて良いとすら思う。

国道246号を快調に飛ばして、愛川町あたりからはいい感じの峠道になってきた。グロム125は乗りやすい。先週のモンキーは4段変速のモデルだったが、それに比べるとやはり5段は乗りやすい。当然のことだが、5段になることで4段目以下のギア比はより高くなり、以前の4段目より低いギア比の5段目が使える。結果として、発進や低速走行時の力強さが増して扱いが楽になり、5段での高速巡航時には回転数を抑えて静音・低振動・低燃費になる。ギアを変える頻度が増えるのが欠点と感じる人もいるだろうが、わざわざMTに乗っているのだから、ギアチェンジ操作をむしろ楽しみたいところだ。クラッチレバーの遊びが少なすぎて遠く感じる結果として半クラがいきなり解消されてガクッとなる操作をしてしまうことが何回かあったが、これは自分の所有車であればレバーを変えるかワイヤーの張りを調整すればよいだけの話だろう。振動に関しては、単気筒バイクなりにあると思うが、手が痺れるほどではない。先週のモンキーと同じくらいかな。ギアがニュートラルに入りにくいという評判は、本当だ。マジで入りにくく、停止時にイラつく。1日乗って慣れても成功率60%くらいにしかならず、これは玉に瑕としか言いようがない。

グロム125の2021モデルからはエンジンの気筒がロングストロークになってトルクが増したそうなのだが、所詮は125ccなので、正直言って推進力は弱い。とはいえ、遅い乗り物だとは思わない。むしろ、原動機が付いた自転車である割には、楽々と四輪自動車と同じペースで走れて凄いと思う。一般道で流れに乗るのに不安はないし、発進時や低速時や、停止時にまたがったまま歩く際の際の取り回しが良いので、でかいバイクより明らかに便利だ。街乗りにおいては、自動車専用道路には乗れないのが唯一の欠点と言ってもいい。1号や246号などの幹線道路を飛ばしている際にも快適だ。5段目の4000回転で60km/hに達して快適に走れるし、バイパス区間でちょっと回して6000回転くらいにすると80km/hまで出せるし、レッドゾーンまで回さずとも90km/hまでは行くっぽい(メータ読みの話なので、実速度は5%くらい引いて考えた方がよいかも)。

グロムは乗り心地も良い。グロムは数時間ほど乗ると尻が痛くなるというレビューを事前にいくつか見ていたが、私はそんなことはなかった。グロムのシートがモンキーのそれより硬いのは確かだが、モンキーがフカフカすぎるだけだと思う。グロムは適度な硬さがあり、幅も必要十分だ。これで尻が痛くなるようなら、バイクより自転車の頻度を増やして少しでも尻の筋肉を鍛えた方がよいと思うが、まあ余計なお世話だろう。また、グロムはシートの上の部分が比較的に平らで、適度な幅なので、尻や太腿による重心移動を意識しやすい。タンクも適度な幅で、ニーグリップもちゃんとできるし、滑ることもないし、足が窮屈になることもない。足つきも丁度良く、身長164cmの私としては、両足同時だと踵はギリギリ地面に付かないが、片足なら踵もべったり付く。立ちごけの心配はほぼない。両足でも母指球は十分につくので、車体が軽いこともあり、またがったままのウォーキングも楽だ。

