豪鬼メモ

一瞬千撃

モノクロ写真のいいところ

写真撮影が趣味の人のいくらかはモノクロ写真を好んで撮るらしい。一般的なデジカメだとカラー画像を撮影してからグレースケール変換をかけて最終出力を得ているわけで、情報の質という意味でモノクロ写真が優るということはありえないのだが、でもやっぱりモノクロ写真ならではの良さを求めてその変換を行うようだ。色がないおかげで陰影に意識が集中するので立体感が堪能しやすいとか、色がないおかげで実際はどんな色だったのかを想像させる余地が生まれるとか、まあとにかく色を捨象するという一歩進んだ抽象化を選択しているということらしい。なんか格好いいので私もやってみたくなる。


とはいえ、家族の写真はやっぱりカラーで撮りたいので、カラー写真を後処理でモノクロに変換するというワークフローを確立したい。しかもわざわざ一枚一枚変換するのは面倒くさいので、自動でいっきに変換処理を行いたい。結論から言えば、以下のようなコマンドで、それっぽい白黒画像を得ることができる(要ImageMagick)。

convert original.jpg -level '0%,105%' -sigmoidal-contrast '5,45%' -colorspace 'gray' monochrome.jpg

レベル補正でホワイトポイントを105%にするということは、真っ白なピクセルの明るさが100/105=95.23%になり、その他のピクセルも明るさも線形に減少するということだ。それから45%の明るさを中心としたゲイン5のシグモイド曲線をトーンカーブとしてコントラストを上げる。そして最後にグレースケール変換する。このオペレータでRec 709規格にて人間の輝度認識をモデル化して設定された R=0.2988, G=0.5868, B=0.1143 という比率で明るさを算出するらしい。

例を見てみよう。まずは元のカラー写真。我ながらよく撮れているので、このままでも十分お気に入りなのだが、敢えてモノクロにしてみたい。
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上記を単に -type 'grayscale' でモノクロにすると、こうなる。
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このままだと、眠い感じなだけで、なんでわざわざモノクロにしたのかわからない。よって、コントラストを上げてみる。
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そうすると明るい部分が白トビっぽい感じになって自分の好みでないので、ハイライトを下げてからコントラストを上げるようにしてみる。
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子供の肌の明るさを強調して青いカバの明るさを抑えたいので、グレースケール変換のオペレータを -fx '0.5*r+0.5*g+0.0*b' に変えてみる。オレンジフィルタをかけたのと似た様な効果になるはず。
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なんかいい感じのモノクロ写真を得ることができた。子供の顔の部分に十分に階調を割り当てるとともに、顔とそれ以外被写体の輝度が異なるように意図した。カラーのRAW画像を撮っておいてから後で変換するというアプローチだと、かなり自由な後処理ができるという利点がある。モノクロフィルムで撮ったり、Leica Monochromeなどのモノクロ専用デジタルカメラで撮るのは、それぞれカラーフィルムやベイヤー式カラーデジタルセンサーの写真に比べて感度や解像度の点で利点があるらしい。しかしこの自由度こそがデジタル時代の楽しみなのかなと。他の例も見てみよう。

砂場。これもいい表情が撮れたなあと思って気に入っているのだが、モノクロ変換してみる。
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グレースケール変換のみ。好みの問題ではあるが、やっぱちょっとパンチが足りない。わざわざモノクロにしてるんだからね。
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レベル補正とコントラストアップ。いい感じに迫力が出た気がする。
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この例でも子供の顔をもうちょい明るくしたいので、オレンジフィルタ効果をかける。いい感じの仕上がりになった。
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以下では、元写真、グレースケールのみ、レベル&コントラスト処理の順で例を掲載する。
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ちなみに上記のコントラストアップ処理をカラーのままでかけるとこんな風になってしまう。なんか破綻した感じがする。
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結論として、モノクロ写真のいいところは、コントラストを上げたりグレースケール変換の式を変えたりといった後処理を強烈にかけても許されることにあると思う。カラーだったら色が極端に変わると不自然で不快という感想を持ってしまうことが多いが、白黒ならもともと自然状態から乖離しているので、なにやっても違和感があまりない。コントラストを上げればいい写真になるってわけじゃなく、心が動くかどうかは製作者と鑑賞者の感性次第なんだけども、それでも選択肢が広がるのは面白いことだ。さらにモノクロ変換が自動化できると撮影時にあれこれ考える必要はないし後処理の手間も皆無なので気が楽だ。モノクロ縛りで撮るのもそれはそれで緊張感があっていいとは思うけど、それもまた選択の問題である。

ていうかそろそろ自分の誕生日なので何か買ってもいいことになっているらしいのでだが、α6300が発表されて、AFがさらに早くなっているということで、ちょっと欲しくなってきたなー。でもEマウントはレンズがあんまりよくなさげなんで、PEN-FかOM-Dの次のものを待つのが得策なような。うーん。今のE-M10で十分幸せなんだけども、2年も経ったら減価償却は済んだというなんというか。

OLYMPUS ミラーレス一眼 PEN-F Body SLV

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