豪鬼メモ

一瞬千撃

Lightroomのプロファイル比較

Lightroomの現像設定にまだ少し迷いがあるので、いくつかの作例でちゃんと比較してみよう。ことデジタル写真においては、現像設定の把握は撮影機材の利用法の習熟と同程度に重要だ。
f:id:fridaynight:20190218184141j:plain


まずは、バージョン7.2までのデフォルトであったAdobe Standardプロファイルと、7.3以降のデフォルトであるAdobe Colorプロファイルの色味を比較してみる。スライダーの左側がAdobe Standardで、右側がAdobe Colorだ。







Adobe Colorの方がAdobe Standardよりもコントラストが高く、彩度も高い。コントラストが上がったことにより、黒が締まって「抜けが良い」感じに仕上がっている。彩度に関しては、空の色はそんなに変わらないが、人物の肌や壁画や植え込みの赤を見ると、特に暖色の彩度が上がっていることがわかる。総じて、Adobe Colorの方が見栄えのする仕上げになっている。もちろん、代償も伴う。ミッドレンジのコントラストを上げたおかげで、ハイライトやシャドウのトーンは圧縮される。明るい空の色は出にくくなり、日陰は潰れてはわかりにくくなる。


以前の記事で述べた豪オリンパスとも比較してみる。Adobe Colorの欠点(単に私の好みでないだけだが)を克服すべく、シャドウやハイライトの視認性を上げ、空のマゼンタ被りをシアン寄りに直し、彩度をちょこっと調整したものだ。言い換えると、オリンパス機の色相で彩度をちょっと上げた感じの仕上げを目指したものだ。左にAdobe Color、右に豪オリンパスの例を置く。






オリンパスAdobe Colorよりもさらに見栄えが良いと私は感じる。公園の例を見ると、空の色がちゃんと出ているし、空の色相も自然に感じる。どの例でも自然な範囲で彩度が上がっていて、鮮明という言葉がよく似合う。「色乗り」が良くなった感じがするとも言えるかな。彩度を上げすぎると肌の赤みが不自然に感じることがあるが、この調整だと自然な範囲に収まっていて、より健康的に見える。私にとっては豪オリンパスを出発点にして現像設定を行うのがやはり良さそうだと確認できた。


ついでに、オリンパスの現像エンジンとも比較してみよう。最近リリースされたOlympus WorkspaceでNaturalプロファイルを使って現像してみた。オリンパス機のカメラJPEGと同じ仕上げだ。左に豪オリンパス、右に純正オリンパスの例を置く。






コントラストも彩度も豪オリンパスの方が高く、やはり見栄えがする。純正オリンパスの方は落ち着いた色味だが、悪く言えば生気がない感じだ。純正オリンパスは特にシャドウ域の彩度がやたら低くなるのが特徴的で、水墨画のような雰囲気を私は感じている。それが好ましいと感じる人もいるのだろうけど、私はそうではない。オリンパス機ではNatural以外にも仕上げ設定があり、オートだとi-Finishという見栄え重視のプロファイルが適用されるのだが、それはNaturalとは反対にコントラストと彩度をやたら上げてきて肌が不自然になるので使いにくい。そして、彩度を上げたとしてもシャドウ部の渋さは変わらないのが困る。やはり豪オリンパスの方が私は好きだ。


話は逸れるが、現状でオリンパス機用のraw現像ソフトウェアとしては従来のOlympus Viewer 3と新しいOlympus Workspaceが利用できるが、それらの出力に違いはあるのだろうか。左にOlympus Viewer 3、右にOlympus Workspaceの例を置く。

両者全く同じだ。カメラJPEGの出力とも同じなので、従来からのユーザも安心だ。念の為、カメラJPEGとも並べてみよう。


Lightroomにもオリンパス機のrawデータ専用のプロファイルがインストールされていて、それらを適用するとオリンパスの仕上げがシミュレートできるようになっているそうなので、そのNaturalの例と比較してみよう。左に純正オリンパス、右にLightroomオリンパスプロファイル。






Lightroomオリンパスプロファイルの方がコントラストも彩度も高いが、色相はかなり似ている。Lightroomの方が赤が強すぎる嫌いはあるが、これをベースに彩度とコントラストをちょっとあげれば、私好みの仕上がりに近づきそうな予感もする。ここで気づいたのだが、オリンパス機の特徴は、青がシアン寄りになる他にも、赤がマゼンタ寄りになるってのもあるかな。豪オリンパスを左に、純正オリンパスを右に置いて比べてみよう。

髪飾りの赤を見ると、やはり純正オリンパスの方がマゼンタ寄りに見える。てことは豪オリンパスのRed Primary Hueをもっとマイナス方向に振ればそれっぽくなるかな。でも黄色もちゃんと出た方がいいような気もするし、どうだろう。今後の課題。


さらに脱線するが、Olympus WorkspaceがLightroomみたいに「かすみ除去」を実装していたので試してみた。かすみ除去+40をかけるとどうなるか。

ちょっとコントラストが上がって、Lightroomオリンパスプロファイルに似てきた感じがする。ならば、純正オリンパス+かすみ除去とLightroomオリンパスプロファイルを比較してみよう。

両者かなり似た感じになったが、シャドウとハイライトの視認性が高い分、純正オリンパス+かすみ除去の方が私好みに近いかな。


最後に、Lightroomオリンパスプロファイルに比べて豪オリンパスはどうか。左にLightroomオリンパスプロファイル、右に豪オリンパスを置く。


色相はかなり似ているが、豪オリンパスの方が色乗りが良い感じになっている。豪オリンパスではAdobe Colorをベースに色相をいじった結果として赤が出やすくなっている。そして青系と緑系は彩度を少し上げているので、結果として全ての色が出やすいはず。こうして比べてみると、だいたい意図通りの発色が得られていると言えそうだ。


自分なりのプリセットを作ったら、あとはそれを元に微調整をすればいい。風景だったら、典型的には、コントラストをちょっと上げて、飛びがちな領域がある場合にはハイライトを下げて、さらに明瞭度や自然な彩度を上げる。視認性を上げたい場合はかすみ除去を上げるのも有効だ。明瞭度と自然な彩度とかすみ除去はとても便利だが、いずれも劇薬なので、やりすぎ注意だ。作画意図に応じてちょこっと加える感じがいい。


結論としては、豪オリンパス設定の良さが確認できて、やはりこれをベースにいじるのが楽だなと思った。オリンパスエンジンの独特の色使いも面白いので、Olympus Workspaceもしばらく使ってみようという気になった。