豪鬼メモ

一瞬千撃

AQUOS R Compact購入

スマートフォンの買い替えにあたって比較検討していたが、結局シャープのAQUOS R compact SH-M06を買った。小さい割に画面が綺麗というのが決め手だ。
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買い物で損をしたくない質なので、高いものでは比較検討が可能な場合はなるべく調査してから買うことにしている。ちょっと面倒だけど、その過程でいろいろ勉強になるし、納得して買い物すると使いこなしも良くなる。検討した機種については前回の記事で述べたが、かなり迷った。しかし、電話がない状態では社会生活が滞ってしまうので、早めの決断をした。

要件で最も重要なのは筐体の大きさである。今まで使っていたNexus 5Xの筐体の大きさは幅73mm、高さ147mm、厚さ7.9mmだった。これがジーパンのケツポケットに入れる限界の大きさだ。これ以上大きいと、はみ出してしまう。実際には、これだと理想的なサイズ感より少し大きい。座る姿勢になると、筐体にも尻にもそれなりの負担がかかってしまう。尻が何かに押されている感じが強く、そして筐体が壊れるんじゃないかと心配になる。そのまま自転車に乗るとポケットからはみ出して落ちそうになるし、子供と滑り台で滑って画面にヒビが入ったこともあった。そのさらに前に使っていたNexus 5(幅69mm、高さ138mm、暑さ8.6mm)だと違和感がほとんどなかったので、高さ140mm未満というのが望ましい閾値になりそうだ。一方で、画面は広いほど見やすいのも事実で、その点でNexus 5Xの5.2インチ画面は実に快適だった。ただ、Nexus 5の4.9インチ画面でもまあ許容範囲で、そのさらに前に使っていたiPhone 5sの4インチ画面に比べると雲泥の差であった。

さて、AQUOS R Compactの筐体の大きさは幅66mm、高さ132mm、暑さ9.6mmと理想的である。これならケツポケットからはみ出すこともないし、ケツポケットに入れたまま滑り台で滑ったとしても多分画面が割れない(やらないように気をつけるが)。それでいて、左右と上のベゼルが極小の設計のおかげで画面サイズは4.9インチを確保している。しかも、解像度はFHD+(1080*2032)を達成している。この筐体サイズでこの解像度はなかなかない。ただし、フロントカメラを画面上部に配置するために画面の上端の中央に切り欠き(ノッチ)がある。フロントカメラなんてなくてもいいくらいに思っている私としては、この切り欠きはいけてない。とはいえデフォルトの「スタンダードモード」では画面上部は通知アイコン等を表示するステータスバーにしか使われず、アプリ表示の邪魔には一切ならない。スタンダードモードをオフにすると、そのステータスバーにすら切り欠き部分を含む画面上部を使わないようにもできるのだが、誰得なんだろう。なお、オフにしてもFHD(1080*1980)の解像度があり、その場合の画面サイズは、4.9 * sqrt(1080^2 + 1980^2) / sqrt(1080^2+2032^2) で、4.8インチである。

iPhone 6sとAQUOS R CompactとNexus 5Xを順に並べるとこんな感じ。筐体の小ささと、その割に画面が大きいことがよくわかる。
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筐体のサイズ感から考えると、AQUOS R CompactはiPhone 8(幅67mm、高さ138mm、厚さ7.3mm)よりも小さい。iPhone 8の置き換えと考えるとAQUOS R Compactの利点が分かりやすい。AQUOS R Compactの画面サイズ4.9インチ(スタンダードモードだと4.8インチ)はiPhone 8の画面サイズ4.7インチよりもひと回り大きい。しかもAQUOS R Compactの1080*2032という解像度はiPhone 8の750*1334よりもかなり大きい。画素密度で言うとAQUOS R Compactが469dpiでiPhone 8が326dpiなので、前者が明白に精細だと言える。iPhone 8の実売価格は85000円くらいで、AQUOS R Compactは70000円くらいなので、スペックで考えるとかなりコスパが良い。いや、Android製品の中ではAQUOS R Compactも高すぎで、iPhone 8より安いというのが慰めになっているだけだが。ちなみに私はIIJmioの会員サイトで62700円で手に入れたので、ほんのちょっとお得な気分だ。まあそれでも高いけど。

