豪鬼メモ

一瞬千撃

魚眼レンズ付きボディキャップBCL0980の倍率色収差補正

オリンパス魚眼レンズ付きボディキャップのBCL0980を愛用する日々だが、その倍率色収差を補正すると画質が向上するという話を以前の記事で述べた。今回は、その補正値を見直してみたという話だ。

今日、渋谷を歩いていたら、晴天に映えるヒカリエが撮ってくれと言わんばかりであった。E-M10とそれにつけっぱなしのBCL0980で撮影し、帰ってからOlympus Viewer 3で現像。特に補正しないとこのような絵が出てくる。50mより遠くに主要被写体がある場合、ピント位置をパンフォーカスの位置よりほんのちょいと遠方よりにずらすとよい。
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よく撮れてはいるのだが、やはり画面の隅の倍率色収差が目立つ。お天道様からの白色光に含まれる近赤外波長や近紫外波長は屈折率の差異が大きいわけで、今日のような条件では倍率色収差も盛大に出やすいのかもしれない。とにかく、画面左上のポール、画面右下の横断歩道、画面右のビルなど、コントラストが高い部分で、グリーンやマゼンタの縁取りが出てしまっている。
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いつも通り、以前の記事で見出した補正値を適用してみる。Chromatic Abberation R/Cを-45、Chromatic Abberation B/Yを+70にすると、このようにすっきりとした絵になる。
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しかし、よく見ると補正しすぎだということに気づく。補正なしの画像では、白色部の画面中心側にグリーン、画面周辺側にマゼンタの縁取りがついていた。一方で、補正後は逆のパターンで、中心側にマゼンタ、周辺側にグリーンの縁取りがうっすらと見える。明らかに過補正だ。
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補正パラメータの組み合わせを変えつつ何度も現像してみた結果、最適値を編み出した。Chromatic Abberation R/Cを-35、Chromatic Abberation B/Yを+50にするのがいいっぽい。過補正を視認しない範囲で補正効果を最大化したつもり。
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拡大してみても、うまいこと修正されていることがわかる。
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画面の部分毎に、未補正、最適解、過補正の画像を並べてみよう。今回の設定が最善であることがわかりやすい。
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画面右のビルは、過補正の設定よりも最適解の設定の方が補正効果が小さいのだが、これはもう仕方ない。スペクトルは連続値なのだから、RGBチャンネルでのデジタル補正には限界があるのだ。
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隅だけでなく画面中央寄りでも破綻がないかいちおう確認。ここも過補正の設定の方が綺麗に見える。中央に近い場所を適正補正すると画面隅は過補正になるというトレードオフがあるので、間をとって妥協するしかない。
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この写真以外の場合に同じ設定でうまくいくとは限らないのだが、とりあえず今まで使っていた設定は明らかに過補正気味なので、今回発見したR/C=-35、B/Y=+50をしばらくは使っていこうと思う。Adobe社などの現像ソフトではレンズプロファイルがあるし倍率色収差の程度を自動検出して補正する機能があるのも知っているけどもさ。

おまけ。薄明下のヒルズを撮影。薄明はマジックアワーとか言われるだけあって、なんか雰囲気ありげな写真になった。BCL0980はF8固定なので暗くて手ぶれするかなとも思ったが、1/4秒くらいは余裕で耐えられた。換算18mm画角なので手振れ補正なしで1/18秒までOKという経験則が成り立つとすれば、3段分は効くであろう手振れ補正に期待すると1/2.25=0.44秒弱まで頑張れることになろうか。
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