豪鬼メモ

一瞬千撃

子供に英文法を教えてみる

小3の娘に英文法を教えるにはどうすればいいかという話。というか悩み。生粋の日本人である私が、この日本で、あまり金をかけずに、どうやって子供に英語を仕込むか。
f:id:fridaynight:20180618214649j:plain


当家の子供たちには週1回だけ英語学校に通わせている。そこではネイティブスピーカーの先生や他の生徒と全て英語で意思疎通していて、かれこれ4年ほど続けている。しかし、未だに英語を積極的に使うというレベルには程遠い。週1程度の時間投資で「ペラペラ」になるのは期待していないが、自分で簡単な英語の本を読んだりアニメを見たりというくらいにはなってほしいとは期待して投資している。だだ、英語学校の効果は確実にあって、彼女はリスニングも発話もそれなりにできて、ネイティブスピーカーの先生と楽しく過ごす程度の英語力があるっぽい。さらにその前提として、よくわからない言語を喋る人たちと物怖じせずに意思疎通を試みる度胸がついているというのは立派な成果だ。たとえ今の英語の知識を全て忘れてしまっても、その度胸は残るはずで、それは私にはないものだ。また、先月から導入した「朝の音読」の効果がそこそこあるのか、授業の理解度も上がってきたようで、英語学校で貸し出してくれる本のレベルを最近上げてもらったようだ。せっかくなので、あとひと押しして、彼女を「喋れるコース」に乗せてあげたい。子供は習得も早いが忘却も早いので、1年も英語を使わなければほとんど忘れてしまうかもしれない。彼女が高学年なってもし中学受験したいと言い出したならば、おそらく英語にかけられる時間はもっと減るだろう。じゃああと1・2年で何ができるのか。

英文法を教えようと思っている。彼女には自分で英文を組み立てて喋る能力がほとんどないことに最近気づいたからだ。たくさんの単語や定型的なフレーズを覚えているので、それらを組み合わせれば意思疎通ができるらしいのだが、自由作文はほとんどできない。「昨日お父さんと公園で遊んだ」って英語で言えるかと問うても、答えられない。教えていないのだから、無理もないことだ。ネイティブスピーカーは文法など習わなくても英語を喋るようになるわけだが、それはずっと英語の環境にいて英語を基盤として常時思考しているからだ。それを私達がここで再現することは現実的ではない。英語学校に週4で通わせたりインターナショナルスクールに入れたりすれば同等のことが実現できるだろうが、残念ながらうちにはその金がない。そうなると、第二言語としての英語を習得させる方針をとるべきだ。それには文法の座学が絶対に必要だ。

文法の習得には帰納と演繹という二つのパターンがあるらしい。ネイティブスピーカーでは、日常で数多くの用例に触れながらそれらに共通して見られる法則を抽出していくという帰納的な学習の比重が高い。非ネイティブスピーカーでは、座学で学んだ法則を比較的少数の実例に適用して確かめていくという演繹的な学習の比重が高い。帰納も演繹も重要な要素なので、英語圏でも学校で英文法の授業があるし、我々日本人も英文法を授業で習っただけでは全く使いこなせないから読書なり英会話教室なりでなるべく多くの用例に触れることが望ましい。ただ、第二言語の習得においては演繹的学習の比重が高くならざるを得ないし、それはむしろ自然なことだ。

うちの子の話に戻るが、文法を全く教えていないのに喋れと言ってもそりゃ無理だ。なので、ちょっとずつ英文法を教えねばならない。音読でもそうだが、英語もまともに喋れない可哀想な人と同僚達に認識されているであろうこの私が英語を教えるというのが理想的ではないのは分かっている。しかし、現状ではそれが最善だ。まずは音読の際に、文法的な解説を簡単に付随させるようにしてみた。「John goes to school at seven.」とかいう文を読んだときに、「この動詞の "goes" は主語の "John" が単数で現在のことだから "es" ってついてるけど、意味は "go" と同じなんだよ」的なことを言う。あとはもう小話的に、「なんでかは知らんけど、演奏対象の楽器には "the" をつけるらしい」「なんでかは知らんけど、"bread" は数えられないことになっているらしい」「店で商品としてコーヒーを頼むときには数えられない "coffee" を "two coffees" って言ってもいいらしいんだけど、なぜか店でパンを買うときに "two breads" とは言わないみたい」とかを、折りに触れて囁きまくる。その際には、覚えさせようとはせずに、「キリンには角が5本あるらしい」と同じようなトリビアとしてお伝えだけする。演繹的思考に頼りつつも、できるだけ用例から入って帰納的思考に近づけたい、とか言うとちょっと大げさかもしれないが、まあできるだけ楽しげにやる努力をしている。この方法なら音読の教材だけでいけるのも良い。


無作為に出会った用例に解説をつけるという方法だけだと網羅性に欠けるので、やはり文法の教材も考えねばならない。が、自分の経験上、文法の勉強は全く面白くないので、小学生にそれをやらせたらかなりの確率で英語が嫌いになってしまうだろう。なので、できるだけ解説が簡潔で、かつ用例が豊富なものがよい。また、日本の英文法用語は意味不明なものが多くて覚えてもしょうがないので、英語圏の子供向けの教材から選ぶことにした。で、ネットで調べたり渋谷のジュンク堂でいろいろ立ち読みしたところ、SCHOLASTICのGrammer In Actionが良さげだった。

各単元の分量が少なくて解説が10分以内にできるのと、用例が漫画になっていて面白いのがいい。各単元で完全な解説を試みるのではなく、簡単で不完全な解説を何周か繰り返してだんだん精密になっていくという構成が素晴らしい。子供に見せる前に通して読んでみたが、テンポ良く進んで、文法書なのに普通に面白かった。

子供にはまだproper/common nounsとcountable/uncountable nounsのところしか教えていないが、食いつきは悪くなかった。とりあえず1年くらい続けられたらいいと思ってはいるが、perfect tensesあたりからだんだん辛くなってくる予感。


そもそも小学生に外国語教育を施すのは非効率なんじゃないかという意見もある。それよりは国語や算数に時間を割いて思考力を養っていた方が、中学で英語が始まった時に伸びるんじゃないかという話もある。ただ、小学生から地道に外国語学習を続けてそこそこ喋れるようになった例も実際にちらほらあるわけで、一概に非効率であるとは言えないだろう。つか、中学高校大学の10年の英語教育を経てもなお道案内すらできない非効率な例は私を含めて枚挙に暇がない。個人的には、公立小学校でやっている「♪ はーろ、はーろー、わっちゅあねーむ」的な授業だけで何か効果を実感できるまで到達するとは思わないが、それ以外で週3時間くらいの学習量を割り当てればそれなりの効果はあるんじゃないかと思っている。ただ、何がいいのか私もよくわからないのが実際のところだ。人それぞれだと言ってしまえばそれまでだし、確信を持って言えることは何もない。でも、食いっぱぐれない大人になるためになるべくのことはやってあげたい。

Just Look 'n Learn English Picture Dictionary (Just Look ©n Learn Picture Dictionary Series)

Just Look 'n Learn English Picture Dictionary (Just Look ©n Learn Picture Dictionary Series)