豪鬼メモ

一瞬千撃

千鳥ヶ淵と各地の桜

ソメイヨシノが今日満開ということなので、東京で最も有名な桜の名所であるところの千鳥ヶ淵に行ってきた。天気はイマイチだったが、ここなら流石に私でも見栄えのする絵が撮れる。対岸に桜が並んでいるので邪魔な人混みがフレームに入らないし、桜の密度も形も十分だし、堀やボートなどの副題にも困らない。というか、この写真の手前に写っている桜の枝振りの見事さといったらない。


コロナ前よりは人が少ない状況だが、それでもそこそこの人出だった。蔓延防止解除後でも皆がマスクをつけているところに国民性が出ていると思う。



この場所からだと桜と堀と国会議事堂が同時に収められるのだが、換算90mm画角ではちょいと迫力不足だった。というか、曇りだと空と桜のコントラストが低くなるのでより辛い。そして照り返しで堀の水面が明るくなってしまうのも辛い。

千鳥ヶ淵のすぐそばには靖国神社がある。初めて来てみたが、現世のヴァルハラという位置付けだけあって、荘厳だった。



靖国の桜の下で会おう」の桜とはこの神雷桜のことだそうな。このご時世、世界平和を願わずにはいられない。

気象庁が報告する満開ってのは靖国神社のこの標本木が満開であるという意味であり、それを見てから来たので、当然満開のベストタイミングであった。しかし、それほど立派でもないこの株がなぜ日本代表に選ばれたのだろう。

場所を変えて、愛宕神社。この階段を馬で登って将軍家光に誉められて出世した侍にちなんで出世階段というらしいが、にわかには信じがたいくらい急な階段だ。

境内で白猫がうたた寝していた。これはチャンスと思って、STFモードを発動してみた。やはり、ボケがボケて気持ちが良い。

増上寺と東京タワー。後ろの建設中のビルがやたら高いなと思ったが、森ビルの虎ノ門・麻布台プロジェクトとかいって、完成したら330mで日本一になるらしい。

都内をチャリで流しつつ帰路に着く。どこもかしこも桜が咲いていて、本当に桜が好きな国だと実感する。


家の近くを流れる目黒川。こちらも桜の名所扱いで、やたら人出がある。確かに桜はそれなりに並んでいるが、千鳥ヶ淵に比べるとなぁ。




今日の気づき。ソメイヨシノの写真を現像して、なんか見栄えがしないと思ったら、露出だけでなく、ホワイトバランスを疑った方が良い。ソメイヨシノの美しさは微妙にマゼンタの入った白、言うなればペイルピンクにあるので、それがずれていると台無しなのだ。色温度を調整して白を目指すだけでなく、ティントをいじってちょっとマゼンタに振ると良くなることがある。それを踏まえると、ソメイヨシノの撮影はRAW撮り必須と言っていいと思う。現場で微妙な色調整をするのは難しいだろう。


余談。本稿は「桜とSTFモード」という題名にして、美しくボケた桜並木が入った作例を陳列する予定であった。しかし、STFモードの撮影はことごとく失敗したのだ。微風が吹いただけで桜の枝や花は揺れるので、桜をSTFモードで撮るのは全く無理と言って良い。奇跡的に完全に無風になった瞬間があっても、人や車やボートが動きやがるのだ。その時ほどザ・ワールドを発動したいと思ったことはない。STF合成に失敗したら普通に現像すればよいだけなので趣旨を変えて本稿を書いたが、正直悔しい。

ぶれてもわからないくらい遠くに桜を入れるならSTFモードでも撮れるけども、ここまで離れてしまうとSTFにする意味がなくなってしまう。上が通常モードのF1.8で、下がF2.5を中心としてF1.8からF3.5までの7枚合成だ。もはやEXIFを見ないとどっちがどっちだかわからない。

逆に、主要被写体を近接させて、桜がぶれてもわからないくらい大きくぼかすという手もある。ただし、面白い被写体と桜が同時に存在する場所を探すのが難しい。以下の例とか、かなり無理やりな感じしかしない。

桜のボケをボケさせて撮りたいのなら、本物のSTFレンズを入手するしかないというのが結論だ。多少連写を早くしても連写合成系の手法は無理筋だろう。というか、桜ってあんまり寄って撮るような題材ではないため、STFレンズを持っていたとしてもあんまり活かせない気がする。それよりは、STFでない大口径レンズで、離れていてもボケがそこそこ大きくなるように計らう方が良いだろう。