62700円というハイエンドな金を出すなら、5.5インチで4K解像度(2160*3840)を実装したXperia XZ Premiumや、5.3インチでWQHD解像度(1440*2560)を実装したAquos Rとそんなに変わらない。ケツポッケで持ち運ぶのを断念すればそのどちらかを買うのもありかなと思った。しかし、これから夏に向かうとジャケットを着なくなるし、基本的に手ぶらで行動する私としては、ケツポッケは譲れない線だ。逆にもっと3万円代のローエンド機種に目を向けるのもありだと思ったが、スペック的にNexus 5Xより劣るものを敬遠すると、何も残らなかった。そうすると5万円前後のミッドレンジ機種を検討することになるが、ファーウェイのP10(実売56000円、W=69mm H=145mm D=6.9mm、5.1インチ画面、FHD解像度)とソニーXperia XZ1(W=73mm H=148mm D=7.4mm、5.2インチ画面、FHD解像度)が有力な候補になった。特にP10はNexus 5Xよりほんのちょっと小さし、ハイエンドのCPUを積んでいるし、デュアルカメラを積んでいて面白そうだ。かなり迷ったが、最終的には筐体サイズの小ささが決め手となってAQUOS R Compactの方をポチった。でも今でもP10は捨てがたかったと思っている。


画面表示が結構綺麗っぽいのもAQUOS R Compactの美点だ。色域がsRGBも広く、DCI P3の90%をカバーしているそうな。私は撮った写真をDisplay P3色空間で現像し保存していて、その色域はDCI P3と同じなので、自分の写真を鑑賞するにはAQUOS R Compactはうってつけだ。120FPSで描画してスクロール時に画面がちらつかないというハイスピードIGZOなる機能も良い。縦長の画面をずらしながらWeb記事を閲覧をしている時間が使用時間の半分以上を占めるだろうから、それが快適なのは重要だ。実際使ってみると、確かにスクロールしながら文字を読むのが楽になった。

値段以外に欠点として挙げられるかもしれないのは、CPUの性能の低さである。ライバルであるHuawei P10やXpria XZ1はそれぞれKirin 960とSnapdragon 835 MSM8998というハイエンドのCPUを積んでいるが、AQUOS R CompactはSnapdragon 660というミッドレンジのCPUを積んでいる。Antutuのベンチマークスコアで比較すると、P10は151126、XZ1は182527、AQUOS R Compactは106478ということで、実際AQUOS R Compactはライバルより遅いということになるだろう。ただ、ゲーム以外で高性能が要求されることはまずないので、実用上の問題はない。何世代か前のSnapdragon 808でスコア75910のNexus 5Xでも処理速度でイラつくことはほとんどなかったので、Nexus 5Xより早ければいいという判断基準にした。そもそもゲーム機として使うならより大きい画面の機種にするべきだ。

Aquos R Compactの厚さが8.6mmってのはライバルに比べると厚めなのだが、持ちやすさの点ではいいのかな。ポッケに入れるなら薄い方がいいのは間違いないが、厚い方が構造的に頑丈になるはずなので、その点では好ましいかな。放熱シートを使う代わりに背面の金属板を厚くして放熱する設計しているそうなのもちょっと気休めにはなる。実際の折り曲げ強度を比較したサイトは見つけられなかったし、自分で試すわけにもいかないが、筐体が小さいほどかかる負荷も小さいので、数年は折れたり画面が割れたりしないことを期待したい。

あと、おまけでよかったという特徴は、IPX5/IPX8防水で風呂やプールサイドで使えるという点だ。P10はそうではない。水で濡れていてもタッチ操作に支障がないというのも良い。他の新しめの機種でも言えることだが、準天頂衛星みちびき対応なので、今年11月からは、米国GPSからの信号だけだと精度が出にくいとされるビル街などでもナビが正確な位置情報がとりやすくなるらしい(全般的な精度は変わらないけど)。