グロムの筐体のデザインも好ましい。小さくてかわいいと同時に、機能美がある。上述した乗り心地を実現するために必要な車体の形をしていて、それ以外の余計な要素はない。個人的にはフロントフォークの黄色は不要で、車体の色に合わせるか銀のままが良い気はするけれど、嫌ってほどでもない。マフラーが下付きなのも良い。点音源の距離減衰は距離の二乗だから、音源が0.5mの距離にあるのと1mの距離にあるのでは音圧が4倍(=6デシベル)の差になる。実際には上付きマフラーと下付きマフラーを比べて開口部の耳からの距離の差は2倍もないし、音源はマフラーの開口部だけではないので、音圧の差はより小さいかもしれないが、弁別できる程度の差はあるはずだ。あと、上付きだと触れた際に手足やマフラーが焼けそうで不安になるので、私は下付きが好きだ。デフォルトのサイドミラーが見づらいというレビューを見かけたが、確かに真後ろがちょっと見づらいかなとは思った。でも後方視認性を改善するにはミラーをもっと外側に配置する必要があるわけで、実質の車幅を増やしてしまうトレードオフがある。デフォルトも均衡曲線に乗った良いバランスの範疇ではある。また、メーターが見やすい。必要十分な情報を幅広の画面で表示し、実用性を重視しているのがわかる。シフトインジケータとタコメーターのおかげで円滑な加速も低燃費走行もしやすい。実用性を犠牲にしてもお洒落感を追求するモンキーのあり方とは対照的だ。どちらが良いという問題ではないのだろうが、私はどちらかと言えば実用性と機能美を好む。所有欲を満たす財産というよりは、運動靴やジャージのような日用品としてお気に入りになるものだ。一方で、カスタマイズして楽しむ好事家も多いらしく、それは素性の良さがそうさせるのだろう。

道志みちはワインディングが楽しい道としてライダーの間で有名らしい。確かに高速カーブや低速カーブや坂がたくさん味わえて、そして舗装状態がよくて、マンホールが少ないので、走っていて楽しかった。自分は手放しが怖いので返事をする余裕はないが、ヤエーが見られるのも気分が上がる。とはいえ、調子に乗ってカーブ前の減速を怠ると死ぬかもしれないわけで、安全運転にだけはマジで気をつけねば。特に左カーブは車線をはみ出すリスクがあるので恐ろしい。リーンウィズかつミドルべったりのライン取りを徹底せねば。たとえ後ろにポルシェが張り付いていても、自分に無理のない走りを貫く勇気。「道の駅どうし」もまたライダーの集まる場所として有名らしく、行ってみると多数のライダーで賑わっていた。郵政カブの集まりがあったらしく、ずらっと並んでいる様は壮観であった。

道志みちをさらに進むと山中湖があるのだが、レンタルの返却時間を考えるとギリギリなので諦めて、代わりに相模湖に向かって一休み。ここに来るのは25年ぶりくらいだ。遊覧船とかレトロなゲームコーナーとかがあって、昭和な雰囲気で良かった。

あとはちんたら帰ってきたのだが、帰路で最も驚いたのは次のことだ。燃費が異常に低い(低い方が良い)。実燃費の燃料消費率が83.2km/Lを記録していたのだ。先週借りたモンキーの実燃費が48km/Lだったのでそんなものかと思っていたが、グロムがカタログスペックの68.5km/Lを大きく超えてくるとは俄には信じられなかった。ロングストローク化のおかげなのか、5速化で回転数を抑えた走りが可能になったおかげなのか。行きの道中でもなかなか燃料目盛りが減らないとは思っていたが、まさかここまで燃費が良いとは。坂の多い峠道や信号の多い街中を合計180km以上走ったのに、途中でこっそりぶん回して速度を出していたのに、ガソリン代は400円未満で済んだ。趣味ではなく交通手段としてもグロムは非常に優秀だ。高速道路に乗れないので、逆に言えば高速代を払うこともなく、自転車で行ける範囲よりちょっと遠くに行くのに最適のモードだ。このバイク欲しい。置く場所さえあれば。

結局のところ、小型バイクの何がいいって、乗り味が自転車に近くて身体感覚が強いところだと思う。パワーの限界にすぐにぶちあたるのでギア比を適切に変えて対処するのとか、軽く体重移動しただけでも機敏に反応して動きが変わるのとか、躊躇せず押し歩きできるのとか、自転車乗りにとっては美点が多い。それでいて、購入費も維持費もレンタル代もガソリン代も安く済む。中型や大型になるとそれらの美点は失われるが、代わりに大きなパワーと大きな車体を乗りこなす快感があるに違いない。さて、125ccの良さがよくわかったところで、次は200ccか250ccに乗ろうかな。いろいろ乗ってみないと、何が自分にとって良いのかわからないから。ホンダだと、Rebel250とVTR250あたりに興味がある。というか、シート高がグロムの761mm以下で立ちごけしなさそうな車種ならなんでも乗ってみたい。