私はスマホのカメラはあんまり使わないので、カメラの性能はあまり重視していない。写真が撮りたくなりそうな状況ではカメラ専用機であるところのE-M10を持ち歩くからだ。それにしても、AQUOS R Comactのカメラは、あまりいけてない。換算25mm画角という広角レンズなのは風景撮りにいいと思うし、1640万画素(4608*3456)という解像度も丁度いいのだが、画質がダメ。レンズの色収差がひどく、コントラストが高い部分には青い縁取りが出まくる。周辺の流れも著しい。センサーのダイナミックレンジが狭く、すぐ白トビする。そして画像エンジンのノイズリダクションが下手で、油絵みたいな描写になってしまう。Android 5.0以降でRAW(DNG)形式での撮影データの取得がサポートされたそうなので、対応アプリで撮影してLightroom等で現像すればいいじゃんとも思ったが、この機種ではサポートされていない。どうでもいい話ではあるが、カメラAPIがサポートするRAW_SENSOR以外のデータ形式JPEGかYUV_420_888という8ビット深度の画像データだけなので、それを加工するとトーンジャンプが発生する可能性が高い。なので画像加工を売りにするならRAWデータ取得をサポートしてほしいなぁ。
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標準カメラアプリもイマイチ。まず、デフォルトのオートモードだと、シーン認識で画像が勝手に加工されてしまう。マニュアルモードでは細かい設定ができて、ホワイトバランス、ISO感度シャッタースピード、フォーカス、彩度、コントラスト、明瞭度が個別に指定できる。とりあえずマニュアルモードで撮れば普通っぽい写真は撮れる。それ以外のセミオートモードは、「くっきり」と「ふんわり」があるのにその中間がなくて普通の写真が撮れないので使えない。あと、ダイナミックレンジの不足を補うべくHDR機能も備えているのだが、HDRの発動はオート任せで手動で選べないというのが意味不明。つまるところ、サードバーティのカメラアプリを使った方がよい。定番だと、Google PlayからOpen Cameraを入れるか、GoogleカメラのAPKをダウンロードして入れればOK。普通に使いやすいのはGoogleカメラの方で、マニュアル操作をしたりシャッター音を消したりしたい場合にはOpen Cameraの出番であるから、両方入れて使い分けるのもよい。
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カメラを重視する人はAQUOS R Compactを買ってはいけない。美肌言う前に色収差を補正しろと言いたくなる。とはいえ、日常をメモする程度の用途には普通に使える。豆粒の如きセンサーとレンズでも普通に撮れるんだから御の字だ。
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OSはいたって普通のAndroidで、メーカー独自仕様もほとんど感じられなくて良い。エモパーなる独自機能があるのだが、全く使っていない。カレンダーはGoogle Calendar、メモはGoogle Keep、地図はGoogle Maps、メールはGmail、ニュースはGoogle Nowで充足されるので、端末にロックインされるメーカー独自機能の出番がない。Googleにロックインされすぎるのもリスクはあるが、管理コスト的にはそれが一番楽だ。永続的に保存すべきデータはクラウド上に置くという前提で運用するなら、端末上に置くのは動画や音楽のオフライン利用のためのキャッシュ的なデータと、撮影してまだアップロードしていない写真などのデータだけである。したがって、ストレージ32GBは全くもって十分だ。
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Chromeも含めて、日常的なアプリを使うにあたってはサクサク動いて全く不満はない。CPUもメモリ(3GB)も十分な仕様だろう。YoutubeNHK Worldで動画を見ても全く問題ないし、筐体が熱を帯びたりもしない。いたって快適である。電池の持ちは普通。急速充電できるので朝飯を食っている間に充電するだけで1日持つ感じで、電池切れで困ることは今のところない。Macbookのアダプタを流用して急速充電できるのもいい。

指紋センサーは結構使いやすい。Nexus 5Xは裏面にあったが、やはり表にある方が圧倒的に使いやすい。ポッケから取り出してすぐ使える。自転車にホルダーで取り付けてナビっている時にも触るだけで操作が再開できるのがいい。

デフォルトのフォントはモリサワ新ゴとやらで、見やすい。Nexus 5XではNoto Sans CJKだったと思うが、それだと言語設定を英語にして使っている場合に漢字が中国風の字体になってしまうという、いわゆる中華フォント問題があったのだが、中華字体に対応していないフォントだとその問題がなくていい。まあフォントなんて自分の好きなのを後から入れればいいだけの話だけども。


この機種は少なくともアメリカでは使い物にならない。北米のLTE通信に使われるBand 4に対応していないからだ。SIMフリー端末だからと米国に持ち込んだのだが、現地のSIMカードを挿して起動してみると、ずっとアイコンが「G」のままだ。3Gでも4Gでもなく素のG。電話とショートメッセージには使えるけど、データ通信は遅すぎて実用に耐えない。認識が甘かった。そりゃ、シャープ製だものね。海外渡航時には注意だ。


まとめ。AQUOS R Compactは、小さくて画面が綺麗で素晴らしい機種だ。ズボンのポッケに入れていて邪魔にならないので、薄着になるこれからの季節にはうってつけだと思う。カメラはダメダメで、米国滞在時には使えないけど、それ以外の点では満足のいく買い物だった。いやはや快適だ。重要なのは、自分のユースケースで便利に使えるかどうかだ。